日本政策金融公庫で融資を受けた場合、最後に「団体信用生命保険に加入するか」を聞かれます。
この団体信用生命保険とはいったいどんなものでしょう?
団体信用生命保険は、日本政策金融公庫で融資を受ける場合には知っておきたい知識です。
団体信用保険とは
団体信用生命保険(以下、団信)とは、日本政策金融公庫から融資を借りた人が加入できる、掛け捨ての生命保険です。
融資を受けた契約者が病気や事故でお亡くなりになった場合や、高度障害状態で返済がむずかしくなったときに、借入の残りの金額を保険で支払ってくれます。
マイホームを購入するときでローンを組む場合、万が一(死亡や高度障害)のときに備えて、団体信用生命保険に加入すると思います。
日本政策金融公庫で加入する団信は、その事業融資版です。
保険料を公庫団信サービス協会に支払い、もし借入の返済ができなくなくなる事故が起こったときは、団信が弁済補償をしてくれるので、残された従業員やご遺族を守ることができます。
なお、働けなくなっただけでは、団信から保険金は支払われません。
現在通院中であったり過去に病歴があっても、加入できる場合があります。
団信に加入しないと日本政策金融公庫から融資してもらえない?
日本政策金融公庫の融資に団信は必須ではありません。
あくまで団信は任意加入です。
そもそも団信への加入の意思を聞かれるのは、融資が決まった後です。
加入の有無は審査に影響しません。
団信に加入するべきかの基準
無保証の融資の場合
団信へ加入すべきかの基準ですが、まず日本政策金融公庫からの融資が、無保証の場合(個人保証をしてない融資)、借りた経営者に返済義務はありませんので、仮にお亡くなりになったとしてもご遺族が債務を相続することはないのです。
そのため社長に万が一があったとしても、日本政策金融公庫の借入れでご遺族が返済に困るということはないでしょう。
しかし社長がお亡くなれば、売上は大方の場合減ってしまいますし、取引先から売掛金・買掛金の見直しを迫られることもあります。
これは資金繰りがひっ迫することを意味します。
そのうえ借入まで残るとなると、会社を継続していくのに赤信号が灯ります。
そこで会社を清算したり、会社を継続していくにも、ご遺族に十分な資金的余裕があれば、団信に加入する必要はないといえます。
ですが、ご遺族が会社を継続する意思を持っていたり、ご遺族が困らないよう資金を残しておきたいなら団信に加入しておくべきです。
少なくと借入れ無くなれば、当面の間は売上減でも会社は継続することができます。
個人保証している借入・個人の借入れの場合
一方、社長個人が債務保証している場合や、個人事業主が借入をしている場合は、ご遺族は相続で債務を引き継ぎます。
債務を相続したくない場合は、ご遺族が相続を放棄することで、借金はチャラになります。
ただしプラスの財産(不動産や現金など)も、同時に相続の放棄をしなくてはいけません。
また、相続を放棄するかどうか決めるには、相続の開始を知った日からたった3か月しか時間がなく、バタバタとして過ぎてしまえば否応なく相続することになります。
このケースでは団信に加入しておくべきです。
団信に加入しない場合は、民間の生命保険で加入する、すでに加入している場合でも、融資を契機に保証の見直しをしましょう。
万が一保証額が足りないときは、ご遺族が大変困る事態になります。
団信の保険料
団信の特約料(保険料)は年払い(掛け捨て)です。
特約料は、返済が進むにしたがってご負担が少なくなります。
途中加入することはできません。
また公庫団信保険の特約料は、年末調整や確定申告の「生命保険料控除」の対象にならないので注意しましょう。
特約料の目安(融資金額100万円,元金均等返済)

融資額100万円で5年返済の場合、トータルの特約料は7030円です。
特約料はシミュレーションできますので、公庫団信サービス協会のHPでシミュレーションしみてましょう。
団信に加入していたのに返済を続けていることがある
団信に加入していているのに、事業主がお亡なくなりになっても返済を続けているケースがあります。
もしこのようなケースが思い当たるなら、日本政策金融公庫の借りた支店に問い合わせてみましょう。
手続きをすることで、誤って返済してしまった金額は全額戻ってきます。
団信の特約料(保険料は)経費になる?
団信の特約料は法人と個人事業主で、会計処理の取り扱いが異なります。
個人事業主の場合
個人事業主の場合、特約料は経費になりません。

ただし特約料が経費にならないので、債務の弁済を受けたときも収益にはなりません。
法人の場合
法人の場合は特約料は経費になります。

ただし保険金で債務の弁済をうけたときは、収益となって法人税の対象になります。
まとめ
団信に加入しておくことで、万一の際に返済が困難になっても代わりに返済をしてくれます。
あると安心なのが団信です。
ただ団信に加入しない場合でも、すでに加入している保険で保障が足りているかどうかの見直しは必要です。
もし保障が足りてないのなら、新たに保険に加入するか、団信に加入するかした方がよいでしょう。
日本政策金融公庫を利用した場合の、団体信用生命保険について解説しました。
コメント