資金繰りを詰まらせないためには毎月の支払額を把握する

財務改善

資金繰りを詰まらせないためには、毎月の支出額を知っておかなくてはいけません。

ごくごく当たり前のことですが、意外に把握されてないこともあります。

これが把握されてないということは、必要なキャッシュ量がわからず、資金繰りに詰まる可能性が出てきます。

毎月の支払いがいくらなのか、資金繰りを回していくには把握してないといけない数字です。

毎月の支出を計算する

企業の毎月の支出を分解してみると、次の通りになります。

  1. 売上原価(仕入れ)
  2. 給与
  3. 販促費
  4. 家賃
  5. 法定福利費など、その他経費
  6. 支払利息
  7. 銀行への返済額

1~6までは損益計算書の通りですが、見落としてはいけないのが、銀行への返済です。

借入の返済は経費にはならず、税引き後利益から支払います。

そのため、損益計算書には計上されません。

それが原因なのか、毎月の支払いから銀行への返済がスッポリ抜けてしまうというわけです。

しかし、銀行口座からはしっかり引き落としされますので、これを計算に入れてないと資金繰りを誤ります。

だから、毎月いくら支払いがあるか、資金繰り表を作って管理しておくことが重要です。

資金繰り表は、その名の通り、収入と支出を管理する表ですから、これを作っておけば基本は支出の漏れが出ることはありません。

そのうえで、支払いを含めたキャッシュを現預金で持っておくことが、資金繰りを詰まらせないためには重要です。

では、中小企業の社長が安心できるキャッシュ量とはいかほどのものでしょうか?

社長が安心できる現預金残高とは

現預金の残高の目安としては、「月商」で計測するのが一般的です。

月商の何か月分現預金があるかで安全度を計測します。

  • 2ヵ月以上(できれば3か月以上)→安全ゾーン
  • 1ヵ月~2ヵ月→黄色信号
  • 1ヵ月以下→赤信号

要するに、月商の2か月分は現預金残高を確保しておかないと資金繰りは危ういということですが、なぜそうなるかというと、損益計算書(以下、P/L)から経常利益が売上げの何%か計算してみましょう。

仮に経常利益が5%だったとします。

それつまり、売上の95%は下記の支払いで消えるということです。

  1. 売上原価(仕入れ)
  2. 給与
  3. 販促費
  4. 家賃
  5. 法定福利費など、その他経費
  6. 支払利息

その残り5%から、銀行への毎月の返済をしなくてはいけません。

要するに、1ヵ月間で挙げた売上金額が、右から左でほとんどそのまま支払いでなくなります。

したがって、現預金の残高が月商の1ヵ月分を切るということは、支払いのキャッシュが足りなくなることを意味します。

支払日の度に、社長が金策に走らなくていけなくなるでしょう。

同じ理屈で、月商の2ヵ月分を切って1か月分に近づくほど、支払いの後に手元にお金が残らなくなります。

こうなると、ちょっとしたミスでも、資金ショートを起こすかもしれません。

社長は資金繰りのことが常に気になるようになるでしょう。

だから、社長が資金繰りのことを心配しなくても良いようにするには、「現預金残高を月商の2か月分以上保つ」のが一つの基準になります。

お金は借りて用意する

ちなみに、「そうはいっても、いきなり月商の2か月分のキャッシュを持てといったって無理だ」という反論もあるでしょう。

たしかに売上でキャッシュを貯めようにも、前述の通り、売上の95%は経費の支払いで消え、残りの5%も銀行の返済でなくなります(さらに法人税の支払いにも備えておかなくてはいけません)。

その中で、月商の2か月分のキャッシュを貯めろというのも現実的ではありません。

ではどうすべきでしょうか?

そんなときこそ、銀行からの借入です。

借金でもお金を調達して、安心なキャッシュ残高まで現預金を積み増しておきます。

それに付随して発生する支払利息といっても、1%~2%程度であることを思えば、利益を逼迫させるほどの高額とはなりません。

むしろ、支払利息を資金ショートへの万が一の対策と思えば、それほどの痛手と思えません。

中小企業が安心して事業に取り組むには、「銀行からの借入を上手に活用する」という発想も必要です。

損益分岐点計算は銀行返済分も含めて求める

銀行から借入がある場合の「損益分岐点」は、返済分(元本部分)を含めて計算しましょう。

損益分岐点は、「固定費÷粗利益率」で求めます。

固定費は毎月必ず発生する費用のことで、この金額以上稼がないと、会社の利益は赤字になります(変動費は売上げに比例して変動する費用。主に仕入れ)。

仮に、固定費(主に販売費及び一般管理費+支払利息)が100万円、粗利益が30%のビジネスだった場合、損益分岐点は約333万円です。

・100万円÷30%=333万円

このビジネスは、売上で333万円稼げば、固定費をペイして赤字にならないことを意味します。

しかし、ここに銀行への返済が加われば、話は変わってきます。

仮に銀行への返済が50万円であれば、損益分岐点は500万円まで上がります。

・(固定費+銀行への返済額)÷粗利益率 ※固定費には法人税も加える

もし、銀行返済分をカウントせずに損益分岐点を計算してしまうと、予想してない50万円が現預金から流出していきます。

繰り返しますが、銀行への返済は税引き後利益から支払います。

損益計算書だけ見ていると、この落とし穴にはまります。

損益計算書で資金繰りを考えてはいけない理由です。

資金繰りの管理は「資金繰り表」で行うのが間違いのない方法です。

まとめ

資金繰りを詰まらせないためには、まず毎月の支払がいくらかをきちんと把握しましょう。

経常利益から考えると、売上のほとんどは支払いで消えますし、それに銀行への返済が加わると手元のお金はわずかしか残りません。

であるなら、銀行からお金を借りて、キャッシュの残高を高めておくのも方法です。

借入でもキャッシュがある方が、急な支払いにも対応でき、資金ショートを防ぐ効果があるからです。

毎月の返済額をしっかり把握し、安心して事業に専念できる財務環境を整えましょう。

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