採用に悩む中小企業に「人事ポリシー」が必要な理由

採用対策

人手不足が進む中小企業では、「募集しても応募がない」「採用してもすぐ辞めてしまう」「良い人が採れない」などの採用に関する悩みを抱えています。

「人事ポリシー」を簡単にいえば、自社の人事に関する考え方の根幹となるものです。

もし、採用・離職にお悩みなら、人事ポリシーを作ることをお勧めいたします。

人事ポリシーは人事の基本方針を定めた指針

人事ポリシーとは、その企業が持つ、人に対する基準となる考え方、つまり人事の方向性を決める基本方針のことをいいます。

人事ポリシーによって、

  • 企業が求める人材像
  • 人材への考え方
  • 人材育成の方向性
  • 人事評価方針
  • 給与・賞与・福利厚生方針
  • 採用方針
  • 雇用方針
  • 労働環境
  • 人材配置方針

などが具体化され、これによって企業は、明確な人事戦略を持つことになり、経営戦略を支える重要な支柱となります。

本来、人事ポリシーは、本来はなくてはならないものですが、中小企業のほとんどは定めてなく、無くても困ったことがないが実情だと思います。

しかし、人手不足で採用がますます困難になる中、人事ポリシーの必要性は高くなっていくでしょう。

人事ポリシーが求人・採用・定着率アップに役立つ3つの理由

人事ポリシーがあることで、中小企業が抱える人手不足解消に役立つ理由は下記の通りです。

1・自社に合う人を採用できる

人事ポリシーを定めるときには、「求める人材像」も明文化されます。

求める人材像とは、主に下記のことを具体的に示し、その企業が採用したい人物像を明確化することをいいます。

  • スキル・能力
  • 学歴・経歴
  • 性格・特性
  • 資格
  • 価値観

このような採用したい人の基準が具体化されることで、

と、お互いの考え方を照らし合わせることができるため、いわゆる雇用のミスマッチを減らせます。

労使間でお互いの価値観が合えば、定着率の向上につながるでしょう。

とくに、会社が大切にする価値観やカルチャーの合致は重要で、合わない人が入社してしまうと、結局、不満を抱えて本来のパフォーマンスを発揮できなくなります。

これは、会社側にも求職者側にも不幸でしかありません。

それに何より、会社のカルチャーに合わない人が、組織に居続けることは、規律や文化を壊すことにもつながります。

したがって、価値観やカルチャーに合わない人を採用しないことは、会社組織を守る上でとても重要な事項です。

2・従業員の定着率の向上

人事ポリシーは、人事戦略の方向性を定める基本方針ですが、人事戦略には、企業がビジョンを達成するために、人を「どう活用していくか?」の中長期の計画が含まれます。

計画達成のためには、従業員の能力をどう育成していくかを、見直していかなくてはいけません。

そこで必要になるのが、評価制度や、従業員の能力開発のバックアップ体制です。

明確な評価基準があれば、「なぜ自分が評価されたか?」「なぜ評価されなかったか?」「どの部分が評価されたのか?」などが理解でき、自身がどう動けば賃金や昇格するかがわかります。

その結果、従業員は不平や不満を抱えにくくなり、意欲を持って業務に取り組めます。

また、キャリアパス制度や研修制度、資格取得奨励などのキャリア開発支援があれば、従業員はスキルアップを図って、キャリアップや収入アップに繋げることできます。

これにより従業員は、自分のライフプランや将来のキャリアップを具体的に描けるようになり、その会社で働くことへの安心感を持つことができます。

このような制度を通じ、高度なスキルが身に付けば、お客様に役立つことが増え、新たなやり甲斐を感じて、さらに成長意欲を高めてくれるでしょう。

従業員の公平感や満足感、将来への希望ややり甲斐は、組織への帰属意識を高めて定着率アップを図れます。

3・魅力が伝わり求人数が増える

人事ポリシーの基となるのは経営理念やパーパスで、必然的に人事ポリシーには、その企業の経営理念やパーパスが反映されます。

企業の価値観や文化を伝えることで、その企業で働く「意義」を見出すことができます。

「我われは何のために働いているのか?」「会社が存在する意義とは何なのか?」

このようなことが明確に文章化されていれば、

  • 自分がその会社で働く意義
  • 自分が社会に貢献できること
  • その会社を通じて自分が成し遂げたい目標や夢

を具体的に持つことができます。

それを言い換えれば、企業の魅力です。

魅力が伝われば、そこで働きたい人は増えます。

さらに、価値観の一致は、企業と従業員の絆を強める重要な要素です。

価値観を一つにする組織になれば、ベクトルが同じ方に向き、組織の団結力は強くなり、目的達成へ向け推進力を生みだします。

まとめ

人事ポリシーを持つことで、人材の獲得だけでなく、従業員の定着率向上、ひいては企業の持続的な成長にまで役立てられます。

人手不足で悩む中小企業だからこそ、人事ポリシーが必要になるといえるでしょう。

大畑 寛泰

1972年生まれ/鳥取県在住/趣味:英語学習・料理(和洋中)/多様な職務経験と財務・労務リスク対策の知識をバックグラウンドにした、「人」と「お金」の両面から企業の成長を支援する人事評価制度コンサルタント。事業戦略、人事評価、労働環境の整備、財務の安定から支援し、「この会社で頑張りたい」「この会社で働きたい」と人が集まる「良い会社」作りをサポートします。

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