コストカットのために社員として雇用契約をするのではなく、個人事業主として業務委託契約を行うことがあります。

業務委託契約を交わすことにより、所得税の源泉徴収、社会保険料の支払い義務がなくなり、さらに消費税の課税取引となるため消費税の節税にもなります。

とくに最近では社会保険料の負担が企業の利益を圧迫する事態となっています。

人件費の上昇で資金繰りに悩む企業にとって、業務委託契約のメリットはあります。

しかし業務委託契約として認められるには、完全に独立した事業主として接しなくてはいけません。

完全に独立した事業主と認められなければ、税務上の大きなリスクを負うことになります。

業務請負契約は税金だけでなく、社会保険料でも問題となってきます。

個人事業主として業務委託契約を交わしているが、実態は従業員と認定されてしまえば、その間の社会保険料を遡及して徴収されることになりますし、最大で懲役6か月以下の罰則を受けることもあります。

では業務委託契約とみなされるか否かの基準はどんなものでしょう?

雇用契約と業務委託契約の違い

雇用契約とは

一方(労働者)が労働に従事し、相手方(使用者)がこれに対してその報酬を与えることを約束する契約をいいます。

「労働者」にあたる場合は、原則として労働基準法や労働契約法上の保護を受けることになります。

業務委託契約とは

企業と雇用契約を結ばず、企業と同じ立場で業務依頼を受けることを、業務委託といいます。

これは民法で定める委任の契約により業務遂行をしてもらうというものです。

雇用契約ではありませんので、労働法の規制を受けません。

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業務委託契約を成功させる12のポイント

業務委託契約で問題となるのは、その実態です。

業務委託契約における独立した個人事業主であるかは、契約の形式のいかんにかかわらず、実質的な「使用従属性」の存否をもって判断しなければならないとされています。

したがって、名目上業務委託契約を交わしていても、実態が雇用契約であれば労働者性が認められ、労働法が適用されてしまいます。

業務委託契約における労働者性とは、昭和60年に公表された「労働基準法研究会報告」によれば、次の基準で判断されることになります。

1・仕事の依頼、業務従事の指示等に対する諾否の自由の有無

使用者からの仕事の依頼、業務従事の指示等に対して諾否の自由があれば、対等な立場があるとみなされ使用者の指揮下にないことになります。

反対に拒否する権限がなければ、使用者の指揮下にあると判断される要素になります。

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2・業務遂行上の指揮監督の有無

業務の内容や遂行方法について使用者の具体的な指揮命令を受けていれば、指揮監督関係の重要な要素となります。

使用者から具体的な支持を受けて業務を行っていると、労働者性があると判断される要素になります。

ただし、通常注文者が行う程度の指示等に止まる場合には、指揮監督を受けているとはいえません。

3・受注した仕事以外の依頼

通常予定されている業務以外の業務に従事することがある場合には、使用者の指揮監督を受けているとの判断される可能性が高くなります。

4・拘束性の有無

勤務場所及び勤務時間が指定され、管理されていることは、一般的には指揮監督関係の基本的な要素となります。

5・代替性の有無

本人に代わって他の者が労務を提供することが認められているかどうか、あるいは、本人が自らの判断によって補助者を使うことが認められているかどうかが、指揮監督下にあるかどうかの判断になります。

労務提供の代替性が認められている場合には、指揮監督関係を否定する要素のひとつになります。

6・報酬の支払い方

報酬の支払い方によって指揮監督下にあるかどうか判断されます。

  • 報酬が時間給を基礎として計算される(仕事の成果に対しての報酬ではない)
  • 欠勤した場合には応分の報酬が控除される
  • 残業をした場合には通常の報酬とは別の手当が支給される

といった報酬の支払い方だと、使用者の指揮監督の元にあると判断される要素になります。

7・機械、器具の負担関係

使用者の機械や器具を使用して業務を行うと、指揮監督下にあると判断される要素になります。

8・報酬の額

同様の業務に従事している正規従業員と比べて受け取る報酬が高額である場合には、事業者に対する報酬の要素が強くなります。

9・損害に対する責任など

損害に対する責任を負う、独自の商標を使うなどの点があれば、事業者としての性格が強くなります。

10・他社の業務を受けることができない

他社の業務に従事することが制度上制約されている場合は、従属性が高いと判断される要素になります。

11・報酬の性格

報酬に固定給部分がある、業務の配分等により事実上固定給となっている、その額も生計を維持しうる程度のものであるなど、報酬に生活保障的な要素が強いと認められる場合は労働者性があると判断される要素になります。

12・その他

その他にも判例において

  • 採用、委託等の際の選考過程が正規従業員の採用の場合とほとんど同じ
  • 報酬について給与所得としての源泉徴収を行っている
  • 労働保険の適用対象としている
  • 服務規律を適用している
  • 退職金制度、福利厚生を適用している

といったことがあるときも、労働者性が高いと判断される要素になります。

労働基準法研究会報告

基準を満たさないと社会保険料の対象になる

以上をご覧になっていただければわかりますが、完全に独立した個人事業主と認められないと、業務委託契約とは認められないことになります。

仮に従業員との雇用契約を解消し、あらたに業務委託契約を交わす場合でも、「元従業員だから」と甘えた判断をすると、否認されるリスクは高まります。

つまり、形だけの業務委託契約では、実態を調査されたときに否認され、社会保険料をその期間、2年にさかのぼって請求されてしまうことになってしまいます。

それは税務上も同じです。

逆にいえば上記基準をクリアすれば、否認される怖れもなくなるでしょう。

業務委託を行うときは、税務上も社会保険料対策としても、慎重な運営が必要になります。

まとめ

社員と雇用契約ではなく業務委託契約を結ぶときは、個人事業主として独立して業務を遂行していることが重要になります。

さらに慎重を期すなら、客観的な証拠として、確定申告することも業務委託契約を交わす条件に付け加えておきべきでしょう。

そのような状態で社会保険料の対象外となります。

おかしないい方ですが、本当に外注先に業務委託するような状況を作り出さないと否認されてしまうということです。

すでに業務委託契約を行っている場合もこれからの場合も、業務委託先としての条件を満たしているかしっかり確認しましょう。

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