サラリーマンから個人事業主になると、事業に関係する費用は「経費」で使うことができます。
サラリーマンの場合は「給与所得控除」が経費の代わりですが、個人事業主にはそのような制度はなく、経費として使ったものを売上がら引いて、その残りの利益に対して税金が課せられます。
・売上-経費=利益
逆にいえば経費を上手に使えば、売上は同じであっても納める税金も少なく済むということです。
とはいえ、無条件に何でも経費として認められるわけではありません。
やはり経費として認められる範囲があります。
では個人事業主の認められている経費はどこまでの範囲なのか、また上限は経費をいくらまで使えるのか、しっかり認識しておくことが賢い節税につながります。
経費とは
経費とは、事業を行うために必要な費用のことです。
税金の額は「(売上-経費)×税率」で決まるため、経費として計上するものが多いほど納める税額は少なくなります。
その経費になるかならないかの判断基準は、「売上につながる費用かどうか」です。
経費に計上できるかどうかは、事業での収入を得るために直接または間接的に使ったお金であるかどうかで決まります。
極端な話ですが、高級外車のフェラーリ―でも、事業に必要だと認められれば経費で購入することができるのです。
個人事業主が経費にできるもの
個人事業主の経費も、事業で収入を得るため必要なものは経費となります。
従業員の給料
従業員への給与は経費になります。
家族への給与は原則経費になりませんが、「事業専従者である」などの一定の要件を満たすことで、必要経費にすることができます。
事務所の家賃
事務所の家賃は経費にすることができます。
ただし自宅兼事務所のような場合は、事業用の面積と居住用の面積で「案分」して、事務所分の経費を求めます。
仮に自宅兼事務所の家賃が10万円で、事務所部分6、居住用部分4の割合であれば、事務所分の家賃は6万円とすることができます。
家賃以外も電気・水道・光熱費も案分という考え方で、仕事用と個人用を分けて経費を計算します。
住宅ローンの利息
美容院のように店舗兼住宅で事業を行う場合があります。
店舗兼住宅の場合、事業に使用している部分を必要経費とすることができます。
店舗部分で使用しているローンの元本は経費になりませんが、その利息は経費として含められます。
さらに、建物や設備の減価償却費や固定資産税も、事業に用いる割合に応じて経費として落とすことができます。
ポイントは全部でなく、「事業に使っている割合に応じて」です。
店舗兼住宅の場合も「案分」して経費を計算します。
自動車
自動車も事業に使っている割合と、個人で使っている割合に応じて経費にできます。
税金
事業税、自動車税、固定資産税、不動産取得税、登録免許税は公租課税として経費にできます。
所得税・住民税は経費にできません。
交際費
事業の遂行上必要なものと認められる交際費は経費になります。
交際費とは、その事業に関係のある人に対する、接待、慰安、供応、贈答などのために支出するお金です。
個人事業主の場合、法人とは違い、交際費を経費にできる上限はありません。
個人事業主が経費にできないもの
事業での収入を得るための支出ではない費用、つまり事業主が個人的に使用するものや家族が使うものに支払ったお金は経費にはできません。
食事代
取引先などと食事する以外の個人的な食事は、経費にすることができません。
借入金の元金
銀行から借りたお金の返済元金は経費になりません。
多くの人が勘違いしていますが、返済のうち利息は経費になりますが、元本部分は経費にならないのです。
小難しいことはわからなくても、借入金の元本部分の返済は負債が減少するだけ、利息部分の支払いは経費になると理解しておけば十分です。
事業主自身のための支払い
健康診断費用など、事業主自身のための支払いについては経費になりません。
ちなみに従業員の健康診断費用は福利厚生にあたるため経費で落とせます。
事業主には福利厚生の概念がないため、経費とすることができないのです。
1点の購入価格が10万円以上のもの
事業関連で使うもで10万円以上のものを購入した場合は、その年に経費にならず、価格によって取り扱いが変わります。
購入価格が10万円以上20万円未満のもの
購入価格が10万円以上20万円未満の場合は、「一括償却資産」として3年で均等償却します。
購入価格が20万円以上のもの
購入価格が20万円以上になると「固定資産」となり、経費として一括償却することができず、減価償却費として計上していくことになります。
業務時の交通違反などの罰金
業務中であっても、交通違反などの罰金や反則金は経費計上できません。
個人事業主が使える経費の上限は?
個人事業主の経費の計上額に上限はありません。
事業に関係する支出であれば上限なく経費として認められます。
とはいえ、事業に関連した経費であることの証明は必要になります。
領収書やレシートを残しておくのはもちろん、飲食費なら「誰と行ったか」「何の目的で行ったか」などを、裏書きして残しておくことも大切です。
まとめ
個人事業主の経費になるもののとならないもの、経費の上限について解説しました。
事業に関係ないものまで経費に計上することは認められませんが、認められるものは漏らさず経費にしておきたいところです。
ポイントは事業に関連する費用は経費になる、ということです。
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