社会保険の見直しは急務
ご存じのように、社会保険料は今や会社の資金繰りを圧迫するほど重い負担になりました。
それもそのはず、社会保険の料率は労使併せて約30%、その内半分は会社の負担です。
さらに資金繰りにダメージを与えているのは、料率だけが原因ではありません。
社会保険は利益に関係なく課せられる保険料で、赤字であっても支払い義務を免れることはできません。
ここが税金との違いです。
税金は利益によって変動するいわば変動費で、社会保険は利益に関係なく発生する固定費です。
しかも国は差押えなどの方法で、保険料の徴収を強化しています。
売上や利益がなかなか増えない中で、義務化された固定費が増えれば、資金繰りはどんどん苦しくなります。
税金の支払いで会社が潰れることはありませんが、社会保険の支払いで会社が倒産するのは十分あり得る話なのです。
社会保険が社員様の、失業、病気、ケガ、老後の年金に影響することは重々理解しておりますが、会社が潰れてしまっては元も子もありません。
もうすでに社会保険対策を考えるべき時期ではないでしょうか?
社会保険料の負担は減らすことができる
とはいえ、社長は節税には敏感ですが、社会保険料に対する知識が少なく、何をどう取組めば社会保険料の負担を減らせるのかわからず、重い負担を我慢しながら支払い続けているというのが現状です。
しかし、社会保険料は正しい知識を持ってすれば減らすことができます。
ですが、社会保険料は給与総額に比例するものなので、給与を少なくすれば簡単に社会保険料は削減できますが、自分の給料が少なくなる社会保険料削減案など、誰も受容れられないでしょう。
だからこそ、社長・社員様の給与をなるべく減らすことなく、適正化するスキームが必要なのです。
社会保険料を適正化すべき3つの理由
経費削減はキャッシュの確保において即効性はありますが、それだけで存続した企業はないでしょう。
日本の経済環境は、少子高齢化、人口減少、コロナショックと年々厳しくなり、技術革新も加速度的に速くなっています。
このような経済環境で企業が生き残るには、人材を確保し、投資し続けなくてはいけません。
そしてそれが、結果として従業員・役員様の雇用を守ることにつながります。
理由1・投資資金を確保できる
今後の日本が少子高齢化、人口減少になるのは確実で、そこにコロナショックが訪れました。
ただでさえ厳しい経済環境に、より拍車がかかった格好です。
これを契機に、業態変化や異業種進出なども視野に入れなくてはいけなくなりました。
それに加えて技術革新のスピードは速く、新技術や設備を導入しなくては、あっという間に世間のニーズから置いていかれます。
また、同一労働同一賃金や最低賃金の賃上げなど、人を雇うコストは上昇する一方で、業務の効率化を図らないと労働生産性は下がる一方です。
このような状況で企業が生き残るには、投資が絶対に必要です。
投資をすることで企業は成長し、それが利益を生み出す循環サイクルとなります。
現状維持は衰退を招く第一歩です。
重い負担の社会保険料を適正化すれば、企業の成長へ投資することができます。
理由2・新たな社員を雇うことができる
投資資金が企業の成長を促す起爆剤とはいえ、その中心を担うのはやはり人です。
会社の成長を支えるのも人、業務を回していくのも人、技術を身に付け利益を生み出すのも人です。
実際問題として、業務が拡大すれば人手は足りなくなります。
そんなとき、障壁になるのが社会保険です。
社員を雇いたくても社会保険の負担を考えると、簡単に決断できなくなるのではないでしょうか?
雇われる方も、非正規社員ではなく、安定した正社員での雇用を望むでしょう(※念のため非正規社員だからといって社保の負担がないわけでもありません)。
そんなボトルネックを解消するのが社会保険の適正化です。
単なる社会保険の削減では、社員のライフラインとなる社会保障まで削ってしまいます。
福利厚生や待遇の悪い会社に良い人材は集まってきません。
しかし社会保険の適正化なら、福利厚生も充実させながらの社会保険料の抑制方法ですので、保険料の支出を抑えつつ、能力ある人材を雇用することができる、ということを同時に実現できます。
社会保険料適正化で社員雇用時のボトルネックを解消できます。
理由3・雇用を守れる
現状、社会保険の負担が重いのなら、社会保険適正化で保険料が抑えられ雇用を守ることができます。
繰り返しますが、社会保険料率は給与の約30%にもなり、このうち会社側は半分の15%を負担し、なおかつその保険料は会社の利益に関係なく徴収されていきます。
この負担は資金繰りをじりじり圧迫します。
それにより、不本意でも社員をリストラすることになるかもしれません。
これは会社も社員も望む結果ではないでしょう。
そのため社会保険適正化に取り組んでおくべきです。
そもそも社会保険料適正化は単なる削減ではありません。
福利厚生の見直しも含んでいますので、より良い形で社員様へ給与を支払えます。
その結果、資金繰りの負担が軽減され、社員様の雇用を守ることができます。
社会保険適正化メニュー
社会保険適正化メニューは、従業員・役員兼用と役員のみのメニューがあります。
従業員・役員兼用
1.賃金テーブルを活用する
社会保険は段階式で保険料が決まります。
たとえば給与を19万5,000円支給する場合、標準報酬月額が20万円と判定されます。
このときの会社の負担する保険料は約3万円です。

しかし、給与を1円下げて19万4,999円にすれば、等級が1段階下がり、会社負担の保険料は2万8,500円まで削減できます。
たった1円の給与の差で、年間保険料を1万8,000円も抑えることができます。
2.借上げ社宅制度
住宅手当は全額社会保険の対象ですが、借り上げ社宅制度だと、社会保険の対象を一部とすることができます。
また、税務上も給与課税されることがないので、社員・役員の手取りが増えることにもなります。
ただし、一度導入すると変更や廃止が労働者側の不利益変更に触れるため、制度の導入には慎重さが必要です。
3.出張旅費規程
出張手当を廃止し、出張旅費規程を導入します。
出張旅費は「実費弁済の費用として支給するもの」になるため、社会保険の対象外となります。
また、税務上も所得税が非課税となり、法人側も経費に計上することができるため、節税効果も得られます。
4.育児休業終了時改定
育児休業取得後に給与が減額された場合、たとえ1等級の変動でも月額変更の届出(随時改定)を行うことができます。
また、子どもが3歳までの間は、勤務時間短縮等の措置で給与が下がっても、「養育期間標準報酬月額特例申出書」を提出すれば、将来受け取る年金額が減少しないようにする特例措置を受けられます。
なお、産休・育休期間中は労使ともに社会保険料は免除となります。
5.退職金
退職金規程を見直します。
給与の一部を退職金の積立てにすることで、社会保険料の対象から外せます。
会社側は掛金を損金に計上できます。
6.業務委託契約
社会保険料負担回避のために、すでに業務委託契約を導入されていらっしゃる企業もあるかと思います。
しかし、業務委託契約を簡単に考えていると、後で痛い目に遭います。
それは税務調査で業務委託契約が次々否認されていることからもわかります。
外注費で支払ったはずの費用が、給与と認定されてしまうのです。
その理由は、業務委託契約とは名ばかりで、実際は雇用契約と変わらない実態があるからです。
業務委託契約を外注費として認めてもらうには、雇用契約とのハッキリした線引きが必要です。
逆にいえば、雇用契約と業務委託契約の区分がしっかり分かれていれば、同一人物に給与と外注費を同時に支払うことも可能です。
7.生命保険料
生命保険料も社会保険適正化のツールとして利用できます。
社員様の手取りを増やすことができます。
役員用
1.保証料
社長の場合、会社の借入に個人保証していることがほとんどです。
この保証に対し保証料を受取ることができます。
保証料は社会保険の対象外です。
2.役員借入金
社長の財布は個人と法人で一体で、会社が資金不足になると、社長の個人マネーから貸付けられます。
このような役員が会社にお金を貸すことを「役員借入金」といいます。
このお金を会社から返済してもらいます。
これは貸したお金を返してもらうだけですので、社会保険の対象外です。
役員借入金はまとまった金額になっていることがあり、このお金を利用するとかなりの額の社会保険料を減らすことができます。
3.夫婦間よる役員報酬の見直し
夫婦間の役員報酬を見直します。
社会保険料(健康保険・厚生年金)を決める標準報酬月額には上限があり、これを利用すると社会保険料を抑えることができまます。
たとえば、月額200万円を、社長100万円+配偶者100万円で受取るより、社長150万円+配偶者50万円で受取る方が、社会保険料は月額約18,800円安くなり、年間にすると21万円もの差が出てきます。※二人とも第2号被保険者の場合
4.役員賞与
社会保険の上限は賞与にもあります。
この賞与の上限を利用すれば、社会保険を大幅に抑えることができます。
年金復活プランにも利用されるスキームです。
ただし、安易にこの方法を取り入れるのは危険です。
とくに社長の場合は、「一定期間のみの導入」など、役員賞与で社会保険を抑制するのは限定的にした方が無難です。
それは税務上のリスクがあるからです(※直接的な問題ではなく、間接的なリスクです)。
このスキームを導入する場合も、配偶者や親族などの役員報酬とセットで見直すことで安全に、そして社会保険を大幅に抑制できます。
5.連帯保証人対策
連帯保証に対策と社会保険と何も関係ないように思えますが、実は社会保険料を削減しつつ、社長の連帯保証人対策を同時に行えます。
社長は会社が融資を受ける際、連帯保証人になるケースが多いですが、この連帯保証人は実にやっかいな制度で、社長のみならず、ご家族までその責任が及ぶことがあります。
この連帯保証人対策と社会保険削減スキームを同時に行うことができるのが、わたしの推奨するスキームです。
連帯保証人対策について詳しくはこちらのレポートをご覧ください>
ご家族を保証人制度から守るため、ご検討いただきたい対策です。
6.不動産の貸付け
社長個人が不動産を持っているなら、これを会社に貸付けできないか考えます。
会社から受取る賃料は給与でないため、社会保険の対象外です。
ただし、社会保険対策のために無理やり貸付けることはやめましょう。
無理に貸付けると、どこかでその歪の代償を支払うことになります。
7.非常勤役員
非常勤役員は社会保険の対象外のため、人事を見直し、常勤役員から非常勤役員になって経営上問題ない人を洗い出します。
また、同一の世帯に該当する親族の場合、年収が130万円未満だと扶養にすることもできます。
社会保険料の「削減」でなく「適正化」
ただ「社会保険料削減」などというと、いかにも経費削減の乾いた響きに聞こえます。
社会保険は、健康保険、厚生年金保険など、被保険者本人の病気やケガ、老後資金にまで関係してきます。
おいそれと簡単に削減していい類のものではありません。
しかしです。
社会保険料の負担は重く、いや応なしに強制徴収され、社長・社員様の手取り収入は減る一方です。
それはある意味、自分の意志とは関係なく無理やりかけられた保険料ともいえます。
であるなら、払い過ぎの社会保険料を、ご本人の意思に基づき、「適正化」することも必要だと思いませんか?
もうすでに、公的年金だけに頼ると、「老後破産」することもはっきりしています。
自分で老後資金を貯めておきたいというニーズも十分あるでしょう。
だからこそ社会保険料をただ削減するのではなく、社会保険料の適正化が必要なのだといいたいのです。
会社のために社会保険料を削減するというのであれば、それは会社の都合で社員様の公的保障を棄損してしまいます。
しかし社会保険料適正化であれば、ご本人の意思に添った最適な社会保険料の負担を実現できます。
最後に
ここで一つだけ大事なことをお話しさせてください。
社会保険料を削減する第一歩は、「知っている」か「知らないか」の違いしかありません。
知っている社長は賢くお金を貯め続け、知らない社長は延々とお金を取られ続けるのです。
ただ「知っている」か「知らないか」、そして実行したかの違いです。
このページを読んだあなたは、すでに社会保険料を削減する方法があることを知識として得ました。
後は行動に移すのみです。
目の前にある道は「安全」であるにもかかわらず進めないのは、ナビゲータとなるわたしのことを信じきれないからかもしれません。
そんなご不安がおありであるなら、まずは30分無料相談にお申込みください。
Zoomまたはお電話にてお話をお伺いいたします。
この機会に一度、社会保険料のあり方をご検討くだされば幸いに存じます。
※しつこい勧誘や強引な営業は一切ございませんのでご安心ください。