日本政策金融公庫の融資で借り換えについて知っておきたいこと

日本政策金融公庫対策

日本政策金融公庫は非常に借りやすく、民間の金融機関に比べ融資条件も好条件となっています。

そのため、「現在借りている銀行の融資を日本政策金融公庫の融資で借り換えできないか?」とお考えになる方もいらっしゃるかもしれません。

結論からいってしまえば、「日本政策金融公庫で借り換えはできません」になります。

この記事では、日本政策金融公庫の借り換えについて解説します。

借り換えのメリット

借り換えとは、現在借入をしている人が、既存の借入を新たな借入れで一括返済することです。

借り換えのメリットは、月々の支払いを増やすことなく、必要な金額の融資を受けられることです。

たとえば1200万円の既存の融資があった場合、返済期間が5年なら月々の支払いは約20万円です。

そして返済が順調に進み、融資の残高が400万円になったとき、追加で8000万円必要になりました。

ここで借り換えをする場合、1200万円の融資を受けて、そのうち400万円を残額に支払います。

そうすれば手元には必要な800万円が残ります。

このとき、既存の借入れと同じ条件で借りれば、毎月の返済は増えません。

しかし借り換えでなく追加でもう一本借りればどうでしょう?

800万円を5年で返済する場合、月々の返済額は13万3千円です。

これに既存の借入れの返済額が加わりますので、これから2年間については33万3千円の返済が生じます。※利息の計算はなし

追加で融資を借りた場合、資金繰りが一気に苦しくなることがわかります。

それに比べ借り換えで融資を受ければ、返済を楽に行えます。

これが借り換えのメリットです。

日本政策金融公庫での借り換えパターン

日本政策金融公庫で借り換えを行うケースは2つの場合を想定できます。

1つは、日本政策金融公庫の既存の借入れを、民間の銀行の融資で借り換えするケースです。

2つ目は、銀行の既存の借入れを、日本政策金融公庫の融資で借り換えをするケースです。

結論からいってしまえば、どちらも「借り換えできない(しない)」となります。

1・日本政策金融公庫の既存の借入れを、民間の銀行の融資で借り換えするケース

日本政策金融公庫の既存の融資を、民間の銀行の融資で借り換えする場合、ほとんどのケースで日本政策金融公庫の方が融資の条件が良いため、わざわざ民間の銀行で借りるメリットがないとえいます。

日本政策金融公庫の融資は、民間の金融機関に比べ

  • 金利が低い
  • 無担保・無保証で借りられる
  • 返済期間が長い

など、圧倒的に良い条件となります。

この条件を蹴って民間の金融機関に借り換えするなど、合理的に考えてあり得ないでしょう。

後でも解説しますが、日本政策金融公庫は、公庫で借りた融資に対しては追加で借りることもできます。

となれば、わざわざ民間の銀行で借り換えする人はいないでしょう。

2・銀行の既存の借入れを、日本政策金融公庫の融資で借り換えをするケース

先述した通り、日本政策金融公庫の融資は、民間の金融機関に比べ圧倒的に条件が良くなります。

とくに金利が低いのは魅力です。

ですから、「銀行で借りた融資を日本政策金融公庫の融資で借り換えたい」と考えるのは、合理的精神を持った経営者ならごく普通のことです。

しかしそれだけに、民間の金融機関の借り換えを認めてしまえば、民業圧迫となってしまいます。

民間の金融機関と日本政策金融公庫では、運営の趣旨が異なります。

民間の金融機関は利益を稼ぐために運営しています。

一方日本政策金融公庫は、利益よりも中小企業を助けて経済を活性化させることを目的としていて、そのため借り手に有利な条件を提示しています。

ある意味儲け度外視にもかかわらず、好条件で借り換えをされてしまえば、民間の金融機関は経営を圧迫されてしまいます。

政府系金融機関である日本政策金融公庫が民間企業の利益を損なうわけにはいかないのです。

したがって、日本政策金融公庫から民間の銀行の融資への借り換えは行っていないのです。

融資が必要なときは追加か新規で

日本政策金融公庫を利用した借り換えはほぼありませんが、民間の金融機関で既存の借入れがある場合でも、追加や新規での融資なら行ってもらえる可能性はあります。

また、日本政策金融公庫ですでに借入れをしている場合、その分を借り換えすることもできます。

ただし、既存の借入れがあるからといって審査が甘くなるわけではりません。

事業計画や資金計画などをしっかり立てて、借り換えの申し込みに臨みましょう。

まとめ

日本政策金融公庫の融資は、

  • 無担保・無保証
  • 金利が低い
  • 融資を受けるまでの期間が短い
  • 返済期間を長く設定できる

などなど、借り手にとって有利な条件がそろっています。

そのため民間の金融機関で借り換えをするメリットはほぼありません。

反対に民間の金融機関の借入れを、日本政策金融公庫での融資で借り換えすることはできません。

日本政策金融公庫の既存借入れを、借り換えすることはできます。

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