売上高人件費率を見直せば高収益体質へ変わる

人件費計画

売上高に占める人件費の割合のことを「売上高人件費率(以下、人件費率)」と呼びます。

人件費には、社員の単純な給与、賞与の他に、福利厚生費、法定福利費、退職金、役員であれば役員報酬と役員賞与などが含まれます。

人件費率が高ければ売上高に対して人件費が多くかかっているということであり、逆に人件費率が低ければ少ない人数で売上を作っているということになります。

売上高人件費率の計算方法

人件費率は次の計算式で求めます。

・売上高人件費率=人件費÷売上高×100

この算式だけで考えれば、人件費率は低い方がよいように思えます。

しかし一概に人件費率は低い方がよいとはいきません。

たとえばラーメン店の人件費率の平均は、35.2%、それに対しキャバクラは56.4%です。

これはキャバクラの女性に支払う報酬が高いためです。

かといってキャバ嬢への報酬を低くすれば、同じ売上が作れるかといったらそれは疑問です。

重要なのは、業種、企業規模、ビジネスモデルなどに合わせた適切な売上高人件費率を把握することです。

適正な人件比率をつかめば、現在の自社の経営状況を理解し、正しい判断を行うことができます。

売上高人件費率でわかること

人件費率を売上に対する人件費の割合ですから、人件費率が高いということは、その売上を作るのに人件費が多くかかっているということです。

それつまり、営業利益を圧迫しているということです。

反対に人件費率が低いということは、その売上を作るのに人手がかかっておらず効率的であるといえます。

ただし、ただ単に人件費をかけてない場合もあるでしょう。

そのようなケースでは、商品・サービスの劣化、業務量過多により、従業員への肉体的・精神的ストレスの負荷が加わっていることも考えられ、中・長期的に見ればマイナス要素が大きくなります。

この場合も適正な人数かの見直しが必要です。

売上高人件費率は一過性で考えない

人件費率はピンポイントの時期に合わせて考えると見間違います。

たとえば新人社員を大量に雇えば、業務を効率化できるまでの期間に、それなりの時間を要します。

となると、この期間の人件費率はどうしても高くなってしまいます。

しかしこの期間だけ切り取って、「人件費率が高いから新人社員や未経験者を雇うことは悪いことだ」と判断してしまうと、事業を成長させるうえで足かせとなってしまいます。

新人や未経験者であっても、その後の努力によって生産性は大きく変わるからです。

それ例外でも業務を拡大する場面では、あえて人件費率を大きくしても、人を大量に雇用する必要性も出てきます。

あるいは、繁忙期を閑散期の人件費率で対応しようとすればどうでしょう?

この場合たしかに人件費率は下がります。

ですが、暇な時期の人数で繁忙期に対応しようとすると、業務はパニックを起こします。

品質の低下や接客対応の不備などが起こって顧客離れを起こすこともしばしばあります。

さらに従業員の心的・肉体的ストレスがたまり、離職につながる怖れもあります。

人件費率の高低だけを見て判断するのは危険です。

売上高人件費率の改善に行うべき3つの施策

人件費率を改善するには次の3つの施策が有効です。

1・一人当たりの売上高を上げる

一人当たりの売上高を上げれば、人件費率は低下します。

しかし売上高を上げるといっても簡単ではありませんし、社員が育つまでの長期的展望が必要になります。

ただ社員を育てるノウハウや技術も貯まっていきますので、成功すれば独自の強みを持った企業となり、高収益体質化することができます。

2・売上に対する人件費を削減する

ツールや設備投資などを行い、人件費が下がる業務改善に取り組みます。

業務のIT化などを導入することで、同じ売上を作るのでも作業時間を短縮できます。

3・売上に対する人件費の考え方を変える

たとえば日給1万円円の販売スタッフ5人で、10万円の売上を作れるとします。

このときの人件費率は50%です。

・1万円×5人÷10万円×100=50%

しかしこれをよく売る販売スタッフを集め、その代わりに日給を1万5千円に引き上げ、3人体制で販売したとします。

すると人件費率は45%に改善します。

・1万5千円×3人÷10万円×100=45%

同じ売上げという結果を得られるのであれば、一人当たりの人件費を上げた方がよいこともあるのです(ただしトータルの人件費が上がってしまってはダメですが)。

このように人件費の考え方を変えることでも、人件費率は改善します。

まとめ

売上高人件費率について解説してきました。

繰り返しますが、人件費率の高低だけを見ていると、大きな間違いを犯します。

経営にとって数字で考えることは大事ですが、数字のみでは見えてこないこともあります。

重要なのは、業種、企業規模、ビジネスモデルなどに合わせた適切な売上高人件費率を把握することです。

適正な人件費率をつかんで、経営に役立てましょう。

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