能力はあっても経営理念に反する従業員は残してはいけない

組織論

「ビジョナリー・カンパニー ~時代を超える生存の原則」には、ビジョナリー・カンパニーと呼ばれる企業に、

「経営理念を従業員へ徹底教化して組織内の価値観を統一し、理念を中心に組織が構築されている。その様はカルトに近い」

という共通点があると記述されています。

その価値観の統一には、理念に共感する者のミスは許しても、理念に共感しない者のミスには解雇も辞さずの態度で徹底されています。

経営理念を守り抜く姿勢

経営理念を守るために、どれだけ厳しい態度で臨んだか、それを示すエピソードに、ウォルト・ディズニー・カンパニーの創業者、ウォルト・ディズニー氏の例が記述されています。

ウォルト・ディズニー氏は、従業員に、会社の理念と忠誠心を守ることを強く要求しました。

経営理念と忠誠心の遵守は、ある種、リトマス試験紙の役目を果たしていました。

たとえば、忠誠心があってまじめに働いている従業員は、間違いがあっても許されること多く、その回数は5度目もあったとのことです。

しかしその反面、理念をないがしろにしたり、忠誠心がない従業員には容赦がなく、「仕事のうえでどんな不都合があろうとも、ただちに解雇された」とあります。

それは、どんなことがあっても、理念を守り抜くという強い信念の表れでした。

能力は高い従業員でも

一般的に、経営理念を軸に考えれば、授業員は次の4タイプに分けられます。

  • 経営理念を守って能力も高い
  • 経営理念を守るが能力は低い
  • 経営理念は守らないが能力は高い
  • 経営理念は守らず能力も低い

この中で、一番対応に困るのが、③の能力は高いが経営理念には共感しないタイプでしょう。

理念に共感せずとも、数字を上げてくるなら、なかなか強く出られないという面もあります。

ですが、このようなタイプを放置すれば、組織の和は乱れ、やがて規律はガタガタになるでしょう。

規律やルールを守らなくても許されるのなら、「無理して守らなくても会社に居られるのだな」という気の緩みが生まれ、それが式全体に広がっていきます。

堤が崩れるのも、蟻の一穴からです。

泣いて馬謖を斬るではないですが、組織である以上、優先されるべきはチームプレイです。

個人の成績が優れていれば許されるという風潮の芽は、早い段階で摘んでおくべきでしょう。

それに何より、やはり一人の力より、組織の力が合わさった方が、成果も成長も何倍も開きがあります。

そこに必要なのが、自分たちがまとまれば、どんな目標でも達成できるという、組織の強い意志です。

その強い意志は、統一された価値観やカルチャーから生まれるものです。

その中心にあるのが、経営理念やミッションです。

であるなら、やる気や能力のない従業員はもちろんのこと、能力があっても組織の和を乱す従業員は、残しておいてはいけないという結論に至ります。

異分子はいらない

なぜ、ビジョナリー・カンパニーと呼ばれる企業が、「まるでカルトのよう」と評されるほど、理念の教化の徹底にこだわるのか?

それは価値観を統一し、強い団結力を発揮するためです。

その団結力こそが、危機に陥っても突破するパワーとなります。

経営理念に反する異分子は、たとえ能力があっても組織のためにはなりません。

大畑 寛泰

1972年生まれ/鳥取県在住/趣味:英語学習・料理(和洋中)/多様な職務経験と財務・労務リスク対策の知識をバックグラウンドにした、「人」と「お金」の両面から企業の成長を支援する人事評価制度コンサルタント。事業戦略、人事評価、労働環境の整備、財務の安定から支援し、「この会社で頑張りたい」「この会社で働きたい」と人が集まる「良い会社」作りをサポートします。

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