投資と資金繰りの安定には予測貸借対照表と資金繰り予測表が必要

財務改善

経営者の仕事を大きくいえば次の2つです。

まずは資金繰りを安定させて、資金ショートを起こさない財務体制を築くこと。

もう一つは、貯めたお金を事業へ投資して、未来の収益源を確保することです。

そのためには必要なのが、「予測貸借対照表」と「資金繰り予測表」です。

経営者の仕事

経営者の仕事といってもたくさんありますが、その中でも大きなものが資金繰りと事業への投資です。

会社の最大の目標は「事業を継続していくこと」です。

事業の存続は、キャッシュのあるなしで基本は決まります。

であるなら、資金ショートなどの資金が尽きる事態は絶対にあってはいけません。

資金繰りの管理は、それを避ける手段です。

そしてそれと同時に、既存・新分野を問わず、事業への投資も必要になります。

投資なくして成長なし。

既存の市場での競争力は落ち、新たな収益を育てることもできなくなります。

その結果、事業の存続は危うくなります。

資金繰りを安定させつつ、投資を行って将来の収益を育てること、これは会社の最高経営責任者である社長にしかできない仕事です。

まずは事業計画を立てること

資金繰りと投資は、相反する特性を持っています。

資金繰りは貯めれば強くなりますが、貯めてばかりだと、投資が疎かになります。

一方で、投資を強めれば事業は成長するかもしれませんが、行き過ぎると資金繰りは苦しくなります。

この水と油の2つを同時に進めていくには、資金のバランスを取りながらでなくてはいけません。

それにはまず事業計画を立てることが必要です。

資金繰りと投資を安定的に行う事業計画に必要なもの

事業計画と聞くと「画に描いた餅」と想像されるかもしれませんが、資金繰りを安定させつつ投資を行うには、計画という設計図がなければ上手く運営できないでしょう。

  • いくらの資金を投資に回すか?
  • 借入はいくらにするか?
  • 投資をして財務状態はどうなるか?
  • その投資で毎年いくらの収益が上がるか?
  • 返済は大丈夫か?
  • 資金繰りは回るか?
  • そのうえで内部留保していけるか?

とてもじゃないですが、これをどんぶり勘定で進めることはできません。

したがって、まず事業計画を立てることが大前提です。

ただし、この計画を「損益計算書」だけで作るのはいただけません。

損益計算書のみでは資金繰りが見えず、安全性を高めて投資を進めることができないからです。

資金繰りが不透明なまま投資を進めると、投資が失敗すれば致命的なダメージを受けるかもしれませんし、投資が成功しても資金不足で資金ショートの危険性が出てきます。

資金繰りを安定させつつ投資を行うには、損益計算書だけでなく、「予測貸借対照表」と「資金繰り予測表」をセットで作る必要があります。

資金繰り表

資金繰り表とは、お金の入金と支出を管理するための表です。

資金繰り表は、いわゆる勘定合って銭足らずの黒字倒産や突然の資金ショートを回避するために作成します。

利益と実際のお金の流れには「タイムラグ」があります。

端的にいえば、利益がお金に換わるまでの時間差のことです。

ですから、損益計算書を資金繰り表の代わりにすることはできず、お金はお金として、その流れしっかり把握しておかなくてはいけません。

資金繰り表とは現実のお金の流れを把握するために必要なツールです。

資金繰り表は「未来の予測」に使う

単純にいえばそれだけのことですが、資金繰り表は現実の収入と支出を記録すればいいというものではありません。

それでは通帳の記帳と同じで、過去の出来事を記録しているだけで、ある意味確認作業です(記録するだけでも十分意味はありますが)。

資金繰り表を活用する意味の半分も満たしません。

資金繰り表が本領を発揮するのは、「未来の予測」です。

3か月後、6か月後の現預金残高を予測し、資金不足が起こらないようしっかり準備しておくためのツール、それが資金繰り表の本来の活用方法です。

この予測をするためには、損益計算書と資金繰り表の連動は不可欠です。

ちなみに、貸借対照表も資金繰りと密接な関係があります。

貸借対照表

貸借対照表から、どれくらまでなら投資に回せるかの資金量を把握します。

過去の蓄積は、貸借対照表の右下、純資産の「利益剰余金」に計上されています。

この金額が大きいほど、毎期の利益をしっかり貯めていた証であり、投資できる余裕体力があることがわかります。

ただし、「利益剰余金=お金」でないことに気をつけましょう。

現預金残高は、貸借対照表の左上の「現金預金」で確認します。

詳しくは下記記事をお読みください↓

それと同時に、投資後の財務状況も確認しておかなくてはいけません。

損益計算書は、その期の利益の稼ぎ具合を見るための資料。

貸借対照表はストックしてある資産(借入を含めた)の内訳を観る資料です。

損益計算書からは、投資後の毎期の利益がどう変化するかしかわかりませんが、貸借対照表からは投資後の資産がどう変化するかがわかります。

投資によって、

  • 資産(借方)がどう増えるか?
  • その資産の割合はどうなるか?
  • 現預金量はどう変化するか?
  • 借入と自己資本のバランスはどう変わるか?

を予測貸借対照表から読み解きます。

予測貸借対照表から読めるのは、投資後によるストック資産ですので、これがどう変化するかで、会社の安全性も決まってきます。

1年後、2年後、3年後の財務状況を予測して、投資を安全に進められるかを確認します。

財務状況を確認しなまま投資を進めてしまえば、それはまさにギャンブルになってしまいます。

社長の経営判断に必要なツール

以上のように、資金繰りを安定させつつ、投資を行って将来の収益を育てるには、まず事業計画を立てなくてはならず、その事業計画には、損益計算書、貸借対照表、資金繰り表の3点セットが必要です。

損益計算書だけでは、投資後のストック資産(借入を含む)と資金繰りの状況が読めないからです。

投資は多額の支出が伴うものです。

投資によって事業は成長しますが、それによって資金繰りが不安定になってしまうことも避けなくてはいけません(投資が必ずしも成功するわけでもありませんし)。

キャッシュが尽きれば会社は倒産してしまいます。

だからこそ社長は、予測貸借対照表と資金繰り予測表から、投資後の財務状況を読んで、安全に投資が進められるよう計画を立てなくてはいけないのです。

まとめ

資金繰りの安定と投資して事業を育てることは、社長にしかできない仕事です。

それを安全に遂行するには、予測貸借対照表と資金繰り予測表が必要です。

いくつかのシミュレーションをして、会社の安全を守りながら、事業を成長させるシナリオを描きましょう。

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