支払いを法人クレジットカードで行うことは、業務の簡素化や資金繰り改善など、会社はメリットを受けられます。
実はそれ以外にも、社長個人に恩恵をもたらしてくれるのです。
法人クレカで支払いをしながら、社長にボーナス支払われる、こんなイメージが法人クレカの活用法です。
税金や社会保険の負担が重くなるなか、そうやすやすと役員報酬を上げることがためらわれます。
しかし法人クレカの活用すれば、税金も社会保険の負担もない臨時ボーナスを受け取ることができるのです。
この記事では法人クレカを持つメリット、そしてその活用法について解説します。
法人クレジットカードを利用するメリット
個人事業主や法人が法人クレジットカードを利用するメリットを解説します。
経費の支払の明確な区別化
法人クレカを使用すれば、「個人の支払い」と「法人の支払い」を明確に分けることができます。
これが個人カードから経費の立替えを行っていると、「個人と法人の支払いがごっちゃになる」ということが起こります。
クレジットカードの利用明細書は、実際に決済してから、半月や1か月後になります。
それくらい時間が経っていると、何の支払いだったか忘れることも出てきます。
このとき個人と法人の仕分けを行うのは大変です。
もし、記憶があいまいで、1万円分の法人利用の経費を落とし忘れてしまったらどうでしょう?
10000円×30%=3000円で、3000円余計に税金が発生することになります。
これが年10回でもあれば、その時点で3万円の余分なコストです。
しかし最初から法人の支払は法人クレカ、個人の支払は個人のクレカと分けておけば、面倒な仕分け作業も必要なくなりますし、経費漏れもなくずことができます。
国民健康保険削減スキームに活用できる
法人クレカで経費管理の明確な区分分けができるということは、国民健康保険削減スキームのような、個人事業と法人事業を明確に分けないといけない場合にも活用できます。
法人事業は法人クレカで支払うというルールにしておけば、個人事業との面倒な仕分け作業も必要なくなりますし、仮に税務調査で指摘されてもきちんと説明することができます。
電子データ化できる
法人クレカの支払いは、履歴をすべて電子データ化できます。
それをクラウド会計などと連携させれば、データをそのまま読み込んでくれます。
現金の支払なら、利用目的や金額を手入力しなくてはいけません。
数が少ないなら問題ありませんが、100件や200件になってくるとその手間は大きくなります。
電子データ化することで、作業効率をはかれます。
経費精算の簡素化
会社経費の立替え精算はかなり面倒な作業です。
自分がいったん経費を立替えておいて、それを経費精算書にして、そこから経理に渡してとなると、経費精算のための作業がどんどん増えていきます。
社員数が少ない、経費を立替えることが少ない、というのであれば労力はかかりませんが、社員数が増え、経費の支出が増えてくると、この作業の負担は比例して増えていきます。
経費精算という作業は、何ら売上を生む作業ではありませんので、このような面倒だけの作業は極力省くことが必要です。
法人クレジットカードなら、役員や社員にも持たせることができますので、経費精算&それにかかわる経理業務も減らせることができます。
付与されたポイントを利用できる
法人クレカで決済することで、ポイントが付与されていきます。
クレジットカードでの支払いは、国税でも行うことができますので、ポイントが付与される機会は多くあります。
このポイントを法人で福利厚生などに使うこともできますし、社長が個人利用することもできます。
法人クレカのポイントの個人利用については後で解説しますが、現状では課税されることはありません。
社会保険料についてもグレーゾーンとなるため、こちらも現状では社保の負担が発生することはありません。
通常、会社のお金を社長個人が勝手に使えば、役員賞与や役員貸付金となり、税務的に何らかのペナルティを受けることになりますし、社会保険料もかかってきます。
現状では、非課税・社保負担なしで所得移転できる方法はごく限られたものだけになりますが、法人クレカのポイントの個人利用は、非課税・社保負担のないボーナスになります。
特典を会社経費で利用できる
法人クレカの年会費は、経費で落とせます。
そのため、法人クレカに付与されたハイステータスな特典を、会社経費で利用することができます。
法人クレカの特典には「空港ラウンジを利用できる」「旅行保険に入らなくても、カード会社の保険で問題なく補償される」「2名でレストラン利用したとき、1名分が無料になる」などがあります。
これらを特典を、会社に経費で出してもらいながら、個人で利用できるのです。
資金繰り対策になる
クレジットカードで支払うと、利用代金の引落は1~2か月後になります。
資金繰りを改善する原則は、支払いはなるべく後に延ばすことです。
クレジットカードでの支払いは、まさにその原則に沿った資金繰り改善法です。
法人クレカのポイントを社長が使った場合

ここで先ほどお話しした、法人クレカのポイントを社長が個人利用した場合について、税金と社会保険料がどうなるかを解説します。
税金の取り扱い
まず税金についてです。
法人のクレジットカードのポイントを社長個人が利用した場合、実はどのように会計処理すればいいのか、はっきりとした取り決めが所得税法にないのが現状です。
会社から社長個人に特定の支払いが行われた場合、通常は取り決めに沿った法定調書(支払い調書)を提出しなくてはいけません。
しかし、クレジットカードのポイントやマイルにつては、その規定がないのです。
税務署は法定調書によって、支払いを受けた個人や事業者が、正しく申告しているかを調べます。
ですが、その肝心の法定調書がないため、会社から社長個人へポイントの移転があったことを調べることができないのです。
そのため、税務調査時にチェックされる可能性も低く、ポイントの使用も判明しない、その結果、非課税でポイントを利用できるというわけです。
これは法が整備されてない分部をついたグレーゾーンともいえます。
ただし、ポイントやマイルについて今後税法が改正され、法定調書を提出しなくてはいけなくなった、といった場合には、課税されることになるでしょう。
一時所得
それ以外にも、会社のクレジットカードのポイントを使ったときは、「一時所得になる」という考えもあります。
ただこの場合、一時所得には「50万円の特別控除」があるため、その範囲内でのポイントなら非課税となります。
個人事業主が利用したとき
個人事業主の場合は、クレカのポイントを利用したときは雑所得になります。
その場合は、その他の雑所得と合わせて年20万円以下のポイントであれば、非課税となります。
社会保険の取り扱い
法人クレカのポイントを社長個人が利用した場合、そのポイント分はお金に換算して社会保険料の対象になります。
しかし、法人クレカのポイントを社長個人が利用した場合の取り扱いについて、明文化した条文は今のところどこにもありません。
そのため、法人クレカのポイントを社長個人が利用した場合、社会保険料の対象になる、ということを知らないまま、処理してしまう可能性があります。
ですが、明文化されてない以上、それを指摘することができないため、そのままスルーとなってしまうのが現状です(この記事を読んだあなたはこの事実を知ってしまったわけですが、それを申請時に覚えているとは限りません。何しろ条文化されてないわけですから)。
これもまた、法整備がされてないことで起こるグレーゾーンといえます。
社長への非課税ボーナス
このように、法人クレジットカードは、さまざまな恩恵を社長にもたらしてくれます。
とくにポイントと特典の個人利用は、非課税のボーナスといえます(社保については原則申請しなくてはいけないものですので、社保負担がないとはいえませんが、忘れていたり知らなかったりした場合は、どうしようもありません)。
これを活用しない手はありません。
※ただし、税金・社保共に法整備が整った場合は、それに従って処理しなくてはいけなくねります。あくまで法整備されるまでの話です。
まとめ
法人クレカの活用術について解説しました。
しっかり利用するものは利用して、法人クレカで10倍得しましょう。
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