日本政策金融公庫で融資を受けるとき、必ずチェックされるのが「通帳」です。
お金の残高もさることながら、申込者の人間性も通帳を通じて見られます。
自己資金の確認
まず通帳を確認する理由の一つは「自己資金」の確認です。
自己資金が多ければ融資の審査で有利になります。
自己資金の目安は3割といわれています。
1000万円の融資が希望なら、300万円が一つのボーダーラインとなります。
融資の中には「新創業融資制度」というものがあり、こちらは融資額の1/10の自己資金でOKです。
実は日本政策金融公庫の融資担当者は、この自己資金を通じて別のことを見ています。
それが融資申込者の「計画性」や「やる気」です。
たとえば起業するなら、自己資金を用意しなくてはいけないことは常識としてわかります。
インターネットで調べれば、日本政策金融公庫の融資には自己資金が必要ということもわかるでしょう。
そうなれば、一定期間給与の中からコツコツと貯めていかなくてはいけません。
そこには忍耐と計画性、そして起業に対して本気でなくては貯めることはできません。
融資担当者は、その計画性ややる気も見ているのです。
自己資金が多いということは、それだけ計画性と本気度が高いことを意味します。
そのような姿勢は、自己資金の額以外だけでなく、高い評価となります。
自己資金0円でわかること
逆に自己資金が少ない、または0なら担当者はどう思うでしょう?
自己資金の多寡は事業主の体力を表しますので、手持ち資金が多ければ、少ないより事業が軌道に乗る確率は高いですし、失敗したときにも回収が見込める、という計算も働きます。
しかしそれ以前に、必要な自己資金を貯めずに融資を申込むということは、計画性もなく、やる気もない人、思い付きで申し込むような人だと担当者に思われてしまうのです。
普通に考えても、事業を成功させることができるとは思えません。
お金にルーズなことがまるわかり
そして次にお金に対する人間性も見られます。
具体的には、公共料金や家賃の引き落としが期日通りに支払われているか、滞納しているようなことはないかです。
お金の出入金の記録は通帳に残ります。
支払い料金を滞納している、滞納はしていなくても支払期日に遅れているとなれば、お金にルーズな人間性を疑われます。
税金の滞納はまずアウトです。
そのような信頼性のない人に、お金を貸そうとするお人好しはいません。
融資で断られる理由となります。
見せ金で誤魔化すのはダメ
そして絶対にやってはいけないことがウソをつくことです。
ウソとは「見せ金」の問題です。
見せ金は自己資金がほとんどないときや、足りないときに行う方法です。
自己資金は多いほど審査に有利に働きますし、融資可能額も大きくなります。
そこで見せ金を使って、自己資金がたくさんあるように装うのです。
たとえば自己資金がないので、友人から200万円を借りて、それをいったん自分の通帳に入れます。
そして融資の面談終了後、そのお金を通帳から出して友人に返します。
日本政策金融公庫が認める自己資金とは、自分で貯めたお金のことです。
仮に親から出してもらったお金でも、親と子の贈与契約のように「返済しなくてもよいお金」と認められないと自己資金と認定してくれないのです。
したがって友人から借りたお金は自己資金として認められないのはもちろん、お金の出し入れをして偽装して誤魔化そうとするその行為そのものが、問題となります。
普通に考えて通帳にいきなり大金が振り込まれていたら、不自然に思われます。
融資担当者は通帳の残高だけを確認しているわけではありません。
お金の流れも見ています。
突然入金された200万円について、出所を聞かれることになります。
そのとき担当者が納得できる説明ができなければ、見せ金と判断されて融資を断られます。
自己資金が少ないのにいきなり大金が出現する、これを合理的な理由を持って、金融のプロが納得できるように説明できますか?
普通はできません。
ウソをつくことが問題
そして何より問題なのはウソをついてお金を借りようとしてしまうことです。
ウソがバレた瞬間、担当者からの信用はなくなり、その履歴も残ります。
一時のウソのために、将来にわたって日本政策金融公庫から借りられなくなってしまうのです。
これほど愚かなことはないでしょう。
必要のないことまで話すことはしなくてもよいですが、ウソをついて見せ金で誤魔化すのは絶対にやってはいけません。
まとめ
日本政策金融公庫の融資担当者は、通帳からさまざまな情報を読み取っています。
自己資金の額だけを見ているわけではないのです。
通帳は申し込み者の、融資に的確か不適格かの多くを語っているのです。
事業計画と同じで、通帳にも準備が必要なのです。
日本政策金融公庫が融資したくなる通帳にして、面談に臨みましょう。
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