不動産管理委託方式を解説。節税効果のカギは管理料をいくらにするか?

不動産の税金

不動産管理会社には、管理委託方式、一括転貸方式、不動産所有方式の3つがありますが、この記事では、管理委託方式について解説します。

管理委託方式とは

管理委託方式は、不動産は個人のオーナーが所有し、その不動産の管理業務を会社(同族会社)に委託する方式のことです。

要は、通常であれば第三者の会社に委託する管理業務を、同族会社に委託してしまおうということです。

その結果、業務委託料が個人オーナーから管理会社に支払われることで、個人オーナーに集中する所得を、会社に分散できるわけです。

この管理委託方式の節税効果のポイントは、「管理料をいくらにするか?」ということです。

実態に比べて高過ぎる管理料は、課税当局に否認されます。

一般的な管理料の相場としては、家賃の3~8%といわれています。

管理法人の業務内容

管理委託法人への管理料は、任せる業務内容に変わります。

一般的な管理業務としては下記のものがあります。

  • 入居者の募集や面談
  • 賃貸借契約の締結、更新、解約などの手続き
  • 入居者の入居時のチェック
  • 入居者や近隣住民のクレーム処理
  • 入居者の退去時のチェックと清算金の処理
  • 家賃の請求と受取り
  • 敷金、礼金、保証金等の請求と受取り
  • 建物とその周辺の清掃、見回り、管理
  • 共有部分の保守、管理
  • 建物修繕工事等の見積もり依頼、工事の選定、発注業務
  • 建物保守管理業務(エレベーター、電気保安施設など)に伴う、業者のへの連絡、発注、確認業務
  • 大規模修繕計画の立案、実行、チェック業務

ちなみに、賃貸建物を修繕した費用が、一括償却(経費)になるか減価償却(資本的支出)になるかの違いは、こちらの記事をご覧ください↓

管理委託法人への管理料はいくらか?

管理委託方式で重要なポイントになるのは、前述した通り、管理会社へ支払う「管理料をいくらにするか?」です。

同族法人である管理会社へ業務委託する理由は、節税が主な目的です。

個人オーナーへの所得の集中を避けるため、法人を通じて所得を分散していきます。

したがって、管理委託料は高いに越したことはないですが、その点は、税務署も重々承知しております。

そのため、税務調査で管理業務との実態を照らし合わせて、「不相当に高額」と判断されると、その高額な部分は否認されることになります。

管理委託方式で否認された事例がこちら↓

管理料はいくらなら否認されないか?

管理委託料は、「家賃の何%なら大丈夫」という基準を国税が示しているわけではありません。

一応、税務調査で指摘されない業務委託費の一般的な相場としては、家賃の3%~8%といわれています。

しかし、管理料が適正かどうかの判定は

  1. 業務内容(実態も含む)
  2. 事業の規模・収益
  3. 同業の管理業者との比較

で決まるのが基本です。

したがって、たとえ管理委託料が家賃の10%でも、業務内容がそれにふさわしく、かつ、近隣業者と比べて同水準であれば、否認されるリスクは低くなるといえます。

管理料を否認されないための税務調査対策

否認されないための対策としては、

  • 同じ地域の管理業者の委託料を調べておく(同規模の貸しビルや賃貸マンションを請け負っている管理業者)。
  • 業務日報つけるなどして、証拠書類を残しておく

ことが重要になります。

税務調査で管理委託料が「不相当に高い」と判断された場合、

  • 業務内容が実態を伴っているか?
  • 事業規模、収益の状態からみて管理料は適正か?
  • 同業他社と比べて高くないか?

を調べられますので、これらに対応するために、業務日報などの証拠種類を残したり、周辺の同業の価格を調べておくことは、指摘された場合の有効な反論となります。

逆にいえば、8%以上の管理料を設定したいなら、上記の理論武装をしっかり揃えておくことが重要といえます。

一般的な管理料は、3%~8%が目安と述べましたが、実際は、委託する業務内容によって、個々に算定することになるため、

  • 価格に見合った業務内容
  • その価格が、同業とも乖離してない

となれば、たとえ10%であっても、根拠を持って反論できるということです。

なお、管理委託料を決める「家賃収入」には、礼金、更新料などの臨時収入、共用部分の光熱費等は除いて計算します。

管理料の見直しは毎期がベスト

第三者となる業者に管理委託する場合は、「家賃の〇%」といっても、それは集金した家賃ベースで計算するのが一般的です。

その一方、同族会社の場合は、毎月の管理料が変動するのが面倒で、「契約書面の家賃×〇%」と、実際の家賃収入とは別に、管理委託料が「一定」ということがあります。

その場合でも、事業年度ごとに契約を見直して、管理委託料を決めるのが望ましいといえます。

不動産オーナーと管理会社の経費の線引きはハッキリさせる

同族会社と管理委託契約を結ぶときは、管理上で生じる「経費の負担」についても決めておきましょう。

この点をあいまいにしていると、税務調査で否認される原因となります。

<個人オーナーが負担する費用>
  • 保守管理費用
  • 大規模修繕に沿った修繕費
<管理委託会社が負担する費用>
  • 清掃器具の購入費用
  • 共用部分の電球交換費

管理会社が負担する費用は、基本、管理業務に関係するものだけということです。

管理業務を外注する場合

同族法人の管理会社に委託した業務を、さらに、第三者の管理会社に外注する場合は、どの外注費用は同族法人の負担となります。

たとえば、同族法人の管理会社に8%の管理委託料を支払っているのであれば、その中から、5%の外注費を支払って、第三者の管理会社に業務を委託するという形になります。

このとき、管理料が適正価格かどうかの判断は、外注費を含めた同族法人管理会社への管理委託料となります。

したがって、第三者への外注費を上乗せして管理料を設定しているのであれば、否認されるリスクは高くなります。

まとめ

管理委託方式で分散できる所得が8%程度であれば、節税効果は大きくなりません。

それどころか、管理会社の運営費用で、費用倒れになることも考えられます。

たとえば、年間1,000万円の家賃収入で、8%の管理委託料なら、年間で80万円です。

これでは、管理会社の運営費用と必要経費を支払えば、役員に支払う報酬はいくらも残らないでしょう。

つまり、家賃収入が少ない場合は、管理委託方式は合わないということです。

管理会社を設立の前に、しっかりシミュレーションをして、その効果を見極めましょう。

設立は、そのあとで遅くはありません。

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