政府が検討する公的年金改革案で、パート労働者への厚生年金の適用拡大について、「従業員501人以上」としている企業規模要件を「51人以上」に引き下げる方向で最終調整に入ることがわかりました。

この引き下げにより、厚生年金の対象となる中小企業が増えますが、社会保険料は労使折半であり、企業の負担は避けられず、この改革により資金繰りが苦しくなる企業も増えるでしょう。

企業も社会保険料の見直しは避けられません。

パート労働者の社会保険適用基準

現在のパート労働者の厚生年金の加入要件は、次の2つです。

①勤務時間及び日数が、正社員の4分の3以上であること

まず条件の一つに、1週間の所定労働時間および1カ月の所定労働日数が、常時雇用者の4分の3以上であることが挙げられます。

この基準は、企業の規模の大小に関係なく適用されます。

ちなみに、社会保険でよくいわれる130万円は、扶養のラインであって、年収130万円以上のパートさんは社会保険に強制加入になるわけではありませんので混同しないようにしましょう(年収が130万円以上でも上記基準に引っかからなければ、社会保険の適用にはなりません)。

②週20時間以上の勤務、年収106万円以上など5つの条件を満たしていること

2016年10月1日から社会保険の加入対象者の範囲が拡大され、条件①に加え、従業員数501名以上(厚生年金の被保険者数)の企業で働く場合、週の所定労働時間が20時間以上で、なおかつ決まった月収が8万8000円以上、雇用期間が1年以上である(見込みを含む)パートさんも、社会保険の加入対象になります。

5つの条件
  1. 週の所定労働時間が20時間以上であること
  2. 賃金月額が月8.8万円以上(※1)(年約106万円以上)であること
  3. 1年以上の使用されることが見込まれること
  4. 従業員501名以上(厚生年金の被保険者数)の勤務先で働いていること(※2)
  5. 学生でないこと(※夜間や定時制など、学生でも加入できる場合もある)
  • (※1)以下は1ヶ月の賃金から除外できる。
    臨時に支払われる賃金や1ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金(例:結婚手当、賞与等)
  • 時間外労働、休日労働および深夜労働に対して支払われる賃金(例:割増賃金等)
  • 最低賃金法で算入しないことを定める賃金(例:精皆勤手当、通勤手当、家族手当)

(※2)2017年4月1日からは、厚生年金の被保険者数が500人以下の企業でも、「労使合意(働いている方々の2分の1以上と事業主が社会保険に加入することに合意すること)に基づき申し出している」又「地方公共団体に属する事業所」であれば、501人以上の要件を満たすことになりました。

501人以上から51人以上に引き下げ

今回の改定で条件が変わるのは②の要件です。

従業員「501名以上」が「51人以上」に引き下げられます。

そのうえで、

  • 週の所定の労働時間が20時間以上ある
  • 月額8.8万円以上の給与がある
  • 1年以上使用される見込みがある
  • 学生でない

パート労働者は社会保険の対象になります。

社会保険の適用を避けるには、

  • 週の労働時間を20時間以内にする
  • 月額8.8万円以下の給与にする
  • 51人以下の企業になる

といった施策が必要になります。

業務委託契約には注意

社会保険料率はそのままですが、パート労働者の社会保険の適用が拡大され、実質、企業の負担は増える一方です。

資金的体力がある企業はよいですが、社会保険の負担に耐えられない企業は、業務の一部を外注化するなどして、人件費を下げざるを得ないでしょう。

ただし、安易な外注化をしても、否認されるだけとなるので、注意が必要です。

あるいは、事業計画や事業工程の見直しで、高利益体質を目指すなどの施策も必要になってきます(簡単ではないでしょうが)。

選択の自由

いずれにしても、従業員を含めた社会保険料の見直しは必要になってきます。

それは、会社のためのみならず、従業員・役員さんのためでもあります。

社会保険は強制加入で、被保険者は給与からいや応なしに天引きされます。

しかし、老後資金2000万円問題のように、国の年金だけに頼っていては、自分の老後の生活は成立たないのは明白です。

であるなら、被保険者側(社長・役員・従業員さん)にも選択の自由があってもよいでしょう。

将来の年金のシミュレーションをしたうえで、「これくらいの老後資金は自分で貯めておきたい、だったら、現状の社会保険料はこれくらいまでに抑えておきたい」など、役員・従業員さんの希望だってあるはずです。

社会保険料の負担で、生活が苦しくなった、という現状だってあるかもしれません。

社会保険料を本人が望む金額に適正化して、手取りが増える提案をしてあげることも、福利厚生の一環ではないでしょうか。

まとめ

パート労働者の厚生年金の適用が「501人以上」の企業から、「51人以下」の企業に引き下げられる方針が出されました。

対応策はいくつかありますが、そのうちの一つに、助成金を活用するという方法があります。

永続的に助成されるわけではありませんが、パート労働者が社会保険の対象となる場合、その費用の一部を助成してくれる制度が「キャリアアップ助成金」の中にあります。

社会保険料負担の根本解決にはなりませんが、費用の一部が助成してくれるのはありがたい制度ですから、ぜひ活用しておきたいところです。

社会保険料の負担は企業に重くのしかかります。

この機会に、社会保険料の見直し(適正化)をしてみるのも方法です。


<社長におススメの【資金繰りに役立つ】記事>

【2019年最新】働き方改革推進で活用したい助成金大特集

【消費税・社会保険料対策】知らないと怖い業務委託契約の事実

【緊急レポート】今すぐ節税・社保削減したい社長のための極秘マニュアル



<おススメサービス>

社会保険料最適化【無料相談】社会保険料の負担でお悩みの経営者に無料でご相談を承ります

銀行から見た「自社評価がわかる」格付け診断サービス

社長のキャッシュがザクザク増える社会保険料削減スキーム