社長にこそライフプランの見直しが必要です。

社長が個人資産を貯めておくことは、会社を防衛するために重要な財務戦略です。

だからこそ役員報酬の見直しをして、社長の手取り収入を増やしておかないといけないわけですが、にもかかわらず受取ったそばからじゃんじゃんお金を使っていては本末転倒です。

社長は自身のライフプランニングを見直して、無駄な支出を削っておかなくてはいけません。

そう、社長はイヤでもお金をお金を貯めておかなくてはいけないのです。

この記事では、社長ならではのお金が貯まるファイナンシャルプランニングをご紹介いたします。

社長が個人資産を貯めておかないといけない理由

社長が個人資産を貯めておくことは、会社の大事な財務戦略です。

その理由は次の3つです。

1.万が一のときの確実な資金調達先となる。

社長の財布は個人も会社も一体で、万が一のときは社長の個人資産からお金を補てんすることになります。

銀行は雨の日は傘を貸さないという言葉があるように、会社が資金ショートなどのピンチのときに、必ずしも融資をしてくれるわけではないのです。

そんなとき、確実な資金調達先となるのは、社長の個人資産です。

審査も面倒な手続きもなく、すぐにお金を用意できます。

そんなお金はあればあるほど、会社の防御力は増します。

2.融資の際の有利な材料になる

社長が個人資産を持っていることは、銀行融資の際の有利な材料になります。

仮に会社に1億円あっても、社長が個人資産を2億円持っていれば、それで融資を受けられることもあるのです。

銀行にしてみれば、社長から会社の個人保証を取ればその資産を弁済に充ててもらえるわけですから、会社に負債がたくさんあってもそれを上回る個人資産があれば問題ないというわけです(咽喉によりますが)。

3.連帯保証を外すときの条件になる

社長が個人資産を持つことは、会社の借入の連帯保証を外すときの交渉の条件になります。

これも融資を同じ理屈です。

仮に会社の借入の連帯保証を外しても、社長に個人資産があれば、それで弁済してもらえるという計算が成り立つためです(もちろん、経営者保証に関するガイドラインもあるように、国が連帯保証を外す方向性に舵を切っているのが大きいですが)。

社長が連帯保証から外れることは、社長の人生を借金から守ることになりますし、円滑な事業承継を行うにも必要になります。

社長はイヤでもお金を貯めなくてはいけない

このように社長が個人資産を1円でも多く貯めておくことは、会社の財務と密接に関係しています。

すなわち、会社の防衛力を高める施策の一環なのです。

そのため、役員報酬を見直して手取りを増やすことは、大事な大事な財務戦略なのです。

それなのに、です。

その目的を忘れ(あるいは知らず)、無駄な支出で散財していては何が何やら、何のための役員報酬の見直しかという話です。

社長はイヤでもお金を貯めておかなくてはいけないのです。

社長のライフプランの見直し方

では社長のライフプランの見直しとは具体的にどんなことを見るでしょう?

社長と会社は一体です。

個人で支払っているものを会社に支払ってもらうなどすることで、個人の支出をぐんと抑えることができます。

むしろサラリーマンとはとは違い、会社を利用することで、お金の貯まるスピードは速くなります。

1.生命保険・医療保険

社長の場合、生命保険料・医療保険料は、法人で加入することができます。

生命保険

生命保険の種類や契約形態にもよりますが、法人契約の保険料を損金することも可能です。

いわゆる法人の節税をしつつ、死亡保障にも備えることができるのです。

たとえば掛け捨て型の定期保険の場合、次の契約形態にすることで、保険料の全額を損金にすることがっできます。

  • 契約者:法人
  • 被保険者:社長
  • 死亡保険金受取人:法人

社長個人では保険料の支払いがなくなり、法人側では保険料を経費として処理することができる、まさに一挙両得プランです。

ただ、社長がお亡くなりになった場合、死亡保険金は会社に振り込まれます。

「だったら残された家族にお金が渡せないのでは?」と思われるかもしれませんが、さにあらず。

たしかに死亡保険金は会社に支払われますが、そのお金を元に、社長のご遺族に「死亡退職金」として支払えば問題ありません。

要は、死亡保険金を保険会社から直接受け取るか、それとも会社から受取るかの違いしかないのです。

さらに死亡退職金にも死亡保険金と同じく

・500万円×相続人の数

という非課税枠がありますので、お金を受け取るご遺族が税金で不利になることもありません。

もちろん社長の場合、ご家族の遺族保障以外にも事業保障が必要ですし、税金の観点からも考慮しなくてはいけない事項もありますが、法人契約で生命保険に加入したからといって、特段不利になることはないのです。

であるなら、法人契約を活用した方が良いでしょう。

死亡退職金の注意点

ただし死亡退職金には、会社側に「損金算入の上限額」があります。

この上限を超えた死亡退職金を支払っても、超えた部分は損金にならないので注意が必要です。

死亡退職金の損金の上限額の求め方

死亡退職金の損金の上限額の求め方は次の通りです。

・最終報酬月額×役員在職年数×(功績倍率+功績加算)

さらに規定を作っておくことで、弔慰金を支給できます。

弔慰金は会社側では損金、ご遺族は非課税となります。

弔慰金の損金・非課税枠は業務死亡の場合と業務外死亡の場合で異なります。

  1. 業務上の死亡の場合:死亡時における賞与以外の普通給与の3年分
  2. 業務外の死亡の場合:死亡時における賞与以外の普通給与の半年分

医療保険

医療保険も法人契約で加入することができ、保険料を損金にすることができます。

※2019年の税改正により、法人契約のがん保険や医療保険など第三分野商品について、全額損金算入できる保険料の範囲は、「1契約当たり年間30万円まで」に制限されます。全額損金に算入できない場合があることを頭に入れておきましょう。

しかも医療保険の契約形態によっては、法人で加入した終身型の医療保険を、0円で社長個人の保険にすることができます。

ロジックはこうです。

医療保険は終身保険を選び、契約形態は次の通りにします。

  • 保険タイプ:終身保険
  • 保険料払込期間:有期型
  • 契約者:法人
  • 被保険者:社長
  • 保険金受取人:法人

このとき解約返戻金(解約したら返って来るお金)を0円、またはあっても10万円など、解約返戻金がないか少ないタイプの医療保険を選びます。

そして5年や10年など、医療保険の払込期間の終了後、法人から社長個人へ名義変更を行います。

その際の買い取り金額は解約返戻金となりますので、解約返戻金がないタイプの医療保険だと、名義変更を行っても0円で行えるというわけです。

解約返戻金があっても10万円くらいなら、一生涯の医療保険を10万円で手に入れられるのですから、かなりお得な買い物です。

(保険契約等に関する権利の評価)
36-37 使用者が役員又は使用人に対して支給する生命保険契約若しくは損害保険契約又はこれらに類する共済契約に関する権利については、その支給時において当該契約を解除したとした場合に支払われることとなる解約返戻金の額(解約返戻金のほかに支払われることとなる前納保険料の金額、剰余金の分配額等がある場合には、これらの金額との合計額)により評価する。

給与等とされる経済的利益の評価
医療保険プランの注意点

ただし、病気になったときに支給される医療給付金は、法人の口座に入ってきますので、会社の雑収入となります。

これが個人の契約なら非課税となりますので、その点からいえばデメリットといえます。

しかし、事業規模にもよりますが、中小企業の多くのケースでは、社長が病気やケガで入院すれば、それが即売り上げダウンへと直結してしまいます。

したがって、医療給付金自体が営業補償の側面があることを考えれば、課税されることがそのままデメリットと考えるのは短絡的ともいえます。

2.住宅費

住宅費も社長は法人を使うことで、一般の家庭より費用を削減することができます。

賃貸の場合

賃貸にお住まいの場合、会社に借り上げ社宅制度を導入することで、支払い家賃を相場の10%~20%程度に抑えることができます。

借上げ社宅制度とは、一般賃貸を不動産業者から会社が借り入れて、その借り入れた賃貸物件を社員に貸し出す制度のことです。

似たようなものに「住宅手当」がありますが、住宅手当で支給すると、給与として税金・社会保険料がかかり手取りは増えません。

しかし借上げ社宅制度なら、税金はかからず社会保険料も住宅手当に比べ低く抑えられます。

その結果、個人で不動産会社と契約して賃貸費用を支払うよりも、少ない費用で済むうえ、役員報酬の手取りも増えるというわけです。

持ち家の場合

持ち家の場合も、借り上げ社宅制度を利用できます。

会社名義の住宅になりますので、持ち家という表現は適格ではありませんが、会社が住宅を購入し、それを社長へ社宅として貸し出すことはできます。

その際の費用も相場の10%~20%程度に抑えることができます。※豪華な住宅の場合は別。

ただし会社が住宅を購入しなくてはいけませんので、資金に余裕のある会社でないとこのプランを実行することはむずかしくなります。

また、社宅にした住宅は、退職時に現物支給として社宅を社長へ「時価」で支給することもできます。

これなら、現役時代は社宅として、勇退後は自宅として、長く住み続けることができます。

3.公的年金

社長の年金は「在職老齢年金」制度で支給調整される可能性があります。

厚生年金保険料が支払い損にならないためには、現状の社会保険料がリターンに見合うかどうか検討しなくてはいけません。

社長の場合、60歳を超えても事業承継問題などで会社を勇退できない事態も起こりますし、働けるうちは現役を続けたいという社長もいらっしゃるでしょう。

そんなときネックになるのが「在職老齢年金」です。

在職老齢年金とは、60歳以上の人が会社に勤めながら年金を受け取っていると、収入に応じて年金を支給調整される制度です。

たとえば65歳以上の社長が役員報酬を「47万円」以上受取っていた場合、年金は全額支給停止となります。※47万円はその年度によって変わることがあります。

その間も70歳までは(現行の制度では)、厚生年金保険料を支払い続けるひつようがあります。

70歳以上になると厚生年金保険料を支払う必要はなくなりますが、在職老齢年金制度はそのまま適用されるため、47万円以上の役員報酬を受取っていると年金を「満額受給できない」となります。※あくまで2020年2月4日時点の制度ではの話

そうなってくると、満額受給できない年金のために支払う保険料が「払い損」になる可能性が高くなります。

であるなら、現在支払っている社会保険料が、本当にリターンに見合うものか検討すべきでしょう。

社長の年金は27%目減りする

もちろん、社長の人生は会社を勇退した後も続きますので、現役時代だけを取り上げて、損か得かを決めるのもどうかと思いますが、年金の支給が抑えられる流れは確実にあります。

しかし今後35年で年金の価値は実質27%も減るという計算もあります。

年金支給額0.2%増に騙されるな。実態は今後35年で27%減、30〜40代が最も割を食う=栫井駿介

これはどういうことかというと、巨額の社会保険料負担を何とかするために、政府がインフレ政策に舵を切るということです。

要は、インフレ政策で物価も上昇しますが、年金は「物価スライド率」が適用されるため、意図的にインフレ率以下に抑えられてしまうのです。

つまり、現状なら10万円で10万円の買い物をすることができますが、インフレと物価スライド率のお陰で、35年後は7万3000円分の買い物しかできなくなるのです。

上記の記事の予想通りにいくとは限りませんが、在職老齢年金とインフレ政策で、支払った保険料に見合うリターンが厚生年金にあのるかは、非常に怪しくなっています。

そうであるなら、現在の社会保険料を見直すことも必要でしょう。

社会保険料を削減し、余ったお金を別な金融商品で運用する方がお金は増えるかもしれないということです。

4.資産運用

先の話と被りますが、政府がインフレ政策を推し進めるということは、インフレに強い不動産や株式に投資すれば資産が増える可能性が高くなります。

いわゆる勝ち馬に乗るという投資戦略です。

もちろん、政府の思惑通りにインフレになるとは限りませんので、不動産や株に投資しても必ずしも資産が増えるとはいえませんので、この点はあらかじめご了承していただければと思います。

しかし資産運用の前に、忘れてはいけないことがあります。

それは繰り返しますが、社長の個人資産は急場のときの資金調達先になることです。

そのため、換金性の悪い資産で持っておくと、いざというときすぐにお金を用意することができません。

したがって、

  • 現金預金を多めに持っておくこと
  • 換金性を考えて投資をすること

などを頭に入れておく必要があります。

社長が老後資金2000万円効率よく貯める方法

ちなみに、社長が老後資金を貯めるには、退職金を有効活用するのがおすすめです。

退職金の節税効果を考えれば、下手な金融商品よりお金は確実に増えます。

まとめ

社長の財布は個人と法人で一体です。

いざというときのために、1円でも多くお金を残しておく必要があります。

もちろん会社のためのみならず、社長やご家族が充実した人生を送るためにもお金は必要です。

しかし会社を守らないと、家族や自身を守るための収入源が絶たれてしまいます。

そういう意味では、社長が個人資産を貯めておくことは、公私もないといえます(ただし、会社のお金を公私混同してはダメです)。

社長はイヤでもお金を貯めなくてはいけません。

社長だからこそ、定期的にライフプランを見直して、無駄な支出をなくしましょう。


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