事業承継時に連帯保証人が妨げになることがあります。
現経営者の経営者保証、新経営者の経営者保証、どちらの連帯保証人も重い足かせとなります。
現実問題として、経営者の会社の借入への連帯保証(経営者保証)が、事業承継の障壁になっているという事実があります。
そこでこの問題を重く見た国は、経営者保証が事業承継のブレーキにならないよう、「経営者保証に関するガイドライン」に新たな特則を加えました。
それが、「事業承継時に焦点を当てた『経営者保証に関するガイドライン』の特則」です。
「事業承継時に焦点を当てた『経営者保証に関するガイドライン』の特則」とは
「事業承継時に焦点を当てた『経営者保証に関するガイドライン』の特則」とは、事業承継に特化した連帯保証人問題を解決するためのガイドラインです。
すでに平成26年2月より、「経営者保証に関するガイドライン」は運用がスタートしていますが、経営者が負う連帯保証人が、事業承継が円滑に行われない原因になっていることが指摘されていました。
そこで令和元年に、「事業承継時に焦点を当てた『経営者保証に関するガイドライン』の特則」が新たに定められました。
「事業承継時に焦点を当てた『経営者保証に関するガイドライン』の特則」は、すでにある「経営者保証に関するガイドライン」を補足するものですが、事業承継時にフォーカスした具体的なルールが定められています。
ガイドラインに強制力はありませんが、これに則って運用することを、経営者、保証人、金融機関に求めており、このルールが経営者保証解除を行う際の基本となります。
事業承継時の連帯保証人解除のルール
「事業承継時に焦点を当てた『経営者保証に関するガイドライン』の特則」に定められていることは、事業承継時の経営者保証についてです。
具体的には次の通りです。
- 原則として、前経営者、後継者の両者から経営者保証を求めないこと。
- 後継者が保証人になる場合には、経営者保証が事業承継の阻害要因になることを十分考慮し、保証の必要性を柔軟に判断すること。
- 前経営者の保証に関しては、前経営者が第三者になることを踏まえて、経営者保証の解除に向けて適切に見直しを行うこと。
- 金融機関が上記判断を行うときは、経営者保証に関するガイドライン第4項(2)に則って検討しつつ、経営者保証の意味(規律付けの具体的な意味や実際の効果、保全としての価値)を十分に考慮し、合理的かつ納得性のある対応を行うこと。
対象債権者は、停止条件又は解除条件付保証契約、ABL、金利の一定の上乗せ等の経営者保証の機能を代替する融資手法のメニューの充実を図ることとする。また、法人個人の一体性の解消等が図られている、あるいは、解消等を図ろうとしている主たる債務者が資金調達を要請した場合において、主たる債務者において以下のような要件が将来に亘って充足すると見込まれるときは、主たる債務者の経営状況、資金使途、回収可能性等を総合的に判断する中で、経営者保証を求めない可能性、上記のような代替的な融資手法を活用する可能性について、主たる債務者の意向も踏まえた上で、検討する。
イ) 法人と経営者個人の資産・経理が明確に分離されている。
経営者保証に関するガイドライン第4項(2)
ロ) 法人と経営者の間の資金のやりとりが、社会通念上適切な範囲を超えない。
ハ) 法人のみの資産・収益力で借入返済が可能と判断し得る。
ニ) 法人から適時適切に財務情報等が提供されている。
ホ) 経営者等から十分な物的担保の提供がある。
事業承継時の経営者保証解除はどのように判断されるか?
前経営者と後継者の保証人についての措置をガイドラインでは次のように求めています。
1.前経営者と後継者の二重の保証契約
前経営者と後継者の二重の保証は、原則として求めないことが基本とされています。
もし、二重の保証を求める場合でも、その理由や保証が提供されないときの融資条件を説明し、双方からの理解を得なくてはいけません。
例外的に二重の保証を求める場合に、次のような例を挙げています。
- 前経営者が亡くなり、相続確定までの間といった一時的に二重徴求となる場合。
- 前経営者への多額の役員貸付金を理由に、保証人となった後継者が前経営者の保証を解除しないことを求めている場合。
- リスケや事実上の返済が滞っているケースで、前経営者から後継者へ多額の資産の移転が行われていたり、法人から前経営者や後継者へ多額の役員貸付金行われていて回収がされおらず、当初見込んだ経営者保証の価値が大きく棄損し、双方から保証を取らないと支援をするのが困難となる場合。
- 前経営者と後継者の双方から保証の申出があった場合で、金融機関からの十分な説明にも関わらず、その意思が変わらなかった場合。
なお、代表権は譲ったものの、いまだ株式の大半を前経営者が持っている場合でも、それだけを理由として二重の保証を求めることはないようにすべきともしています。
さらに、二重の保証を求める場合でも、一定期間ごとの見直しにより、安易に二重徴求が続かないようにすることも求めています。
2.後継者との保証契約
後継者との保証契約については、「経営者保証に関するガイドライン第4項(2) 」に則って、金融機関がその判断を行います。
ガイドラインには、「後継者に当然に保証を引き継がせるのではなく」とあり、新経営者に連帯保証人を求めることを慎重に判断するようにとしています。
仮に、要件を満たしていない場合でも柔軟な対応を求めていて、後継者が保証人にならないで済む余地を残しています。
上記の連帯保証人契約の判断を行う際には、「経営者保証に関するガイドライン第4項(2)」に加えて、以下の点を考慮するようにとされています。
- 主たる債務者との継続的なリレーションと、それに基づく事業性評価と、事業承継計画の内容と成長可能性を考慮すること。
- 規律付けの観点から、報告義務等を条件とする停止条件付保証契約等の代替的な融資を活用すること。
- 外部専門家や公的支援機関による検証や支援を受けてガイドラインの要件充足の改善に取り組んでいる場合は、検証結果と改善計画の実現見通しを考慮すること。
- 「経営者保証コーディネーター」によるガイドライン第4項(2)を踏まえた確認を受けた中小企業については、その確認結果を十分に踏まえること。
後継者に保証を求める場合の措置
以上の検討を金融機関が行った結果、それでも「保証が必要」と判断されることもあります。
その場合でも、次のような配慮をすることを求めています。
- 資金使途に応じて保証の必要性や保証金額の設定を検討すること。
- 規律付けの観点や財務状況が改善した場合に保証債務の効力を失うこと等を条件とする解除条件付保証契約等の代替的な融資手法を活用すること
- 一定の要件を満たす中小企業については、保証人を徴求しない信用保証制度を活用すること。
- 経営者保証不要の政府系金融機関の融資を債務者が希望する場合は、その意向を尊重すること。
いかがでしょう?
後継者に保証人を求めないことはもちろん、保証契約が必要となった場合も、保証の負担が減るように配慮を求めていることがわかります。
3.前経営者と保証契約
前経営者についても、適切な保証契約の見直しをすることを求めています。
もし、前経営者に対して、引き続き保証契約を求める場合でも、
- 前経営者の株式保有状況(議決権の過半数を保有しているか等)
- 代表権の有無
- 実質的な経営権・支配権の有無
- 既存債権の保全状況
- 法人の資産・収益力による借入返済能力等
を勘案して、保証の必要性を慎重に検討する必要があるとされています。
引き続き保証を求めながら、さらに「保証の必要性を慎重に検討」とは、よくわかならない文章ですが、「実質的な経営権や・支配権の有無」とあるように、経営にタッチしているかポイントになります。
この点ガイドラインでは、「取締役などの役員ではなく、議決権の過半数を有する株主等でもない」前経営者に保証を求める場合は、「より慎重な対応が求められる」とされていて、事実上、経営にタッチしない前経営者の保証は、なるべく解除する方向で検討することを促しています。
経営者「以外」からの保証は「外す方向」が国の指針
これは民法改正で、第三者による個人保証が制限されたことや、金融庁から「融資にあたり、経営者以外の第三者の個人連帯保証を求めないことを原則とする」という指針が出されていることに関係しています。
実質的な経営権・支配権を持っていない前経営者は、「第三者」に該当する可能性があり、この場合は保証を求めないことが原則となるからです。
ちなみに、第三者である個人が事業用の融資の保証人になろうとする場合には、公証人による保証意思の確認を経なければならないとされていて、この意思確認の手続を経ずに保証契約を締結しても、その契約は無効となります。
・2020年4月1日から保証に関する民法のルールが大きく変わります 法務省
主債務者が法人の場合、その法人の理事、取締役、執行役、議決権の過半数を有する株主等は、民法のいう第三者になりません。
しかし、取締役でもなく、議決権の過半数も持たない前経営者は、第三者に該当するため、保証人なる場合は、公証役場での手続きが必要になるというわけです。
金融機関は「実質的に引退している」ことを重視している
実質的な経営権・支配権が、前経営者の経営者保証解除に影響しているかがわかるアンケート結果があります。
・地域銀行に対する「経営者保証に関するガイドライン」のアンケート調査の結果について
それによれば、金融機関が前経営者の経営者保証を解除しない理由に、次のことを挙げています。
- 旧経営者が代表権、または株式を一定程度保有している
- 経営関与は弱いものの、旧経営者が実質的経営権を持っている ※旧経営者に代表権はなく、株式も保有割合も1/2以下
- さらに、「旧経営者が実質的に経営権を持たない状態とはどのようなものか?」と、その定義についてアンサーを求めたのに対し、金融機関(複数行)は次のように回答しています。
- 代表権がなく、株式保有割合が低く、法人の意思決定に影響力がないこと。
- 代表権がなく、株式保有割合が2分の1以下である場合。
- 営業許可名義人でない
- 経営者本人の配偶者が代表ではない
- 25%超の議決権を有していない。
- 融資取引や法人取引の関係を通じ事業活動に支配的な影響を有すると認められない。
- 新経営者は旧経営者に影響を受けず、自らの意思で経営上の重要な決定を行っている
- 前経営者が法人から報酬等を受け取っていない
- 前経営者が法人から社会通念上適切な範囲を超える借入等を行っていない
- 主たる事業所に訪問等行う中で、前経営者が経営に関与している様子が見られない。
- 債務者の事業への担保提供を行っているか。
実質的経営権をどう定義するかは、その金融機関によってさまざまですが、前経営者が一線を引いたのなら、株式の保有数はもちろん、後継者の経営方針に口出ししないなどの、経営にタッチしない線引きをはっきりさせる必要があるでしょう(元より、経営者保証を引退後も続けるということであれば、この限りではありませんが・・・)。
前経営者が引退に伴い、退職金を受取っているのなら、退職金を否認されなたためにも、しっかりした線引きは必要です。
一定期間の後、経営者保証解除の見直しも
また、前経営者が引き続き連帯保証をする場合でも、経営者の関与状況、個別の背景を考慮し、一定期間、あるいは必要なタイミグで、保証の解除を検討することとされています。
事業承継時の経営者保証解除の3つの条件
事業承継時の経営者保証解除の条件は、基本的に「経営者保証に関するガイドライン第4項(1)」と同じです。
1.法人と経営者との関係の明確な区分・分離
事業承継に先立ち、法人と経営者との関係の明確な区分・分離を確認し、それを後継者や金融機関と共有し、必要に応じて改善することが望ましい、とされています。
2.財務基盤の強化
将来の財務基盤の強化に向けた具体的な取組みや目標を検討し、事業承継計画に盛り込むことで、金融機関と情報を共有すること。
計画実行時は、公的支援機関が提供する支援制度を活用して、外部専門家のアドバイスを受けるなど、計画の実現可能性を高めることも推奨される、とされています。
3.財務状況の正確な把握、適時適切な情報開示等による経営の透明性確保
自社の財務状況や今後の見通しについて、前経営者と後継者が情報を共有し、金融機関からの情報開示の要請があれば、正確かつ丁寧に信頼性の高い情報を開示することが望ましいとされています。
いわゆる金融機関への定期的なリレーションというものですが、その際には
- 決算書
- 確定申告書
- 勘定科目明細書
- 試算表
- 資金繰り表
といった資料の提出も行って、透明性の高い会計と、財務状態に問題がないことの裏付けをし、金融機関からの信頼を得らるように努力しなくてはいかせん(貸す立場で考えればわかりますね)。
また、中小企業の決算書は信頼性が低いにも事実で、それを補う方法として、外部専門家の検証を推奨されています。
さらに、前経営者の保証解除につなげるためにも、株式移転や経営権・支配権の移転が行われたときには、これを速やかに金融機関に報告することを求めています。
事業承継による経営者保証が解除された事例
経営者保証が解除された事例を2つほどご紹介いたします。
事例1.既存の借入の前経営者の保証が解除された事例
健康上の理由で前経営者が引退したが、既存の借入について、前経営者の保証が解除されないまま、後継者の保証と二重で保証人を取られた状態でした。
前経営者の引退に伴い、全株式が後継者に譲渡され、それを契機に保証解除の見直しがされた事例です。
解除できた理由
- 前経営者が持つ全株式が後継者に譲渡されたこと。
- 前経営者は経営に一切タッチしておらず、実質的に経営に参画してなかったこと。
- 後継者が借入の保証人になっていたこと。
- 財務内容改善に成果があったこと。
財務内容が改善されたことや、新経営者の保証があることも大きいですが、やはり引退して経営にタッチしてないことも理由として大きいでしょう。
連帯保証人を外れたいなら、「事実上、経営に関わらないこと」が重要です。
事例2.ガイドラインの要件を一部満たしてないが、新旧経営者の保証が解除された事例
法人と個人の資産の分離が明確に行われてないなど、経営者保証ガイドラインの適用要件を一部満たしてはいなかったが、旧経営者だけでなく、新経営者からも保証を求めなかった事例です。
旧経営者は高齢であることから、後継者への事業承継に向けて、顧問税理士と共に取り組んでいました。
既存の借入について、旧経営者が保証を提供していましたが、これについて、保証の見直しを行うことになりました。
ただ、法人と個人の分離ができてないという問題点がありました。
保証を解除できた理由
- 法人と個人の資産を分離することの必要性を新・旧の経営者が十分に認識している。
- 実際に、工場や社用車の所有名義を旧経営者から法人名義へ変更している。
- 顧問税理士による外部の適切な指導の下、法人と個人の一体性の解消に向けて取り組んでいる。
- 財務内容が良好で、返済力に懸念がない。
- 適時適切に情報の開示・説明が行われ、経営の透明性が確保できている。
- 定期的なリレーションにより、金融機関と良好な関係性が構築できている。
一部に問題はあっても、改善する取組みをしっかり行い、それを適時適切に金融機関に報告することで、信頼を得て解除できたパターンです。
金融機関である貸主に財務内容や取組みを報告して、信頼関係を築くことも重要であることがよくわかります。
また、外部の専門家の意見を取り入れていいることで、決算書などの資料に信頼性が付与されていることも大切です。
経営者保証解除には、公私混同されがちな中小企業の経営を、「ガバナンスの強化」で透明性の高い経営体制を構築するという目的もあります。
外部の専門家を取り入れるということは、このガバナンス強化の一環となります。
以上の解除事例を見る限り、裏技的な方法などなく、ガバナンスの強化や財務の透明性などに真正面から取組む以外、連帯保証人解除はできないと肝に銘じるべきでしょう(そうでなければ、金融機関も安心できませんし・・・)。
チェックシートで自社の経営者保証解除の準備を確認
ちなみに、経営者保証の解除が行える状態にあるかチェックするシートがあります。
これを見て、足りない部分をチェックし、それを補えるよう改善策を進めておくのも方法です。
必須書類 | 説明ポイント | |
① | 事業承継計画書 | 事業承継に取り組む中小企業・小規模事業者である ※書式は任意。信用保証協会が定める事業承継計画書様式も可 |
② | 決算書 | 税務署に申告した財務情報と同一の情報が金融機関に適切に開示されている(税務署受付印が押印されている、または電子申告の確認資料が添付されていること) |
経営者が法人の事業活動に必要な本社・工場・営業車等の資産を有していない なお、事業資産の所有者が決算書で説明できない場合、所有資産明細書等を添付すること ⇒ 【追加書類】所有資産明細書等 経営者が有している場合、適切な賃料が支払われているか賃貸借契約書等を添付すること ⇒ 【追加書類】賃貸借契約証書等(写しでも可) | ||
法人から経営者等への資金流用(貸付金、未収入金、仮払金等)がない 貸付金等がある場合、一定期間での解消意向を説明するため、契約書類等を添付すること ⇒ 【追加書類】金銭消費貸借契約書、借用書等(写しでも可) | ||
法人と経営者の間の資金のやり取りが社会通念上適切な範囲を超えていない 具体的には、 ①役員報酬や配当、交際費等が法人の規模、収益力に照らして過大ではないこと ②経営者やオーナー一族への資金流出・意図的な資産のシフトはしていないこと | ||
人のみの資産・収益力で借入返済が可能と説明できる <参考1>EBITDA有利子負債倍率 [計算式](借入金・社債ー現預金)÷(営業利益+減価償却費) <参考2>フリーキャッシュフローの実績 [計算式]税引後当期利益+減価償却費 <参考3>純資産額の実績 | ||
③ | 試算表 (決算後3ヵ月以内の場合には提出不要) | 金融機関からの求めに応じて財務情報を適時適切に提供できる体制が整っており、継続的に提供する意思があること |
④ | 資金繰り表 | 試算表と合わせて資金繰り表を提出し、金融機関に財務情報を提供する体制が整っている |
当面の資金繰りに資金不足が生じていないことが、資金繰り表により確認できること |
任意書類 | 説明ポイント | |
⑤ | 税理士法第33条の2 に基づく添付書面 | 決算書を確認する際の補強材料として使用 |
⑥ | 「中小企業の会計に 関する基本要領」 チェックリスト | 決算書を確認する際の補強材料として使用 |
⑦ | 事業計画書等 | 事業承継後の事業方針や業績見通しが明確になっているか (ローカルベンチマーク等の財務分析資料を含む) |
⑧ | 社内管理体制図 | 取締役会の適切な開催や、会計参与の設置、監査体制の確立等による社内管理体制の整備状況を説明できるか |
⑨ | 監査報告書 | 公認会計士による会計監査、適正意見の確認 |
保証人なしで信用保証協会の保証が受けられる事業承継特別保証制度
後継者に対し金融機関が保証を求めないようにするために、国が「保証人を徴求しない信用保証制度」を用意しています。
これは「事業承継特別保証制度」と呼ばれるもので、3年以内に事業承継を計画している法人で、一定の条件を満たす場合は、
- 経営者保証が提供されている借入(事業承継前のものに限る)を借り換えて無保証とすることができる(本来はプロパー融資からの借換えはに信用保証協会を使うのは禁止)
- 保証料も大幅に下がる
などの特典を受けることはできます。
これにより、新旧経営者の保証なしで事業を引き継ぐことも可能になります。
・事業承継時に経営者保証を不要とする新たな信用保証制度の創設
ただし、無保証で借りられたとしても、信用保証協会に保証が移るだけということは忘れてはいけません。
万が一に債務者が返済できなくなった場合には、信用保証協会が代位弁済の後、主債務者となって残債を取り立てることになります。
信用保証協会は公的機関ですので、税金の一面のある借入をチャラにしてくれません。
したがって、何年かかっても返済し続けることになります。
「事業承継特別保証制度」を利用しても、連帯保証人ではなくなりますが、信用保証協会から逃れられることはできないのです。
とはいえ、月々の返済額を少額にしてくれる交渉には応じてくさだるようです(誠実に対応すればの話です)。
まとめ
事業承継時における経営者保証に関するルールについて解説してきました。
前経営者にとっては、勇退したにもかかわらず、いつまもで保証だけを負うのはたまったものではありませんし、後継者にとっては、いきなり何千万、何億円の借金を負うのも気が引ける話です。
できれば両者とも保証なしがいいに決まっていますが、金融機関の都合としてはそうもいかないこともあるでしょう。
そんなときに、「事業承継時に焦点を当てた『経営者保証に関するガイドライン』の特則」を読んで、対策を行っておくことが大切です。
二重の徴求という最悪の事態は免れるかもしれませんし、新旧どちらかが保証をする場合でも、定期的な見直しを求め、そのタイミングで経営者保証を解除してもらえるかもしれません。
それにはまず、ルールを知ることが重要でしょう。
事業承継時に経営者保証解除を望むなら、「事業承継時に焦点を当てた『経営者保証に関するガイドライン』の特則」を理解することは必須です。
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