貸借対照表には「良い貸借対照表」と「悪い貸借対照表」の2つがあります。
その良し悪しを見分けるポイントは、大きくいって2つです。
ポイント1・換金性の高い資産があるかどうか
貸借対照表の左側の「資産の部」には、その会社の持っている資産が計上されています。

その資産も、上半分を「流動資産」、下半分を「固定資産」と呼びます。
何を持って「流動資産」と「固定資産」を分けるかというと、1年以内にお金になるか、1年を超えてお金になるかが基準になります。

すなわち1年以内にお金になる資産を「流動資産」と呼び、お金になるのに1年を超えるものを「固定資産」といいます。
流動資産の種類
現金・売掛金・棚卸資産・受取手形など
固定資産の種類
土地・建物・機械設備・車など
資産の部は、換金性の高いものから上に並びます。

会社にとって重要なのはキャッシュです。
キャッシュが少ないと、事業を安定して運営することもできませんし、成長させることもできません。
したがって良い貸借対照表は、固定資産に比べ流動資産の比率の方が高くなります。
それに対し固定資産が多い場合は、お金が寝ている状態で、会社のキャッシュが不足します。
そのため資産があっっても資金繰りは苦しくなります。
つまり悪い貸借対照表とは、流動資産より固定資産の方が多い下太りした状態をいいます。
土地や建物があるといっても、すぐに換金できるわけではありません。
ですから資金繰りを楽にするためには、左側の資産はできるだけ流動資産で持つようにします。
固定資産はリターンが見込めるときだけにし、無駄な資産は持たないようにします。
ポイント2・お金が出ていきにくい負債かどうか
次は貸借対照表の右側の「負債の部」です。

これも資産の部と同じように、上半分を「流動負債」、下半分を「固定負債」と呼びます。

この基準も1年以内に支払うものを「流動負債」、1年を超えて支払うもの「固定負債」といいます。
流動負債
支払手形・買掛金・短期借入金など
固定負債
長期借入金
負債の場合は、お金が出ていきやすいものから上に並んでいます。

つまり、流動負債が多いということは、すぐに支払うお金が多いということなので、資金繰りが苦しくなります。
たとえば120万円を支払うケースを考えてみましょう。
1年以内に支払うのであれば、毎月の返済は10万円です。
しかしこれを2年の返済期間に延ばせばどうでしょう。
利息を考えないのであれば、月の返済を5万円に抑えることができます。
稼ぐ利益は同じとすると、どちらが資金繰りが苦しくなるかは一目瞭然です。
ですから貸借対照表の負債の部は、できるだけ下(1年を超える支払い)に移動させた方がよいのです。
支払い期間を長期化させることで、資金繰りが楽になるからです。
したがって良い貸借対照表とは、固定負債の割合が大きいものをいいます。
結論
良い貸借対照表とは、資産の部は上に偏っている、負債の部は下に偏っている
悪い貸借対照表とは、資産の部は下に偏っている、負債の部は上に偏っている
となります。
これで何がわかるかといいますと、会社の資金繰りの状態です。
良い貸借対照表の会社は資金繰りがよく、悪い貸借対照表の会社は資金繰りの回りが悪いのです。
別の見方をすれば、売上から資金繰りを改善するのときに見るのが損益計算書で、売上をいじらず財務状況から資金繰りを改善するときに見るのが貸借対照表といえます。
売上を増やすのは資金も労力もかかることですが、財務状況を見直すことは、売上アップより簡単にできることです。
どちらに先に取り組むべきか、これも一目瞭然でしょう。
まとめ
「良い貸借対照表」と「悪い貸借対照表」の見方について解説しました。
良い貸借対照表にすることは、ひとえに資金繰りを改善することです。
資金繰りの悪い会社は、いざというとき以外も事業も成長しませんからね。
2つのポイントを意識して、貸借対照表の改善に取り組みましょう。
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