売掛金は取引先に対してお金を貸しているのと同じです。
貸しているお金なら利息を取ってしかるべきです。
もちろん、あからさまに利息を請求するわけにはいきませんが、価格に転嫁しなければ損するのはあなたです。
がめついと思われるかもしれませんが、「売掛金に利息がかかっている」という考えに至ればこそ、値決めも安易なつけ方でなくなります。
京セラの会長がおっしゃったように、値決めとは経営であり、正当な利益をいただけるからこそ、お客様に貢献し続けることができます。
売掛金にも利息が掛かる
今さらながら説明の必要はないでしょうが、売掛金とは掛取引によって商品を販売した場合に、代金を受領する権利(債権)をいいます。
取引の度に現金でやり取りするのも面倒ですし、相手も手元にキャッシュがない場合があります。
そこを信用で、後でまとめて支払うのが売掛取引です。
掛売りにすることで、今は現金がないといった理由で販売チャンスを失うことも防げます。
しかしながら販売してから代金を支払ってもらうまでは、現金が入ってこないわけですから、その間はあなたが販売代金を立替えていることになります。
よくよくお考えになればわかると思いますが、売掛に立替えるお金も調達するために利息がかかっています。
年間60万円の利息
たとえば、売掛金が年間で3000万円あるなら、年利2%で銀行から借りているとすると、60万円の利息を負担していることになります。
月にしてみれば5万円です。
60万円の純利益を稼ごうと思ったら、いくらの売上を作らなくてはいけないですか?という話です。
販売価格とは、あらゆるコストが積み重なって決まるものです。
そこには売掛金を立替えるためのコストも含まれるべきでしょう。
資金繰りまで考えて単価を決める
わたしは何も、掛かった費用は利息まで1円まで計算してがめつく取れといいたいわけではありません。
しかし値決めにおいてシビアなコスト感覚は必要でしょう。
たとえば売掛金・売掛期間ともに資金繰りに直結します。
取引相手の売掛金が大きくなれば資金繰りは苦しくなります。
同様に売掛期間が長くなっても資金繰りは悪化します。
にもかかわらず、その間は販売元が借入利息を含めた資金を立替えなくていけないのです。
であるなら、売掛金額・売掛期間に見合ったコストを頂戴しても、何も文句をいわれる筋合いはないでしょう(もちろん取引相手は、それらをすべて含めて販売価格と反論するでしょうが)。
要は資金繰りのことまで考えるなら、売掛期間の間、立替えの資金繰りに耐えうるだけの単価をいただいておかなくていけないのです。
会社は資金繰りが回っていかなければ存続しません。
ゆえに、資金繰りまで見据えて、販売価格を決めなくてはいけないのです。
自社に有利に交渉を進める
たとえば販売価格と資金繰りの関係を理解できていれば、
- 売上に惑わされて条件の悪い相手と取引しなくてもよくなる(売上が上がっても資金繰りは悪くなることを避けられる)
- 単価の値引きを要求されたら、引換えに現金取引(または売掛期間の短縮)を条件に交渉する
- 売掛期間の長期化を求められたら、引換に単価アップを要求する
といった交渉を試みることができます。
それは本当にお客様?
何だか自社の利益のみを語っているようですが、お客様をお客様たらしめている所以は、自社に利益をもたらしてくれるからでしょう。
わが社を儲けさせてくださるからこそ、保守点検やサービスや接客、値引きなどで利益を還元することができます。
誤解を怖れずいえば、利益をもたらしてくれないお客様は、お客様ではないでしょ、という話です。
それはクレーマーや我がまま客の類であって、自社に不利益をもたらす人たちです。
そんな人たちとお付き合いできますか?
お客様に貢献するためには、それに見合う利益をいただかないとやっていけないのが現実で、そのためには利益から資金繰りのことまで考え提示する必要があります。
えいやあで値決めをしていたり、兎にも角にもお客様のいいなりの値決めでは、お客様のために会社を継続することもできなくなってしまいます。
値決めとは経営そのものと仰った経営者がいらっしゃいましたが、まさにその通りなのです。
まとめ
売掛金は、あなたが取引先のために資金を立替えているのと同じです。
要は相手にお金を貸している状態です。
貸したお金に利息を取るのは批判させることではありませんが、通常それは価格に転嫁されないといけないです。
ただそういうロジックに至らず値決めを行っているのなら、これを機に考えてみることをお勧めいたします。
売掛金は資金繰りに直結することなので、コストに見合った単価で販売しないと、自社の資金繰りが苦しくなるだけです。
お客様のことを想うなら、しっかり考えて値決めをしましょう。
コメント