経営者保証を解除するには、主に
- 法人と個人の一体性の解消
- 財務基盤の強化
- 財務状況の適時適切な情報開示
などが問われます。
このうち財務基盤の強化のマーカーとなる指標には、収益性(営業利益・経常利益)、返済能力(債務償還年数)、自己資本が挙げられます。
これら指標を改善するには、「借入れ」を上手に使い、「節税」は避けましょう。
財務基盤の強化が連帯保証解除につながる理由
経営者保証を解除するために必要な要素の一つが、「財務基盤の強化」です。
借りる主体となる法人に、収益力とストックした資産があれば、社長個人の保証に頼らなくても返済できるわけですから、当然といえるでしょう。
そこで財務基盤強化の指標となるのが、
- 収益力(営業利益・経常利益)
- 返済能力(債務償還年数)
- 自己資本
の3つです。
- 営業利益→本業の収益力を見る指標
- 経常利益→借入れ利息支払い能力を見る指標
- 債務償還年数→長期借入金を収益で何年で返済できるか見る指標
- 自己資本→ストック資産で返済できるか見る指標
これらの指標を改善することで、会社の財務基盤は強化され、経営者の個人保証をを必要としない返済能力を備えることができます。
それぞれの財務指標が、金融機関からどのように評価されるかは下記の記事をご覧ください↓
無借金経営は連帯保証解除を遅らせる
ただし、ここでやってはいけないことは、無借金で財務指標を改善しようとすることです。
無借金では、改善はどんどん遅れます。
実に皮肉な話ですが、連帯保証を早期に解除するためには、さらなる借入れを行った方が解除は早く行えるということです。
なぜなら、売上げを増やし、収益力を向上させ、資産をストックしていくには、先行してお金が必要になるからです。
これを自己資金だけで賄おうとすると、準備できる金額も少なくなるため、改善できる範囲も小規模にならざるを得ないのです。
もちろん、お金があればすべて上手くいくわけではありません。
しかし、手元に1,000万円しかない会社と1億円ある会社では、打てる施策の数も、結果が出るまで待つことができる体力も違います。
どちらが有利かは一目瞭然です。
節税は連帯保証解除に逆行する施策
そして連帯保証解除に逆行するのが「節税」です。
基本的に、節税対策と称するものは、税の繰り延べがほとんどで、その方法も、経費を使って利益を減らすものが主となります。
たとえば、1,000万円の利益が出て、300万円の法人税が発生するとします(法人税率を30%と仮定)。
この300万円を発生させないためには、1,000万円の損金を作ればいいことになりますが(ここではわかりやすくするために減価償却やリースの話は省きます)、1,000万円の利益と1,000万円の損金を相殺すれば、手元に残るお金は0円になってしまいます。
その結果、収益性(営業利益・経常利益)と返済能力(債務償還年数)が悪化します。
さらに、法人税は0円になっても、ストックするお金(繰越利益剰余金)まで0円になり、自己資本も増えません。
利益が出たら、納税しなければ、財務基盤強化のマーカーとなる3つの指標は改善しないのです。
上記ほど極端でないにせよ、節税で利益を減らせば、財務指標は改善は遅々として進みません。
これでは、いつまで経っても連帯保証解除はできないでしょう。
まさに、連帯保証解除と逆行するのが節税なのです。
連帯保証解除より節税が優先するのであれば、節税をしたらいいと思います。
しかし、連帯保証解除をしたいのであれば、節税は控えた方が賢明です。
連帯保証をそのままにしておけば何が起こるか?下記記事をご覧ください↓
まとめ
連帯保証解除を遅らせるのが節税です。
節税をするなら、少なくとも連帯保証解除してからと決めた方がいいでしょう。
連帯保証人のままなら、いくらお金をためても、万が一会社が破綻すれば、個人資産をすべて弁済に充てなくてはいけないのですから。
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