業務改善をして生産性を向上させることは、会社に利益をもたらします。
しかし、それで終わってはいけません。
本丸は、付加価値をつくり出し、粗利益を増やすことにあります。
すかいらーくがロボットの導入で業務改善
外食産業大手のすかいらーくでは、「ネコ型配膳ロボット」を、2,100店舗、3,000台導入したそうです。
この導入により、ランチピークの回転率が7.5%向上し、片付け時間が35%削減、店舗内の歩行数も42%削減したとのこと。
業務効率化の成果は、はっきり数値に表れているようです。
最早、IT化や設備投資による業務効率化は、避けて通れないといってもいいでしょう。
業務改善の指標、労働生産性
業務効率化を行うと労働生産性が向上します。
労働生産性とは、一人当たりいくらの粗利益を稼いでいるかを計測する指標です。
・労働生産性=粗利益÷社員数
社員10人、粗利益1億円の会社の労働生産性は1,000万円となります。
それに対し、社員9人で同額の粗利益を稼ぐなら、労働生産性は1,111万円になります。
前者と後者を比べれば、後者の方が1.1倍効率良く稼いでいることになるでしょう。
すなわち、労働生産性が向上したということです。
システムのデジタル化や新設備を導入して作業効率を上げるということは、その分だけ人の手が掛からなくなるのですから、労働生産性の向上をもたらします。
労働生産性は適正「社員数」を教えてくれる
ただし、業務改善しただけでは粗利益は変わらないままですから、計算上では人手が余ることになります。
※製造業や建設業などで、製造に従事する人件費は売上原価になりますので、業務の効率化でこの人件費が下がれば、粗利益は増えます。
先ほどの労働生産性の計算を思い出してみましょう。
仮に、粗利益1億円、労働生産性は1,100万円がベストとするなら、最適な社員数は9人導き出せます。
・1億円÷1,100万円=9人
もし、現状の社員数が10人であるなら、1人多く雇っていることになります。
イノベーションは人間にしか起こせない
ですが、ここであえていわせてもらえば、9人が最適数だからといって、1人をリストラすれば、それで課題解決とはいい難いでしょう。
1人削減すれば利益は出ますが、人的資本という経営資源を失います。
人的資源を活用できなければ、いずれ事業は停滞してしまうでしょう。
業務を効率化するのも、付加価値をつくれるのも、人であることを忘れてはいけません。
イノベーションは人間だけにしか起こせないのです。
だからこそ、どうすれば付加価値を付けられるかに考え方をチェンジしなくてはいけません。
いくらの粗利益が必要か?
先ほどの例でいえば、10人体制で1,100万円の労働生産性を目指すなら、1億1,000万円の粗利益が必要ということです。
・10人×1,100万円=1億1,000万円
したがって経営者は、現状から1,000万円の粗利益を増やす施策を打たなくてはいけないというわけです。
そしてこれそが、利益改善の本丸といえます。
IT化や機械・設備の導入で満足していては、利益はもたらされないのです。
まとめ
システムのデジタル化やオンライン化、最新機械や設備の導入により、業務効率化することは、今後、避けて通れないでしょう。
やらなければ、導入した競合との差はどんどん開きます。
しかし、本当の改善は粗利益の高付加価値化にあることを忘れてはいけません。
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