個人事業主が従業員を雇う場合、社員数や業種によっては社会保険の加入しなくてはいけないことがあります。

社会保険料は年々負担が重くなり、現在は労使折半で約30%にもなります。

個人事業主側にとっても社会保険加入で負担が生じますから、いかなるケースで社会保険の加入の義務が発生するか理解しておきたいところです。

社会保険とは

社会保険とは、健康保険、厚生年金保険、介護保険、労働保険(雇用保険・労災保険)の総称のことです。

一般的に社会保険と呼ばれるのは、健康保険・厚生年金保険・介護保険の3つです。

労働保険については、労働者(パートタイマー、アルバイト含む)を一人でも雇用していれば、業種・規模を問わず労働保険の適用事業となります。

事業主は加入手続を行い、労働保険料を納付しなければなりません。

これに対し社会保の加入対象となるかの判断は、国や法人の事業所、個人事業所のうち一部の業種を除いた常時5人以上の従業員を雇う事業所です。

個人事業所で常時5人未満以下という場合などは、加入が任意となるため、そもそも社会保険の加入対象にならないケースがあります。

なお、社会保険のうち「介護保険」は、被保険者の年齢が40歳以上の人が対象で、40歳以下は対象外になります。

法人の場合はすべてが社会保険の対象になる

法人の場合、規模・業種に関係なく全ての企業が対象となります。

一人社長や一人でも従業員を雇った場合でも、社会保険の対象です。


個人事業主で社会保険が適用になるケース

個人事業主の場合は、「常時従業員を5人以上雇用している」て、次の「法定16種」に該当するときは社会保険の加入義務が発生します。

  1. 製造業
  2. 鉱業
  3. 電気ガス業
  4. 運送業
  5. 貨物積卸し業
  6. 物品販売業
  7. 金融保険業
  8. 保管賃貸業
  9. 媒体斡旋業
  10. 集金案内広告業
  11. 清掃業
  12. 土木建築業
  13. 教育研究調査業
  14. 医療事業
  15. 通信報道業
  16. 社会福祉事業

※サービス業の一部、農林業、水産業、畜産業、法務などの事業所は対象となりません。

※上記の強制適用事業所以外の事業所でも、従業員の半数以上が厚生年金保険の適用事業所となることに同意し、事業主が申請して厚生労働大臣の認可を受けることにより適用事業所となることができます。

なお「従業員数が5人未満」のときは、社会保険の加入は任意になります。

社会保険の加入条件

社会保険の保険料

社会保険料の負担は、給与に対して約30%の保険料を、従業員と個人事業主で労使折半になります。

従業員に20万円の給料を支払う場合、事業主側は約3万円の保険料を負担することになります。

つまり、社会保険料を含めた雇用コストは、23万円になるということです。

しかし健康保険・厚生年金保険は、国民年金・国民健康保険より保障は充実していますし、家族を扶養に入れることができます。

社会保険に加入事業者であれば、採用のしやすさと従業員の定着につながるというメリットがあります。

常時雇用の基準

「常時使用される」とは、雇用契約書の有無などとは関係なく、適用事業所で働き、労務の対償として給与や賃金を受けるという使用関係が常用的であることをいいます。

常時雇用の定義

社会保険に加入している事業所に常時使用される方は、国籍や性別、年金の受給の有無にかかわらず被保険者となります。

「常時使用される」とは、雇用契約書の有無などとは関係なく、適用事業所で働き、労務の対償として給与や賃金を受けるという使用関係が常用的であることをいいます。

試用期間中でも報酬が支払われる場合は、使用関係が認められることとなります。

パートタイマー・アルバイト等でも事業所と常用的使用関係にある場合は、被保険者となります。

1週間の所定労働時間および1か月の所定労働日数が同じ事業所で同様の業務に従事している一般社員の4分の3以上である方は被保険者とされます。

適用事業所と被保険者

つまり、一般の従業員であれば「常時雇用」になります。

パートタイム・アルバイトといった非正規雇用社員の場合は、「1週の所定労働時間および1月の所定労働日数が常時雇用者の4分の3以上」であれば「常時雇用」となります。

「1週の所定労働時間および1月の所定労働日数が常時雇用者の4分の3以下」であれば、「常時雇用」には当たりません。

従業員が5人以下の場合の個人事業主・従業員の保険料

従業員が5人以下の場合の個人事業主・従業員の保険料は、国民健康保険と国民年金の対象になります。

国民年金保険料は収入に関係なく1か月16410円です(令和元年)。

国民健康保険料は収入や世帯人数によって納める保険料が変わります。

なお国民健康保険料が高いという場合は、80万円以上削減するスキームがあります。

社会保険に加入義務があるのに加入しないときのペナルティ

社会保険への未加入が発覚すると、それに応じた罰則が与えられます。

事業主が、正当な理由がなくて次の各号のいずれかに該当するときは、六月以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

一  第四十八条(第百六十八条第二項において準用する場合を含む。)の規定に違反して、届出をせず、又は虚偽の届出をしたとき。

二  第四十九条第二項(第五十条第二項において準用する場合を含む。)の規定に違反して、通知をしないとき。

三  第百六十一条第二項又は第百六十九条第七項の規定に違反して、督促状に指定する期限までに保険料を納付しないとき。

四  第百六十九条第二項の規定に違反して、保険料を納付せず、又は第百七十一条第一項の規定に違反して、帳簿を備え付けず、若しくは同項若しくは同条第二項の規定に違反して、報告せず、若しくは虚偽の報告をしたとき。

五  第百九十八条第一項の規定による文書その他の物件の提出若しくは提示をせず、又は同項の規定による当該職員の質問に対して、答弁せず、若しくは虚偽の答弁をし、若しくは同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避したとき。

上記いずれかに該当してしまうと、6ヶ月以下の懲役、もしくは50万円以下の罰金が課せられる可能性があります。

さらに未加入から是正を受けて強制加入をされると、過去2年間の保険料を遡及されて追徴金を課されることになります。

2年間の保険料は相当な額になりますので、ペナルティを受けると会社の経営危機にもつながります。

労働保険(労災保険・雇用保険)

労災保険

労災保険とは、労働者が仕事(業務)や通勤が原因で負傷した場合、また、病気になった場合や不幸にもお亡くなりになった場合に、被災労働者やご遺族を保護するための保険です。

労災保険分は全額事業主負担です。

雇用保険

雇用保険とは、労働者が失業した場合や働き続けることが困難になった場合、また、自ら教育訓練を受けた場合に、生活・雇用の安定と就職の促進を図るための保険です。

雇用保険分は事業主と労働者双方の負担になります。

雇用保険加入の対象者は、全ての労働者というわけではありません。

正社員であればほぼ100%加入は必須ですが、週に働く時間や短期契約の場合は別になります。

週の所定労働時間が20時間以上

週に20時間以上働くパート・アルバイトも雇用保険に加入義務があります。

31日以上の雇用見込みがある従業員

雇用期間が30日以下の短期バイト以外の従業員は、雇用保険に加入できません。

その反対に無期契約の場合や、31日以上の契約の場合は雇用保険に加入できます。

加入手続を怠っていたときのペナルティ

1・遡って保険料を徴収するほか、追徴金も徴収されます。

都道府県労働局、労働基準監督署又は公共職業安定所(ハローワーク)から指導を受けたにもかかわらず、労働保険の加入手続を行わない事業主に対しては、政府が職権により成立手続を行い、労働保険料額を決定されます。

その際、労働保険料は手続を行っていなかった過去の期間についても遡って徴収することになり、併せて、追徴金も徴収されます。

労働保険料や追徴金を支払わない場合には、滞納者の財産について差押え等の処分が行行われます。

労働災害が生じた場合、労災保険給付額の全部又は一部を徴収されます。

事業主が、故意又は重大な過失により労災保険の加入手続を行わない、いわゆる未手続の期間中に生じた事故について労災保険給付を行った場合は、労災保険給付に要した費用に相当する金額の全部又は一部を事業主から徴収されます。

事業主の方のための助成金が受けられなくなります。

雇用関係助成金については、労働保険料の滞納がある場合、受給できない可能性があります。

個人事業主本人の労働保険は

個人事業主自身は、原則労働保険(労災保険・雇用保険)に加入できません。

そのため、仕事中のケガによる補償金や、再就職するまでの給付金は受けられません。

まとめ

個人事業主が社会保険に加入しなくてはいけないのは「常時使用する従業員が5人以上」のときです。

ただし、労災保険・雇用保険については、従業員が5人以下でも加入しなくてはいけません。

少々ややこしいですが、社会保険に加入の基準を把握してしっかり対応しましょう。

ちなみに、加入義務があっても加入しない、いわゆる「加入逃れ」については、すぐにバレますので誤魔化すのはやめておきましょう。

加入逃れのペナルティは相当キツイですから、会社の経営状態すら危うくなります。

この記事が参考になれば幸いです。


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