起業すれば社会保険や税金について取り扱いが変わります。

法人か個人事業主かでもかわりますが、ご自分の生活の関わることですから、社会保険や税金がどうなるかはきちんと把握しておきたいところです。

その一つに「扶養の範囲」があります。

たとえば現在は配偶者(夫または妻)の扶養になっているが、起業した場合、扶養を外れるのかどうかです。

扶養から外れてしまうと、配偶者の税金が増えたり、社会保険料を自分で払わなければならなくなったりします。

起業やフリーランスで働く人の中には、あえて扶養の範囲で収入を収めたいという方もいらっしゃるかもしれません。

この記事では、起業した場合の税金と社会保険の「扶養の範囲」について解説します。

税金・社会保険料の扶養の範囲

扶養の範囲には「税金」と「社会保険」の2つがあります。

まずは税金の扶養の範囲についてご説明いたします。

所得税・住民税

税金で配偶者が扶養の対象となるには、

  1. 納税者と生計を一にしていること
  2. 年間の合計所得金額が38万円以下であること (給与のみの場合は給与収入が103万円以下)

という条件を満たさなくてはいけません。

No.1180 扶養控除

法人を設立した場合

法人を設立して起業した場合、所得が法人からの役員報酬だけで、その額が103万円以下の場合は配偶者の扶養になることができます。

また給与所得には最低でも65万円をという給与所得控除があります。

さらにこれに加えて基礎控除38万円も所得から引くことができます。

つまり65万円と38万円を足した103万円までは非課税であり、所得が0円となります。

要は役員報酬が103万円以下だと、配偶者の扶養の対象になるうえ、所得税も発生しないということです。

個人事業主の場合

個人事業主の場合の所得は、収入から必要経費を引いた額になり、その額が38万円以下なら扶養の対象になります。

・収入-必要経費=38万円以下

さらに確定申告で青色申告を選択して一定条件をクリアすると、65万円の控除枠が追加されます。

下記計算式で所得が38万円以下になると、所得税は0円で扶養の対象になります。

・収入-必要経費-65万円=38万円以下

つまり所得が最大103万円まで扶養の範囲ということです。

配偶者の税金

扶養する側の配偶者の税金はどうなるでしょう?

配偶者が扶養控除の対象となると「配偶者控除」を受けることができます。

配偶者控除額は、納税者本人の収入によって変わります。※下記は一般の控除対象配偶者

  • 900万円以下:38万円
  • 900万円超950万円以下:26万円
  • 950万円超1000万円以下:13万円

No.1191 配偶者控除

なお、年間所得が38万円を超えて123万円以下の場合(給与所得の場合103万円超から201万6千円未満)は、配偶者特別控除を納税者の収入に合わせて受けることができます。

※配偶者特別控除を受けるには、控除を受ける納税者本人のその年における合計所得金額が1000万円以下であることという条件が付きます。

No.1195 配偶者特別控除

住民税の場合

住民税の場合は、所得の38万円は関係なく、お住いの市町村区によって取り扱いがかわります。

38万円以下でも課税されることがありますので、自治体に確認しましょう。

社会保険料(健康保険・厚生年金)の扶養の範囲

社会保険は「法人」の場合と「個人事業主」の場合で異なります。

法人を設立した場合

法人を設立した場合は、収入の金額にかかわらず社会保険の対象になります。

株式会社などの法人の事業所(事業主のみの場合を含む)は、すべて社会保険への加入が義務になります。

適用事業所と被保険者

個人事業主の場合

健康保険

個人事業主の場合は、収入が130万円以下の場合は健康保険の扶養の対象になります。

130万円は収入に対しての基準です。

税金のように所得でないことに注意してください(つまり65万円や38万円や必要経費を引いた後の金額でないということです)。

ただし、加入している健康保険組合によって扱いが異なります。

配偶者の加入している健康保険組合におっては、所得が130万円以下なのか収入が130万円以下なのかの基準も異なります。

必ず扶養の要件を確認しましょう。

国民年金

収入が130万円未満の場合、第三号被保険者となり、扶養の対象となります。

個人事業主の場合、年間収入の計算に「経費」が認められています。

つまり毎月の所得(収入ー経費)から判断して、「このままいくと130万円を超えるな」と判断した時点で、扶養から外れることになります。

年収が130万円を超えると、国民健康保険・国民年金の対象になります。


確定申告をするメリット

個人事業主の場合、事業所得が38万円以下であれば確定申告をしなくても良いとされています。

これは所得から基礎控除の38万円を差し引けば、所得が0円になるためです。

「だったら面倒だから確定申告しなくても良いのでは?」と思われるかもしれませんが、確定申告を行っておいた方がメリットがあります。

たとえば赤字の場合で確定申告をしておけば、その赤字を翌年から最長3年間、全額繰越すことができます。

初年度赤字の場合でも、翌年黒字になれば、初年度の赤字を引くことができます。

つまり、黒字の年の節税になるのです。

面倒でも確定申告しておいた方がお得です。

まとめ

扶養の範囲は税金では103万円、社会保険は130万円になります。

法人を設立して起業した場合は、はじめから社会保険の対象になりますが、個人事業主の場合は130万円までは扶養の対象です。

個人事業主の収入が130万円を超えると、国民健康保険・国民年金の対象になり、保険料の負担が発生します。

この場合、国民年金だけでも19万円以上発生します。

・16410円×12か月=196920円 ※令和元年の保険料

これらの負担に耐えれそうにないときは、あえて年収130万円以内に収めるのも方法です。

税金と社会保険の扶養の範囲を理解して、無理のない起業を行いましょう。


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