経営の定石では、無駄な固定資産を持つことは避けるべきとされています。

収益を生む固定資産なら別ですが、お金を稼がない固定資産(遊休不動産など)は、大飯喰らいのただ飯喰らい、ただの金喰い物件となり、経営の足を引っ張るだけの存在になります。

それだけならまだしも、お荷物となった固定資産は、無駄に会社の資産を膨らませますので、自社株の「株価の上昇」という問題を引き起こします。

これがネックとなるのが、普段は気にも留めない事業承継時です。

後継者はお金を生み出さない固定資産のために、必要のない税金や譲渡代金を支払う羽目になります。

ROAで経営効率を考える

企業は利益を出していかないと、事業を継続することができなくなります。

そのため、貸借対象の左側にある「資産の部」にも、できることなら無駄があってはいけません。

資産が何らかの事業利益を稼ぎ出している状態が理想です。

ゴルフ会員権や塩漬けになった有価証券、利用してない建物や土地など、利益を生み出さない資産(固定資産)は、ただ帳簿上の資産を無駄に膨れさすだけで、経営上の価値はありません。

価値がないどころか、それらの資産を購入するために、借入や自己資本から資金を注入しているため、ただの金喰い虫状態です。

無駄な脂肪となって経営効率を落とします。

たとえば経営効率を測る指標に「ROA(総資産利益率)」からみれば、無駄な固定資産がどれだけ経営効率を落としているかがわかります。

ROAとはいくらの資産を使って、どれだけ稼いだかを見る指標です。

ROAの計算式は次の通りです。

・ROA=当期純利益÷総資産

ROAは数値が高い方が、効率的に経営していることを表します。

仮に当期純利益が1000万円の、総資産が2億円と3億円の会社があったとします。

総資産2億円の会社のROAは5%です。

・1000万円÷2億円=5%

それに対し総資産3億円の会社のROAは3.3%です。

・1000万円÷3億円=3.3%

同じ利益を稼ぐのにも、前者は2億円の資産を使って、後者は3億円の資産を使っています。

どちらが効率の良い経営を行っているかは一目瞭然、後者です。

ということは、無駄な資産で総資産が膨れしてしまうと、経営効率を落としてしまうことがよくわかるでしょう。

ですから、資産といえど利益を生み出さない資産は、なるべくない方が良いのです。

自社株高騰で無駄な資産に多大なコストを支払う羽目に

さらに資産があると、それは自社株の評価に反映されます。

ゴルフ会員権も使わない建物や土地も、資産は資産ですから、貸借対照表の資産の部に計上されます。

その結果、自社株の価格を上昇させる要因となります。

これがネックとなってくるのが、事業承継時です。

後継者に、譲渡するにも、贈与するにも、相続で渡すにも、株価が高いとすべて税金に跳ね返ってきます。

利益を稼がないばかりか、まさに金を喰うだけの存在です。

それなのに、会社を譲り受ける側は多大なコスト支払って承継しなくてはいけないのです。

これを不条理といわずして何というのでしょう。

固定資産が株価にどう影響するか?

ちなみに中小企業の自社株の税務上の評価は

  1. 類似業種比準価額方式
  2. 純資産価額方式
  3. 上記2つの併用方式

で主に決まります。

類似業種比準価額方式で株価を求める場合でも、純資産価額方式で株価を算出する場合でも、貸借対照表の「純資産」が関係してきます。

類似業種比準方式の場合

類似業種比準方式の計算式では、比準要素として1株当たりの年配当額、年利益額、純資産額(帳簿価額)を用います。

純資産額を用いるわけですから、返済が終わっていたり債務が少ない固定資産が大きいと株価も上昇してしまいます。

株価引き下げ対策

ただし類似業種比準価額は、決算対策によって評価額を下げやす特質があります。

株価を求める要素に年利益額がありますので、費用を計上してやれば評価額を下げることができます。

具体的な対策としては、不良在庫・不良債権の処理、含み損のある有価証券・ゴルフ会員権・不動産の売却、社長への退職金の支給、稼動していない固定資産の除却などがあります。

ただし、不良債権・不良在庫の処理は、一定の基準をクリアしないと認めてくれませんので、注意が必要です。

含み益のある資産は帳簿価格で評価されることから、含み益の分だけお得となります。

純資産価額方式の場合

一方、純資産価額方式は、会社が保有する資産から負債を差し引いた純資産がベースになります。

この方式でも貸借対照表の純資産が評価の対象ですので、返済が終わっていたり債務が少ない固定資産が大きいと株価も上昇してしまいます。

株価を下げるには、純資産を小さくしなくていけません。

株価引き下げ対策

評価方法は、類似業種比準価額方式と異なり、帳簿価格ではなく相続税評価額になります。

帳簿価格ではないため、社歴が長く、保有している不動産や有価証券などに大きな含み益がある会社であるほど、評価額が高くなる傾向にあります。

純資産価額方式で株価を下げる場合は、相続税評価額で株価が評価されるわけですから、相続税評価額が低く評価される資産を購入しないと効果が出ません。

したがって、アパートやマンションなどの貸家建付地を使った対策が有効になります。

ただし法人の場合は、土地や建物等は、取得日から3年を経過しないと、時価より低い路線価や固定資産税評価額で評価されませんので注意が必要です。

まとめ

利益を生み出さない不良資産でも資産は資産です。

それは経営的には効率を落とす要因になり、事業承継時には株価として反映され、税金という形でツケを支払うことになります。

経営に直接影響しない固定資産が無駄なことは、明々白々です。

もったいないと思わず、将来を考えて処分しておくのが賢明です。



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