社員定着・新卒採用などのために福利厚生制度の導入を考えられている企業もあるでしょう。
人手不足が進む昨今、福利厚生制度の手厚さは企業のアピールポイントの一つになります。
福利厚生制度のある企業とない企業では、やはり魅力あるのは福利厚生のある企業です。
そんなあると社員に喜ばれる福利厚生制度ですが、導入すればやはりデメリットもあります。
この記事では福利厚生のメリット・デメリットについて解説します。
福利厚生とは
福利厚生とは、企業から従業員へ支給される給料以外の報酬のことをいいます。
ただ一言で福利厚生といっても、法律で定められている法定福利厚生と、企業が独自に定める法定外福利厚生の二種類に分類されます。
福利厚生制度は企業が労働力の確保や定着、勤労意欲を向上させることを目的として導入されています。
福利厚生が手厚い会社はやはり安心ですし、社員の帰属意識を高め、それが社員の定着や優秀な人材の採用に影響してきます。
給与と福利厚生の違い
給与
従業員に労働の対価として給付される金銭等を指します。
福利厚生
企業が従業員に提供する、給与以外の報酬やサービスのことです。
ただし福利厚生費でも以下の2点を満たしてないものは、社員に対する給与とみなされます。
- 従業員全員が使えるものであること
- 常識的な範囲のものであること
たとえば特定の従業員だけがスポーツジムに通えるような福利厚生制度だと、名目は福利厚生費でもその従業員に対する給与とみなされ所得税の対象となります。
また、健康診断費用を従業員に支給し、その従業員が好きな医療機関で健康診断を受けるような場合も、その社員へ対する給与とみなされます。
福利厚生制度を企業が導入するメリット
優秀な人材の確保
優秀な人材を確保するためには福利厚生の手厚さはポイントになります。
マイナビの実施した「就職先を選ぶ際に重視すること、1位は?」というアンケートでは、「給与・昇給・昇格」(49.0%)、「福利厚生」(44.5%)と、求職者が就職する企業を選ぶ基準として高い値を示しています。
その他のアンケートでも福利厚生は求職者が選ぶポイントとして必ずあげられる項目です。
参考資料:就職先を選ぶ際に重視すること、1位は?
たとえば育児休暇や介護休暇があると、出産や親の介護で優秀な社員がやむなく辞めるといった事態を避けられます。
住宅手当や家族手当といった手当が支給される会社であるなら、それはやはり社員にとって魅力的です。
このように福利厚生制度があることで、社員は定着しやすく、優秀な人材も集まりやすい環境になります。
社員の健康管理に役立てられる
従業員の健康を守ることは、社員の定着率をアップし、長くその企業のために働きやすい環境を作ることにつながります。
仮に社員が体や心の健康を害してしまえば、長期の休職になったりしますし、離職になることもあります。
休職といかないまでも、体調不良や気分が晴れないなどが原因で、生産性が向上しない、クリエイティブな仕事に取り組めないなど、職場でのパフォーマンスが低下してしまいます。
そのような事態を回避するため、健康診断はもちろん、リラクゼーションマッサージやメンタルヘルスのカウンセリングを導入して、社員の心身の健康を保つ効果を期待できます。
従業員の満足度向上
福利厚生が充実すれば、従業員の満足度が向上します。
その結果、従業員のやる気が上がり、企業の成長に大きく貢献するでしょう。
最近では人手不足が進行していますので、社員の定着率を上げることは企業の大切な施策の一つになっています。
人手不足に陥いれば、企業の業績が悪化することも考えられます。
事実、人手不足による倒産が増えてきているというニュースもあります。
このような最悪の事態を避けるためには、従業員の満足度を高める施策は重要です。
そんなとき福利厚生制度があれば、従業員の満足度アップに役立てられます。
企業のイメージアップ
福利厚生の充実は、従業員や求職者へのアピールだけではありません。
外部の企業や地域の方たちにとって、「従業員を大事にする会社」という印象を与え、社会的信用を得ることにもつながります。
そのような信用が広まることで、雇用の好循環や新たな取引先を生み出します。
福利厚生制度のデメリット
新たな福利厚生費の負担が生じる
福利厚生の最大のデメリットは、企業に大きな負担が生じることです。
福利厚生費をカバーできる資金力のある企業なら良いですが、余裕のない会社であれば、手厚い福利厚生制度を導入するのにも限度があります。
その結果、求職者からの応募率にも差が付き、人材が集まりにくいという悪循環が起こります。
給与や福利厚生費の負担に耐えられない企業は、業務のアウトソーシング化が進むのでないかと予想します。
いずれにしても福利厚生制度の導入により、企業の負担するコストは増えます。
管理が大変になる
福利厚生制度は導入したら終わりではなく、そこからが運用のスタートです。
新たに定めた就業規則に則って、管理・運営が必要になります。
たとえば「食事手当」を福利厚生費として計上するには
- 従業員が食事の価格の半分以上を負担すること
- 会社が負担した食事の価格が、月額3500円以下であること
という2つの条件を満たさなくてはいけません。
この場合の食事の価格とは、自社で作ったものと、他社から購入したものにも分かれます。
自社で購入したものであれば、「その食事の主食・副食・調味料などの材料に相当する費用」が福利厚生費に、他社からの購入であれば「その食事の購入価額に相当する金額」が福利厚生費となります
通常の業務に加えて、このような管理を従業員ごとに行わなくてはいけないのです。
担当者の管理にかかる労力は必然的にアップします。
従業員の不満を誘発する可能性がある
福利厚生を導入したとしても、全ての従業員のニーズに応えることができない可能性もあります。
仮にスポーツジムの利用を全社員で行えるようにした場合でも、スポーツを苦手な人はそこに魅力を感じないでしょう。
その結果、福利厚生を利用していない従業員が、福利厚生に対して不満を抱くことも考えられます。
福利厚生制度の利用率に差が出る
社員旅行も条件を満たせば福利厚生費として計上することができます。
しかし全員に参加を呼び掛けても、事情があって参加できなかったり、そもそも興味がなくて参加しないというケースもあるでしょう。
それが従業員の福利厚生制度の利用率の差になります。
せっかく導入した福利厚生制度でも、利用率に差が出てしまい、それが結果として一部の社員の不平不満の呼び水になります。
従業員の満足度を上げるために福利厚生制度が、反対の結果になる怖れもあります。
まとめ
福利厚生制度を導入するメリット・デメリットについて解説しました。
この記事の中でも書きましたが、求職者にとって福利厚生の充実度は、企業を選ぶ際の大事なポイントになってきます。
この傾向は今後も変わることはないでしょう。
とくに超売り手市場の昨今では、より良い条件を出すことが、他社に先駆けて選ばれるには重要です。
福利厚生制度を導入するメリット・デメリットをよく検討して、そのうえで社員の定着率をアップしたり、優秀な人材を獲得できるように役立てましょう。
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