日本政策金融公庫から融資を受けるメリット・デメリット

日本政策金融公庫対策

融資を申込むなら日本政策金融公庫をまず考えたいところです。

とくに事業実績のない起業をお考えの方や創業間もない方にはおススメです。

この記事では日本政策金融公庫で融資を受けるメリットとデメリットについて解説します。

日本政策金融公庫とは

まずはじめに日本政策金融公庫で融資を借りると、なぜメリットが多いのかを理解しておきましょう。

日本政策金融公庫は100%政府出資の金融機関です。

政府系の金融機関ですから、お金を儲けようという発想ではなく、経済を活性化させたり、民間の金融機関では融資を借りれない会社や個人事業主を支援する目的があります。

民間の金融機関とは運営の趣旨が異なっているのです。

そのため民間の金融機関で融資を受けるより、多くのメリットがあるのです。

日本政策金融公庫から融資を受ける7つのメリット

メリット1・金利が低い

日本政策金融公庫の融資は、低金利が設定されています

金利は無担保・無保証人、担保付き、保証人付き、といった条件によって変わりますが、はじめて日本政策金融公庫を利用する方でも、2%台の利息で借りられます。

<例>

  • 担保ありの基準金利:1.16~2.35%
  • 担保なしの基準金利:1.81~2.40%

さらに「特利」と呼ばれる、一定の基準を満たした人にさらに低い金利が適用される制度もありまます。

たとえばセーフティネット貸付は経営が悪化している企業への融資になるため、

  • 雇用の維持を目的とする方
  • 現状の借入負担が思い方
  • 認定経営革新等支援機関(税理士・会計士など)の支援を受けて事業計画書を策定する方

には、低金利の特別利率「特利」が適用されます。

メリット2・保証人・担保が不要の融資制度がある

民間の金融機関では、融資を受けるときは保証人を求めらます。

経営者の個人保証は最低でも取られます。

しかし日本政策金融公庫の、「新創業融資制度」と「中小企業経営力強化資金制度」の2つの制度では、代表者保証も必要ありません。

また担保も不要です。

政府は保証人制度が経営者の事業意欲を削いでしまうことや、事業承継の妨げになること、万が一失敗したときの経済的破たんを避けるため、「経営者保証に関するガイドライン」を打ち出しています。

日本政策金融公庫は政府系金融機関のため、政府の意向がもろに反映されるのです。

担保や保証人を求められないのは、非常に借りやすい融資制度です。

※一定限度額以上は担保・保証人を求められます。

メリット3・融資を借りやすい

最初にもお話しした通り、日本政策金融公庫は政府が100%出資する政府系金融機関です。

そのため民間の銀行では借りられないような事業主にも、積極的に融資を行ってくれます。

また政府は日本の経済を活性させるため、起業する人を応援しています。

そのため日本性政策金融公庫でも、起業する方や創業間もない方に融資が出やすい面があります。

誰でも借りられるわけではありませんが、事業計画を立て、自己資金をコツコツ準備するなどすれば、融資を受けやすくなります。

日本政策金融公庫の融資は借りやすい、これは非常に大きなメリットです。

4・返済期間を長くできる

日本政策金融公庫は、他の金融機関と比較して長い返済期間を設定することができます。

運転資金

返済期間は7年以内から選択することができます。

設備資金

返済期間は20年以内から選択することができます。

無理な短期返済は資金繰りを傷める

資金繰りを苦しくしてしまう理由に、借入れの返済期間の短さがあります。

たとえば300万円を3年で返済する場合と、5年で返済する場合を考えてみましょう。※利息の計算はなし

<3年返済の場合>

・300÷36か月=約8万3千円

<5年返済の場合>

・300万円÷60か月=5万円

このように1か月の返済が約3万円も変わります。

利益が出ている状態で返済するなら問題ないですが、利益が出てない状態で返済すると、月々の仕入れと経費などの支払いと重なり、予想以上のスピードで口座の残高は減っていきます。

無理して短期の返済にすると、返って自分の首を絞めることになるのです。

その点日本政策金融公庫は長期の返済に応じてくれるので、無理のない返済計画を立てることができます。

5・リスケジュールにも対応してくれる

経営が思うようにいかず返済が苦しくなった場合、リスケジュールに応じてくれます。

たとえば返済が難しい場合には「減額申請」を認めていて、支払うべき金額を圧縮して、返済期間を延長してくれます。

資金繰りが厳しい場合は「減額申請」を行い、経営状態が良くなったタイミングで通常の返済に切り替えすることもできます。

リスケしている間は、日本政策金融公庫からだけでなく、他の金融機関からも融資は受けられなくなります。

リスケを行う際は、このようなリスクがあることをしっかり認識しておく必要があります。

6・他の金融機関から融資を受けられる

日本政策金融公庫で融資を受けていると、他の金融機関から融資を受けやすくなります。

民間の金融機関は何より実績を重視します。

これままで融資を受けたことがないという場合は、融資のハードルが一気に上がります。

しかし日本政策金融公庫で融資を受け、かつ、毎月しっかり返済しているという実績があると、ほかの金融機関も融資をしやすくなるのです。

7・信用保証協会付きの融資より実行期間が短い

民間の金融機関で融資を受ける場合、プロパー融資を受けられるところはそう多くはありません。

実績がない場合などは、信用保証協会付きの融資になります。

そのため、信用保証協会の審査も受けなくてはいけなくなります。

日本政策金融公庫の場合は、直に融資してくれるため、その分審査から実行までの期間が短くて済むのです。

日本性政策金融公庫の融資の2つのデメリット

デメリット1・借り換えはできない

すでに民間金融機関から借り入れがある場合で、その借入れを日本政策金融公庫の融資で借り換えすることはできません。

先述しましたが、日本政策金融公庫の金利は低く設定されています。

そのため日本政策金融公庫が借り換えに応じてしまうと、民業圧迫になってしまうのです。

ただし日本政策金融公庫で借りていた人が、追加で日本政策金融公庫から借りることはできます。

デメリット2・日本政策金融公庫の枠を使い果たしてしまうと、それ以上借りられなくなる

ここまで話してきた通り、日本政策金融公庫は、民間の金融機関では借りにくい人にとって、非常に借りやすい融資となっています。

しかしそれだけに、日本政策金融公庫で借りられなくなると、ほかの銀行や信用金庫で借りられなくなる恐れがあります。

ですから事業が成長してくれば、民間の信用金庫や銀行に融資をシフトしていき、日本政策金融公庫を万が一のときのセーフティ融資の枠にするような財務戦略が必要になってきます。

借りやすくて借りる側にとって条件も良い分、そこに甘えてしまって、将来のリスク対策を怠ってしまうことも、直接的でないにせよ気を付けたいデメリットといえます。

まとめ

日本政策金融公庫で融資を受けるメリットとデメリットについて解説してきました。

個人事業主の方や中小企業にとって、日本政策金融公庫はとても心強い金融機関です。

民間の金融機関で借りるのがむずかしい人は、日本政策金融公庫の融資を検討したいところです。

ただししっかりした準備がないと、いくら借りやすいといっても審査には通りません。

この点は忘れないようにしましょう。

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