ついに社会保険料の未加入が融資に影響する事態になりました。

日本政策金融公庫と沖縄振興開発金融公庫は、社会保険料の加入手続きを融資の条件とすることを決めました。

中小零細企業への融資を主業務とする日本政策金融公庫と沖縄振興開発金融公庫は来年度から、厚生年金など社会保険への加入手続きを融資の条件とする。社会保険に加入すると企業負担が生じるため、従業員の加入手続きを取らない「加入逃れ」をする中小零細企業は多い。加入逃れ防止のために厚生労働省が財務省を通じ両公庫に対策を求めていた。 

対象の融資は、雇用創出を後押しする「地域活性化・雇用促進資金」と、非正規職員の処遇改善への取り組みを支援する「働き方改革推進支援資金」。 

法人格のある企業や、従業員が5人以上いる個人事業主は原則、従業員を厚生年金と健康保険に加入させなければならない。厚生年金や健康保険の保険料には企業負担があるため、中小零細企業の中には従業員を社会保険に加入させていないケースがある。厚労省の調査(今年3月末時点)では約42万社が加入逃れをしていたと推計されている。 加入逃れ企業の従業員は保険料を負担しないで済むが、自分で国民年金や国民健康保険に加入しなければ無年金や無保険になる。国民年金も国民健康保険も保険料は全額自分で負担し、給付も厚生年金などより不利になる。 

加入逃れ企業への融資は、今年3月の衆院厚生労働委員会で指摘されていた。これを受け、厚労省が財務省に対策を要請。財務省と両公庫が協議し、社会保険加入を融資条件とすることを決めた。今後、融資の際に社会保険料の納付書の提出を求めるなど具体的な対応策を詰める。 

社会保険料を滞納している場合に公的な助成金を受けられないケースはあるが、融資条件とされるのは極めて珍しい。厚労省関係者は「中小零細企業に融資する日本政策金融公庫の対応は社会保険の加入逃れの解消に意味がある」と期待を寄せる。

引用元:毎日新聞

加入逃れが単に保険料の負担をしたくないのならまだしも、保険料を支払う原資がなくて滞納しているのなら、融資による資金調達が絶たれますので、会社の資金繰りは余計に回らなくなることになります。

日本政策金融公庫は、中小・零細企業の支援目的もありますので、民間の銀行より融資が出やすいといえます。

その日本政策金融公庫からそっぽを向かれてしまうと、融資の道を断たれてしまうのも同じです。

ルールを守らない企業や個人事業主には、市場よりご退場願おうという強い態度の表れです。

今後民間の金融機関がどのような動きをするかはわかりませんが、日本政策金融公庫に追従するのなら、ますます資金調達の道は狭まります。

ですから資金調達を円滑に行うには、社会保険に加入義務があるのなら、誤魔化すのではなくきちっと加入しておかなくていけません。

給料20万円をペイするために必要な売上げは?

ですが現実問題、社会保険料の負担は相当重いです。

現在では労使合わせて約30%になります。

会社負担は15%、しかも赤黒関係なく毎月出ていくお金です。

固定費の上昇は企業の損益分岐点を高めますので、利益の低い企業にとっては資金繰りが大変になります。

たとえば月給20万円の従業員の場合、社会保険料は約6万円です。※第2号被保険者の場合

そうなると会社の負担は3万円で、毎月の固定費は23万円かかることになります。

仮に粗利30%のビジネスなら、この従業員の社保込みの給与を支払うために必要な売上は

・23万円÷30%=77万円

です。

しかし粗利が10%下がって20%ならどうでしょう?

・23万円÷20%=115万円

まで必要になります。

もしこの状態で77万円しか売上ていなければ

・77万円×20%=15万4千円

で、7万6千円(154000円-230000円)の赤字です。

もちろんこれは従業員のコストをペイするために必要な売上で、その他の経費を含めればさら売上を獲得しなくてはいけません。

労働分配率で考えてみる

ちなみにこれを労働分配率で考えてみればどうでしょう。

ここでいう労働分配率とは、粗利益を生み出すためにどれだけの人件費を費やしたかを見る指標です。

労働分配率の計算式は次の通りです。

労働分配率=人件費÷粗利益

一般的に労働分配率が低いほど、効率的に利益を稼ぎだしているといえます。

労働分配率の数値が高いのは非生産的ということです。

ただし低すぎるのは、利益に対し人件費が安すぎるということなので、これはこれで考えものです。

労働分配率は業種によって高い低いがありますので、一概に何%以上でないとダメということではありません。

しかしあなたが目指す労働分配率が55%ならどうでしょう?

必要な粗利益の額を求めることができます。

仮に人件コスト23万円、粗利20%のビジネスなら

・23万円÷55%=42万円

ということになります。

その粗利益を獲得するのに必要な売上高を求めると

・42万円÷20%=210万円

です。

社員には20万円の給料を支払う代わりに、売上210万円に貢献してもらわなくてはいけない計算です。

社会保険料の支払いに悩まされないためには、このような計算をして売上計画を立てておくことも必要です。

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資金の少ない会社は業務委託契約も視野に

従業員の社会保険料のコストを支払えない場合は、業務委託契約や外注化を考えなくてはいけなくなります。

業務委託契約は雇用契約ではありませんで、社会保険料は発生しません。

業務委託契約は、社内に技術を蓄積できない、人材が育たないなどの問題はありますが、会社の資金繰りが回らないのであれば止むを得ない措置といえます。

ただし業務委託契約と見てもらえるためには次の基準を満たす必要があります。

1・仕事の依頼や業務従事の指示を断ることができる。

2・仕事を進める上で、具体的な内容や方法の指示はない。

3・進捗状況の報告義務や勤務時間の管理はない。

4・代わりの者に業務を行わせることができる。

5・報酬が、時間・日・月を単位とする労務ではなく、業務の成果に関して支払われている。

6・会社は機械、器具の負担はしていない。

7・報酬は機械等を負担するため、他の一般社員よりも高い。

8・報酬に生活給的な要素はない。

9・他の会社の業務を行ってもよい。

引用元:「労働基準法研究会報告」(85年報告)

さらに税務上も業務委託契約はチェックされる項目です。

実態として業務委託契約になっていなければ、否認されることになります。

業務委託契約を導入する際は、運用に注意が必要になります。

その消費税節税対策は大丈夫?外注費を給与にされない5つのポイント

まとめ

国は社会保険料の加入逃れをする企業に対しては、今より厳しい姿勢で臨むようになります。

それが社会保険の加入を融資の条件することです。

支払える余力があるのに支払わないのはダメですが、支払う能力が低い企業にとってこの締め付けは死活問題です。

社会保険料の支払いが厳しい企業ほど、融資による資金調達を望んでいるからです。

国の方針がそうなった以上、文句をいってもはじまりません。

生き残りを懸けて、社会保険料削減など知恵を絞っていく必要があります。

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