同一労働同一賃金の導入により、同じ労働に従事する正社員と非正規社員で、給与などの「不合理な待遇差」をつけることが禁止されます。

給与には各種手当も含まれます。

その中には出張旅費も含まれます。

出張旅費は「出張旅費規程」を作ることで、社長にとっておいしい節税法となりますが、従業員の中に非正規社員がいる場合は、非正規社員にも正社員と同額の旅費を支払うよう規定を変更しておかなくてはいけなくなります。

出張旅費は社長にとっておいしい規程

出張旅費規定とは、出張に関するルールを定めた規定です。

法人成りした会社だけが作成でき、節税効果があります。

出張をした場合はこの規定の定めに基づいて、会社から出張旅費が支払われます。

出張旅費規程を導入するメリットは次の通りです。

  • 出張手当が給与扱いされない
  • 所得税・住民税の対象にならない
  • 社会保険料の報酬に該当しない
  • 出張旅費・宿泊費・日当は、消費税の課税仕入れの対象になる

2019年10月には消費税が10%に上がりますから、消費税の課税取引になると、消費税の節税効果も大きくなりますが、やはり中でも出張手当が「給与扱いされない」というところが、出張旅費規程を導入する魅力です。

いわゆる非課税所得となるのです。

仮に年間100回の出張がある社長が日当1万円の出張手当を受け取れば、その100万円が丸々非課税で受け取れるのです。

これを給与で受け取るなら、わかりやすく1800万以上の収入のある社長だと所得税・住民税は50%になりますので、会社が用意しなくてはいけないお金は200万円になります。

要は出張旅費規程を使うことで、会社から社長個人への資金移転効率が1/2で済むわけです。

と、それだけおいしいのが出張旅費規程なのです。

※出張日当はいくらでもいいとなりませんので注意が必要です。

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出張旅費が非課税とされる範囲

しかしこの出張旅費が非課税として認められる範囲には、「社内において適正なバランスで運用されていること」という要件があります。

9-3 法第9条第1項第4号の規定により非課税とされる金品は、同号に規定する旅行をした者に対して使用者等からその旅行に必要な運賃、宿泊料、移転料等の支出に充てるものとして支給される金品のうち、その旅行の目的、目的地、行路若しくは期間の長短、宿泊の要否、旅行者の職務内容及び地位等からみて、その旅行に通常必要とされる費用の支出に充てられると認められる範囲内の金品をいうのであるが、当該範囲内の金品に該当するかどうかの判定に当たっては、次に掲げる事項を勘案するものとする。(平23課個2-33、課法9-9、課審4-46改正)

(1) その支給額が、その支給をする使用者等の役員及び使用人の全てを通じて適正なバランスが保たれている基準によって計算されたものであるかどうか。

(2) その支給額が、その支給をする使用者等と同業種、同規模の他の使用者等が一般的に支給している金額に照らして相当と認められるものであるかどうか。

引用元:非課税とされる旅費の範囲

たとえば社長だけ規程で決められた出張旅費を支払って、社員は実費精算で済ます、といったことは認められていません。

必ず社員全員が対象とならなくてはいけません。

そして支給額に「適正なバランスが保たれていること」も条件です。

ただし役職によって格差をつけることは問題となりません。

では同一労働同一賃金のルール改正で、旅費規程を見直さなくてはいけない部分とはどこなのでしょう?

同一労働同一賃金で出張旅費規程の運用コストがアップ

初めにもお話しした通り、同一労働同一賃金とは、同じ職務内容であれば正社員と非正規社員(パート社員、契約社員、派遣社員)で、不合理な待遇差をつけることを禁止した法改正です。

この不合理な待遇差のなかに「出張旅費」が含まれています。

同一労働同一賃金のガイドライン

職務内容に関連しない通勤手当、食堂の利用、出張旅費、安全管理などの給 付については、職務内容がどのようなものであるか否かにかかわらず、給付の前提となる状況が同じであれば、基本的に同一の給付をすることが求められる。

同一労働同一賃金の推進について(補足【Q&A】と【参考文献】) 厚生労働省

つまり、同じ職務内容の正社員と非正規社員が出張に出かけた場合、非正規社員だからという理由で支給する出張旅費に差をつけることはダメになるのです。

税法上は適正なバランスが保たれていれば、非正規社員と正社員で差があっても非課税所得と認めらますが、労働法令上では差をつけることは問題となるのです。

同じ職務内容の正社員と非正規社員が出張に出かけたら、仮に出張旅費規程で日当3000円と決められたいたら、同額を支払いましょうね、ということです。

もし待遇に差をつけるのであれば、「正社員と非正規社員では将来の期待役割が違うから旅費の額も違う」という取ってつけたような主観的な理由ではいけません。

第三者が聞いても納得できる合理的な理由が必要となり、正社員と非正規社員で旅費に差をつけるのであれば、相当な理屈を考えなくてはいけなくなります(繰り返しますが屁理屈ではいけません)。

出張旅費規程の見直しが必要

同一労働同一賃金のルール改定により、出張旅費規程を導入している企業は運用コストがアップする恐れがあります。

そもそも非正規社員がいない、非正規社員がいても出張は頼まないなどなら良いですが、それ以外の場合は出張旅費規程の見直しが必要になります。

オーナー社長の個人の手取りは増えるが、会社全体ではコストアップしてしまった、とならないように注意しましょう。

まとめ

同一労働同一賃金の導入で出張旅費規定も影響を受けます。

同一労働同一賃金自体は、ルールに違反しても罰則はありません。

しかし、社員から損害賠償の訴えを起こされるリスクがあります。

同一労働同一賃金とは?企業側で必要な対応も解説!

出張旅費規程に限らずですが、正社員と非正規社員で待遇差があるなら、その格差を是正しておかないと、後々大きなトラブルに発展しかねません。

出張旅費規程を導入しているなら一度見直してみましょう。

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