社会保険料の支払いに困らないための利益計画を作る方法

人件費計画

ビジネスは売上より利益が大事なのはよくご存じだと思います。

それは利益の中からしか、会社を存続していくためのコストが支払えないからです。

そしてそのコストは年々上昇しています。

たとえば社会保険料もその一つです。

社会保険料はすでに約30%の保険料率で、会社はその半分の15%を負担しなくてはいけません。

支払えない場合は強制徴収や、日本政策金融公庫の融資にまで影響を及ぼすようになりました。

【悲報】社会保険未加入で日本政策金融公庫の融資がストップ。資金調達に大打撃

今後はよりシビアに利益を稼ぐビジネスを組み立てなくてはいけません。

この記事では利益をきちんと確保する売上計画の立て方について解説していきます。

全体の平均粗利益率を求める方法

商品・サービスをいくつか取扱っていれば、粗利益は一定ではありません。

A商品は20%、B商品は50%など、粗利益はそれぞれです。

中には集客商品として、個数は出るがあえて低い利益で販売しているものもあります。

このように粗利益がバラバラでは、何を何個販売すれば、目標とする粗利益を確保できるのかわからなくなります。

ちなみに、A商品は20%、B商品は50%、C商品は30%、これを平均して(20%+50%+30%)÷3=33%とはなりませんのでご注意ください。

粗利益を予測するには「相乗積」という計算が必要になります。

相乗積は

・粗利益率×売上構成比

で求めます。

仮に次のような粗利益率と売上構成比の商品群があったとします。

まずそれぞれの相乗積を求めます。

・商品1:20%×50%=10%

・商品2:10%×20%=2%

・商品3:30%×30%=9%

各商品の相乗積が出たら最後にすべて合計します。

・相乗積の合計:10%+2%+9%=21%

この数値が全体の平均粗利益率になります。

安売りで新規集客を頑張った結果・・・

ではここで粗利益率と売上構成比がどのように全体の粗利益に影響するか見ていきましょう。

仮に新規集客を頑張るため、粗利益率の低い商品2を集客商品にして販売し、売上構成比の40%になったとします。

その分、商品1と商品3は10%ずつ売上構成比が落ちました。

すると全体の平均粗利益率は18%に落ちてしまいます。

この場合、たしかに新規集客で客数は増えたかもしれませんが、全体の粗利益率が落ちたため、「がんばって販売しても儲からない」となります。

たった3%の落ちですが、社会保険料などのコストがアップしている昨今、この3%が資金繰りを傷めます。

粗利益率3%ダウンで社会保険料が支払えない?!

仮に給与20万円の社員がいたとします。

この社員の社会保険料は労使合わせて約6万円になります。※第2号被保険者の場合

会社負担は3万円ですので、給与と合わせて23万円が支出されるコストです。

この23万円を稼ぐのに18%の粗利益ならいくらの売上が必要でしょうか?

答えは128万円です。

・23万円÷18%=128万円

では当初の粗利益額21%なら110万円の売上で済みます。

・23万円÷21%=110万円

その差18万円です。

もちろんこれは人件費をペイできる売上ですので、その他経費を入れればもっと売上は必要になります。

しかし粗利益に3%違いが出るだけで18万円の差が出ることは大きいでしょう。

この18万円を獲得するために、さらなる経費が必要になるわけですから。

利益を確保するには高利益のバックエンド商品が必要

では新規集客で客数を増やしつつ、最初の粗利益21%を確保するには、どういう売上構成比率なら大丈夫か、計算してみましょう。

商品1を50%、商品3を10%にした場合、全体の粗利益率は逆に17%まで落ち込んでしまいます。

ならば高利益率の商品3を50%に、商品1を10%にした場合どうか?

これで当初の21%を確保することができます。

つまり、低利益率の商品を目玉にして新規集客を行う場合、バックエンドに高利益の取れる商品を用意しておかなければ、ビジネスモデルとしてやっていけないということです。

粗利益率を下げても必要な粗利益額を確保するには

次に粗利益率が下がった場合に、いったどれだけの売上を確保すれば、目標の粗利益額を達成できるかを計算してみます。

中小企業にとっては、粗利益率より粗利益額の方が重要なわけですから、目標粗利益額を算出しておくことも大事です。

粗利利益を求めるには

・売上高×粗利益率=粗利益額

となります。

つまり必要な売上高を求めるには

・粗利益÷粗利益率=売上高

ということになります。

ということは、目標売上高を確保するための計算式は

・目標粗利益額÷粗利益率=目標粗利益額を確保するための売上高

となります。

それでは先ほどの例を出して、粗利益率21が18%に落ちた場合、以前と同じ粗利益額を確保するためにいくらの売上高が必要かを計算してみます。

売上が1000万円の場合を想定っしてみます。

以前の粗利益率21%なら

・1000万円×21%=210万円

210万円が確保できていた粗利益額です。

この210万円を稼ぐためには、粗利益率18%の場合いくらの売上高が必要でしょう。

答えは1167万円です。

・210万円÷18%=1167万円

率にすれば、16.7%の売上増が必要ということです。

こうして計算してみると、粗利利益を確保することがいかに大事かわかります。

それつまり、少ない売上でも必要な利益を確保できるということなのですから。

売上が小さくなれば、そに掛かるコストも通常は低くなるわけで、それだけ効率的に経営をできるということです。

やはり、売上より粗利益を確保することが重要です。

売上げより粗利の確保が中小企業の生きる道

まとめ

中小企業は売上重視から粗利益確保にシフトしていくべきです。

そうでなければ社会保険料などの高額化するコストを払い切れなくなります。

社会保険料は利益の赤黒関係なく発生する固定費なので、これが経営に与えるインパクトは大きいです(しかも徴収も厳しいときています)。

売上を拡大しつつ必要な利益も保つことができるなら良いですが、そうでなければ売上を捨てて利益を確保する道を探しましょう。

粗利益を下げて必要な利益を確保するのは簡単でないことが、これまでの計算でご理解いただけたかと思います。

会社を強くするためには、売上計画より粗利益を確保する事業計画を立てましょう。

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