残業食事代を福利厚生費で経費にする6つのポイント

節税対策

残業する従業員に出前やお弁当を、会社が頼むことがあります。

このときの残業時の食事代は福利厚生費として計上できるでしょうか?

それとも給与になってしまうのでしょうか?

この記事では、残業時に会社から支給する食事代について解説します。

残業食事代は福利厚生費に計上できる

結論からいえば、残業した従業員に対して支給する食事は「福利厚生費」として経費に計上できます。

この場合、昼食代のように従業員の費用の負担に関係ありません。

会社が全額負担しても、従業員の給与とはならないのです。

理由は「残業という業務上やむを得ない事情があるから」です。

残業食事代を福利厚生費にするための6つのポイント

ただし無制限に「残業であるなら食事代は経費になる」とはならないことに気をつけましょう。

福利厚生費として計上するには次の要件を満たさなくてはいけません。

1・全従業員が対象であること

役員のみといった、特定の従業員を対象にしたものは、交際費や給与としてみなされます。

全従業員が対象であることが要件になります。

2・著しく高額でないこと

食事代として福利厚生費に計上できるのは、出前やコンビニなどの弁当、普通の飲食店など一般常識として残業食事代と考えられる価格です。

高級レストランや高級仕出しなど、残業時の食事代とかけ離れているものは、交際費や給与として取り扱われる可能性大です。

3・食事代を会社が全額負担すること

会社に出前を取った場合でも、従業員が外で食事をした場合でも、会社が食事代の全額を負担する必要があります。

従業員が食事代を立て替えたときは、領収書と引き換えに実費精算します。

実費精算せず食事代を従業員へ渡してしまうと、それは給与扱いされてしまいます。

4・残業時間内であること

残業とは会社で定められた勤務時間外に業務を行うことです。

仮に17時~23時のような勤務時間で、20時に食事を提供しても、これは勤務時間内なので、残業時の食事代にはなりません。

一般の食事代と同じ扱いになります。

5・一般的な意味での食事であること

残業中だけでなく、残業終了後に食事をしても、それは残業食事になります。

しかし残業後に居酒屋や飲み屋で食事をしたり、お酒を飲んだりしていると、給与や交際費で扱われる可能性が高くなります。

6・食事の提供が困難な場合、一回の食事代が300円以下であること

深夜で出前をとることができない、近くに食事をするお店もないといったケースで、食事代を支給する場合、一回の食事代を300円以下にする必要があります。

現金を渡した場合

残業する人に食事ではなく、「食事手当」といった形で現金を支給した場合は、従業員の給与として源泉徴収の対象となります。

深夜勤務の人に食事を支給した場合

残業ではなく、深夜に働く夜勤の場合はどうなるでしょう?

この場合まず「深夜勤務する人の定義」が必要になります。

深夜勤務する人の定義は、正規の勤務時間の全部または一部が「午後10時~翌日午前5時」までの間となっている人のことをいいます。

この時間帯に勤務している深夜勤務に該当したら、次は食事の提供の仕方で変わります。

たとえばお弁当を提供する場合は、昼食代を同じ取り扱いになります。

簡単にいえば

  1. 従業員が半額以上負担していること
  2. 会社負担が3500円以下であること

という条件を満たすことで、会社負担分が不利厚生費になります。

勤務時間内なので、深夜であっても残業食事とはならないことに注意しましょう。

現金を支給した場合

では深夜でお弁当を提供できないといった理由で、深夜勤務の従業員に現金を支給した場合はどうなるでしょう?

このケースでは次の4つの条件を満たした場合につき福利厚生費として計上できます。

  1. 夜食を支給することが著しく困難であること
  2. 通常の給与に加算して支給すること
  3. 勤務1回ごとに定額の支給であること
  4. 1回の支給額が300円以下であること

※300円以下の判定は消費税抜き価格

まとめ

残業時の食事代は、一般的な昼食時などの食事代とは異なります。

残業というやむを得ない事情ということで、会社が負担した食事代全額が福利厚生費として計上できます。

残業時の食事代は、残業をお願いされた従業員にとっては助かる制度ですし(それより早く帰りたいかもしれませんが)、会社にとっても福利厚生費として計上できるのでメリットもあります。

従業員のモチベーションを高めるためにもしっかり活用したいところです。

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