従業員の給与を前期に比べ1.5%以上増やした場合、「所得拡大促進税制」を受けることができます。

簡単にいうと、前期から増額した給与分から、15%の税額控除を受けられます。※法人税額の20%が上限

従業員の給与を上げれば、それはその分人件費がコストアップあうるわけですから、税額控除を受けられるメリットは大きいです。

しかしこの制度、「決算賞与」を支払う場合で、いったん「未払い賞与」で処理する場合は注意が必要です。

場合によっては「所得拡大促進税制」を受けられない可能性が出てきます。

従業員の給与をアップしたら所得拡大促進税制を受けられないか考える

所得拡大促進税制は、青色申告書を提出している中小企業や個人事業主が、一定の要件を満たした上で、前年度より給与等の支給額を増やした場合、その増加額の一部を法人税(個人事 業主は所得税)から税額控除できる制度です。

前期と今期の給与総額を比べ、1.5%以上増加していた場合は15%を税額控除、2.5%以上なら25%税額控除されます。※どちらの場合も法人税額の20%が上限です。

たとえば、前期の給与総額が2500万円、今期の給与総額が2800万円だった場合、給与の増額は12%になりますので、1.5%以上の増加の要件を満たすことができます。

そして、今期から前期を引いた増加分300万円が控除15%の対象金額となります。

・2800万円-2500万円=300万円

控除額は300万円に15%を掛けた45万円が控除額になります。

・300万円×15%=45万円

ただし、税額控除額は20%が上限となりますので、調整前法人税額が225万円以下のときは20%で出た金額が控除額となります。

・225万円×20%=45万円

・調整前法人税額が200万円のとき:200万円×20%=40万円

「所得拡大促進税制」の詳しい内容は下記PDFファイルをご覧ください。

中小企業向け所得拡大促進税制ご利用ガイドブック

決算賞与の未払い処理を否認されてさほど痛くない

では、所得拡大促進税制が決算賞与と何の関係があるでしょう?

まず決算賞与とは、利益の出た期に利益調整として使われたりする賞与です。

「利益が出てどうせ税金を支払うのなら、社員に還元した方がいい」こんな目的で、社員に臨時ボーナスで支払われたりします。

決算賞与もその期に全額支払って処理するのなら問題はありません。

しかし決算賞与を支払うときでも、ケースによってはキャッシュが足りなくて「未払い賞与」で決算書に計上する場合があります。

このような場合、未払い賞与で処理するには、次の3つの条件を満たさなくてはいけません。

  1. 事業年度終了の日までに支給額を、同じ時期に支給する全従業員に対して個別に通知していること
  2. 通知した金額について、通知した事業年度に損金として経理上の処理をしていること
  3. 通知した金額を、事業年度終了の日の翌日から1カ月以内に全額支払うこと。

上記の条件を満たさないときは、今期の損金として計上できなくなります。

ちなみに、未払い賞与を今期に計上できないといっても、ただ単に今期に支払う税金が翌期になっただけの話ですので、支払う税金が早いか遅いかだけということになります。


所得拡大税制が絡むと税額が変わる

しかしです。

所得拡大促進税制が絡んでくると話は違ってきます。

今期支払うはずの給与が翌期になれば、対象の給与総額が減ることになります。

つまり、ケースによっては

  • 税額控除される金額が減ってしまう
  • 1.5%の増加にならず、控除そのものがなくなってしまう

といったことが考えられるのです。

先ほどの例でいえば、2800万円のうち200万円が決算賞与だとしたらどうでしょう。

未払い計上を否認されれば、給与の増加は200万円になります。

・2700万円-2500万円=200万円

1.5%の増加の条件を満たしていますが、対象額が200万円に減ったため、控除額も30万円に減ってしまいます。

・200万円×15%=30万円

さらに、2800万円のうち300万円が決算賞与で否認されてしまったら?

・2500万円-2500万円=0円 増加0%

1.5%の増加の条件を満たさないので、控除額そのものが無くなってしまうのです。

決算賞与の未払い処理自体は否認されても、税金の支払い時期だけの話になりますが、所得拡大促進税制が絡んでくると、未払い処理の否認が法人税額に影響してくるのです。

こういったケースでは、未払い処理を損金に計上できる要件を、しっかり満たしておく必要があります。

まとめ

一個一個の税制では問題ない場合でも、2つ絡んでくると出てくる影響も異なります。

ただでさえ税制は一般の人にはわかりにくく面倒です。

それが2つ以上絡んでくるとなると、頭が混乱していまいます。

後で「こんなはずじゃあ」とならないためにも、税理士などのプロの意見を聞いておきましょう。


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