会社の規模が大きい方が会社は潰れにくいと思いがちですが、実は会社の規模を小さくすると財務基盤が強化され潰れにくい会社になります。

キャッシュの潤沢さは会社の規模では決まらない

一見すると会社の規模が大きい方が、会社は潰れにくいと感じます。

しかしよく考えていただきたいのですが、会社の存続とは何によって決まるのでしょう?

そう、キャッシュのあるなしで決まります。

会社が大きくてもキャッシュが豊富にあるとは限らないのです。

会社の体力を見る2つの数値

会社の体力があるかどうかは、次の2つの指標を見ればわかります。

  1. 自己資本比率
  2. 総資産経常利益率(ROA)

自己資本比率は会社の安全性を見る指標です。

自己資本比率とは、返済不要の自己資本が全体の資本調達の何%あるかを示す数値です。

自己資本比率を求める計算式は次の通りです。

・自己資本÷総資本(自己資本+他人資本)

自己資本とは返済しなくても良いお金なので、自己資本が大きいほど経営は安定し、会社は潰れにくくなります。

一方自己資本比率の小さい会社は、他人資本(他人から借りたお金)の影響を受けやすく、会社の経営は安定しません。

では自己資本比率はいくらなら大丈夫なのでしょう?

業種によって違いはありますが、30%以上あれば合格点といわれています。


ROAは大きな方がよい

次に総資産経常利益率(ROA)です。

ROAは会社の収益性を見る指標です。

この指標は、企業の経常的な活動による業績状態を示すもので、投下した資本に対してどの程度の利益を生み出したのかを見ます。

ROAの数値が高ければ、企業が効率的に資本運用できているといえます。

ROAを求める計算式は次の通りです。

・総資本経常利益率=経常利益÷総資本×100(%)

数値の目安は、6~10%程度あると良いといわれています。

小さな会社の方が有利な理由

自己資本比率とROAの数値が良い会社とは、無駄な資産を持たず効率的な経営を行い、しかも他人からの借入れに頼らず自前のキャッシュで回せるという、大変優れた会社になります。

それがなぜ規模の大きな会社ではないかというと、自己資本比率とROA共に、数値を改善すには「総資産の縮小」がポイントになるからです。

要は小さな会社の方が、資産を持たず効率的な経営ができるということです。

まず自己資本比率を改善するケースを考えてみましょう。

自己資本比率を改善するためには、自己資本を大きくするか、総資産を小さくするかの2つの方法しかありません。

自己資本を大きくするためには、税金を支払った後の利益剰余金でしか貯めることができず、これはいうほど簡単なことではないでしょう。

しかし総資産を小さくするためには、貸借対照表の「資産の部」に並んでいる、事業に関係ない資産を売却すれば、それだけで資産を縮小することができます。

売掛金や棚卸資産の縮小も、総資産を小さくします。

これらは利益剰余金で自己資本を貯めるよりも、達成できるハードルは低くなります。

ROAの数値を改善するのも同じです。

ROAは経常利益が総資産の何割を占めるかを見る指標です。

必然的に総資産が小さければ、ROAの数字は大きくなります。

損失を出してもダメージは最小限になる

事業に関係ない資産を売却すれば、一時的に損失が出ることがあります。

たとえば有価証券です。

帳簿価格300万円の有価証券を200万円で売った場合、このとき100万円の損失が出ることになります。

その期に関していえば、100万円の損失が出た分、自己資本比率は低下します。

しかし、100万円の損失が出たということは、その分30万円の法人税の節税になり、ダメージを幾分か和らげることができますので、まったくの損になるわけではないのです。

ちなみに、このような一時的な損失は、損益計算書の「特別損失」に計上するようにします。

特別損失に計上することで、経常利益にはその損失は反映されなくなります。

その結果、銀行からの評価も落とさなくて済みます。

これは決算書をよく見せるちょっとしたテクニックです(ただし本質の改善ではありません)。

間違っても、一時的な損失は通常の「販売費および管理費」に入れないようにしましょう。

まとめ

規模の大きい会社が、必ずしも自己資本比率が大きいとはいえませんし、同じようにROAが高い数値を示しているとは限らないのです。

むしろ小さい規模の会社の方が、自己資本比率もROAも改善しやすいといえます。

会社の規模を大きくするなといいたいわけでなく、会社の規模を大きくするにせよ、その前に会社が潰れにくい財務体質を目指すべきでしょう。

そのときの指標になるのが、自己資本比率とROAなのです。


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