働き方改革で利用できる融資「働き方改革推進支援資金」とは?

日本政策金融公庫対策

すでに働き方改革はスタートしていますが、長時間労働の改善や非正規社員と正規社員の賃金格差の是正など、中小企業にとっては大きな負担になります。

しかし働き方改革に沿った方針にしなければ、罰則を受けるケースもあります。

働き方改革への対応は必須となるわけですが、国も働き方改革を推進する事業主に対しては、さまざまな支援策を打ち出しています。

その中の一つに、日本政策金融公庫の「働き方改革推進支援資金」という融資制度があります。

働き方改革で労働環境の整備を進められている社長は、融資を利用しってみるのも方法です。

働き方改革とは

働き方改革とは、少子高齢化で労働人口が減少する中、投資やイノベーションによる生産性向上させ働きやすい環境を整えること、また就業機会の拡大や、賃金格差をなくして意欲・能力を存分に発揮できる環境を作るための制度改革です。

具体的には

  • 労働の効率化:残業して長時間働くのではなく、労働生産性を上げる
  • 労働の多様化:ITやクラウドツール等を利用しオフィス以外で仕事ができる環境をつくる
  • 労働の一般化:高齢者の雇用、育児中の女性の労働参加促進
  • 賃金の均等化:非正規社員と正規社員の賃金格差をなくす

という視点で働き方が見直されています。

決められた以上の長時間労働や、有給休暇の取得義務化などに違反した場合は、「6か月以下の懲役」または「30万円以下の罰金」といったペナルティを受けることになります。

したがって働き方改革への対応は必須となっています。

しかし長時間労働の改善や従業員の処遇改善といった取り組みを行うためには、当然お金が必要になります。

資金的に余裕のない企業にとっては、働き方改革推進が企業の首を絞めることにもなりかねません。

そこで国は、働き方改革を推進する企業には、支援の目的でさまざまな特典を打ち出しています。

助成金

まず、助成金はその際たるものです。

働き方改革に取り組む事業主には、取り組みに合わせて助成金が支給されます。

助成金は返済不要のお金です。

しっかり活用しましょう。

税金

非正規社員や正社員の賃金をアップした場合、「所得拡大促進税制」で税金の優遇を受けることができます。

所得拡大促進税制は、青色申告書を提出している中小企業・個人事業主が、前年度より給与等の支給額を1.5%増加させた場合、その増加額の一部を法人税(個人事業主は所得税)から税額控除できる制度です。

融資:働き方改革推進支援資金

さらに日本政策金融公庫には、「働き方改革推進支援資金」という融資制度があり、非正規雇用の処遇改善に取り組む事業主、従業員の長時間労働の是正に取り組む事業主、事業所内に保育施設を整備する事業主などに融資してくれます。

働き方改革推進支援資金を受けられる事業主
  1. 非正規雇用の処遇改善に取り組む方
  2. 従業員の長時間労働の是正に取り組む方
  3. 次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を策定し、その旨を都道府県労働局長へ届け出ている方(届出が義務付けられている方を除きます。)
  4. 女性の職業生活における活躍の推進に関する法律に基づく一般事業主行動計画を策定し、その旨を都道府県労働局長へ届け出ている方(届出が義務付けられている方を除きます。)
  5. 青少年の雇用の促進等に関する法律 に基づく「ユースエール認定企業」の認定を受けた方
  6. 地方公共団体が推進する施策に基づき女性従業員の活用促進に取り組む方
  7. 事業所内に保育施設を整備する方
  8. 障害者の雇用または障害者に対する合理的配慮の提供に取り組む方
資金の使いみち

働き方改革実現計画を実施するために必要とする設備資金および運転資金や、事業所内に保育施設を取得するために必要とする設備資金

融資限度額

7200万円(うち運転資金4800万円)

返済期間
  • 設備資金:20年以内(うち据置期間2年以内)
  • 運転資金:7年以内(うち据置期間2年以内)

働き方改革推進支援資金

助成金で設備資金の購入費用や非正規社員の賃金アップなどの一部を補てんすることができますが、それだけで資金が足りないときは、働き方改革推進支援資金で融資を検討してみるのも方法です。

まとめ

働き方改革は政府が推進する制度改革です。

企業にとって費用が負担になることは間違いありませんが、そこを国はさまざまな形で支援してくれています。

助成金と税金の控除だけでも、活用すればかなりの負担削減になりますが、その上に融資制度まで準備していてくれます。

このような支援を活用して、働き方改革への対応をしっかり行いましょう。

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