宗教と強い会社組織には、カルチャーや価値観を軸にして、連帯感を生むという共通点があります。
宗教は、教えや信仰や戒律で、組織は、経営理念やパーパスやミッションで、価値観やカルチャーを共通の価値基準としていきます。
その結果、一体感や結束力が生まれ、どんな困難でも立ち向かえる「組織力」が高まります。
組織力が高まると得られる6つの効果
組織力とは、組織内のメンバーが共通の目標に向かって一致団結して進む力のことです。
組織力が高まれば、次の6つが向上します。
1.目標達成力
団結力が高まると、チームで目標を達成することに意識が変わります。
個人プレーが多い組織では、チームの連携力は弱まり、組織はガタガタになります。
自分の評価より、チームの成果を優先することで、個々の従業員が自分の役割を認識し、チーム内の連携がスムーズに進むようになり、目標達成力が高まります。
2.パフォーマンス
会社が掲げる経営理念やパーパス、ミッションに従業員が共感すると、積極的に業務に取り組むようになるでしょう。
積極性は、生産性やクオリティを向上させ、組織全体のパフォーマンス力を高めます。
3.コミュニケーション
一体感のある組織は、部門や役職の垣根を超えてコミュニケーションが取れるようになり、風通しの良い組織となります。
円滑に情報の共有化ができる組織は、意思決定や課題解決への対応が早くなります。
4.組織文化
文化とは、民族や社会の風習・伝統・思考方法・価値観などの総称のことで、一体感を持つ組織にも、経営理念やパーパスをベースにした、同じ価値観や行動規範を持つ組織文化があります。
組織文化は、新入社員にも先輩社員から教化されていき、組織内での仕事の進め方や規律などが、「そうすることが当たり前」であることが刷り込まれ、組織全体に常にまとまりを生みます。
組織文化は、良くも悪くもどの会社にもあるもので、悪い文化は会社を悪い方向に進め、良い文化は会社を良い方向に向かわせるでしょう。
企業が成長していくためには、良い組織文化を持たねばなりませんが、組織力の高まりは組織文化の浸透にも影響します。
5.競争力
組織力の高さの特徴である、コミュニケーションが円滑な組織は、イノベーションが起こりやすく、意思決定や課題解決への対応も迅速に行われます。
また、組織全体で価値観や方向性を共有化し、従業員一人ひとりの組織への帰属意識が高いため、チームは強い結びつきを持っています。
このような組織としてのまとまりは、企業の競争力と直結します。
6.組織の持続可能性
一体感のある組織は、従業員のエンゲージメントを高めます。
それは、離職率を下げて、メンバーとの長期的な関係の安定につながります。
そこで築かれた従業員同士の信頼関係は、組織の強い基盤となって、持続的な成長を支えます。
「敵」を作って組織を団結する方法はやがて行き詰る
組織の団結力を高めるために、外敵を作ってまとめるという方法があります。
「彼らのやり方は間違っている」「自分たちがそれを正す」的な大義を作って、組織をまとめていく手法です。
古来からある方法ですが、これで長く繁栄した国はなく、最後は滅びてしまう運命だそうです。
国内に不満が生じる度に、国民の目を外敵に向けさせると、一時的にはガス抜きになって上手くいくかもしれません。
しかし、それで国内の問題が、本質的に解決することはなく、問題は少しずつ土台を侵食していきます。
これは、会社組織も同じでしょう。
組織の目を外敵に向けさせたところで、そこに進歩や前進はありません。
本当に目を向けなければいけないのは、顧客です。
顧客のニーズに応えれなければ、企業は生き残ってはいけないのが市場の本質です。
外敵を使って組織力を高めることは、問題の本質に目を背けるだけで、却って組織をダメにする行為となるでしょう。
宗教と会社組織で共通する価値観・カルチャーを統一する方法
組織力を高めるためには、組織内でカルチャーや価値観や行動規範の統一基準を持つことが必要になります。
統一基準を持つために活用すべきものは、宗教と会社組織で意外に共通しています。
1.価値観
宗教では、共通の信仰、教え、戒律が、信者の価値観を統一して、集団内の結びつきを深めます。
会社組織では、経営理念やパーパスやミッションが、宗教の教えと同じ役目を果たし、組織内の価値観を統一します。
2.ルール・行動規範
宗教では戒律が信者の行動のガイドラインとなり、信者はこれを守ることで、教団内の規律が保たれます。
一方の会社組織は、就業規則といった法律的なルールや、組織文化を形成する暗黙のルールなどにより、組織内での従業員の行動を律していきます。
3.シンボル・儀式
宗教におけるシンボルや儀式は、信者の信仰を深めるツールです。
十字架や仏像は信仰の象徴となり、ミサや礼拝などの儀式で、信者間のつながりを強めます。
企業のシンボルは、ロゴやモットー、儀式は、研修や表彰式、総会などです。
会社組織においても、シンボルは組織の一員であることを視覚的に自覚させるツールであり、儀式は組織内のコミュニケーションを深めたり誇りを与えたりする、舞台装置の役目を果たします。
4.メディア
メディアも価値観や行動規範を浸透させる効果的なツールです。
オフラインのパンフレットや社内報、オンラインのホームページはもちろん、今はSNSや動画が教化や啓蒙に活用できます。
とくに動画の効果は大きく、従業員の視覚と感情を刺激して、より深く価値観や行動規範の理解を促します。
インナーブランディングとは
ちなみにこれを、「インナーブランディング」といいます。
インナーブランディングとは、企業の理念やビジョン、価値観などを、社員一人ひとりにしっかりと理解してもらい、共感を得ながら行動に移してもらうための活動です。
動画はインナーブランディングの浸透に、相性の良いツールです。
コメント