人を雇うと給与以外にコストがかかります。

法定福利費のことです。

法定福利費とは、法律で定められた従業員の社会保険料の会社負担分です。

人を雇えば、会社は法定福利費を労使で折半や全額負担などで支払わなくてはいけないため、給与以外にもコストが発生します。

では月給30万円の社員を雇うのに、社会保険料を含めた総コストがいくらになるか人件費を計算してみます。

各法定福利費(社会保険料)と料率

各法定福利費(社会保険料)と料率は次の通りです。

健康保険

健康保険とは、けがや病気、出産、死亡に対する保険制度です。

上記の事態が生じた場合の治療費の一部を、国・自治体が負担してくれます。

日本は国民皆保険制度を採用しており、全ての国民が健康保険に加入しています。

個人事業主の場合は国民健康保険です。

健康保険の料率

9.9%(労使折半)※料率は東京都のもの。

厚生年金保険

厚生年金保険とは、会社員が加入する老後の生活や死亡に備えるための保障制度です。

積み立てた金額に応じて老後に年金が受け取れます。

それ以外にも病気やケガで障害を負った場合に本人が受け取れる障害年金や、加入者本人が死亡したときに遺族が年金を受け取れる遺族年金などもあります。

厚生年金保険料率

18.3%(労使折半)※料率は東京都のもの。

子ども・子育て拠出金

子ども・子育て拠出金とは、児童手当や子育て支援事業、仕事と子育ての両立支援事業などに充てられている税金です。

従業員は子ども・子育て拠出金を納付する必要はなく、その従業員を雇っている会社や個人事業主が納付することになっています。

子ども・子育て拠出金は雇用者側が全額を負担することになっています。

子ども・子育て拠出金料率

0.34%(事業主全額負担)

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雇用保険

雇用保険とは、従業員の雇用の安定や促進を目的として作られた保険制度です。

万一失業した場合に一定期間一定額の給付金を受け取ることができます。

失業給付以外にも、「教育訓練給付」「育児休業給付」「介護休業給付」などの従業員向けの給付があります。

また雇用保険の財源は助成金にも使われていて、雇用保険を支払っている事業主は、「キャリアアップ助成金」「トライアル雇用助成金」などを利用できます。

雇用保険料率

0.9%(従業員・0.3%、事業主0.6%の負担)※一般事業の場合

労災保険

労災保険とは、就業中や通勤途中など業務上の事故や災害によるけが、仕事が原因の病気などの補償を行います。

労災保険の補償範囲には、病気で仕事を休んでいる間の休業補償や体に障害が残った場合の障害補償、死亡した場合の遺族補償などが含まれます。

被保険者の社会復帰に向けた援助や遺族への援助などにも労災保険が適用されます。

労災保険料率

労災保険の料率は業種によって細かく決められています。

危険が伴う事業に従事している人ほど料率は高くなります。

水力発電施設、ずい道等新設事業→6.2%(事業主全額負担)

通信業、放送業、新聞業又は出版業→0.25%(事業主全額負担)

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月給30万円の従業員を雇ったときの会社負担額

では実際に給料30万円の社員を雇ったときの法定福利費を計算してみます。

  • 支給額:30万円
  • 健康保険料:30万円×9.9%×50%=14850円
  • 厚生年金保険料:30万円×18.3%×50%=27450円
  • 子ども・子育て拠出金:30万円×0.34%=1020円
  • 雇用保険料:30万円×0.9%×60%=1620円
  • 労災保険料:30万円×0.25%=750円 ※通信業で計算
  • 法定福利費の合計:45690円
  • 給与との合計:345690円

つまり給与30万円の社員を雇う場合、法定福利費を含めると約15%割り増しでコストが発生するということです。

社員の負担:43110円

社会保険料の上限を利用して社会保険料を削減する方法

ちなみに、法定福利費の大半を占める健康保険料と厚生年金保険料には上限が設定されています。

給与に対しては、健康保険は135万5千円以上、厚生年金保険料は63万5千円以上を給与を支給しても保険料はそれ以上アップしません。

賞与に対しては、健康保険は年度の累計額573万円、厚生年金保険は1ヶ月あたり150万円が上限となっています。

この賞与の上限を使って社長の社会保険料を削減するのが「事前確定届け出給与を使ったスキーム」です。

社長の年金復活プランでも使われます。

このスキームを簡単にいえば、毎月の役員報酬を極端に低く設定し、その分、役員賞与を増やすというスキームです。

たとえば毎月の役員報酬を10万円、その代わり賞与を1020万円に設定します。

こうすることで、賞与に社会保険料控除が発生し(健康保険は年度の累計額573万円、厚生年金保険は1ヶ月あたり150万円)、同じ1200万円の総支給でも社会保険料を削減することが可能になります。

社会保険料抑えるにはハードルが高くなる

従業員の社会保険料はすべて加入しなくてはいけないというわけではありません。

常時雇用している労働者が「5人未満」か「5人以上」かで、社会保険料の加入義務が分かれます。

5人以上雇う事業所では、社会保険料の加入義務が発生します。

このラインをついて社員数を5人未満に保つために、業務の外注化を考えるケースも出てくるでしょう。

外注に完全に外の会社を使う場合は問題ありませんが、社員と雇用契約を解除し、業務委託契約を結ぶ場合は注意が必要です。

この場合、完全に外部の委託先とみなされる要件を揃えていなければ、税務上も社会保険料も社員と同じとして扱われます。

また社会保険料対策として、社員ではなくパートタイム・アルバイトを雇用するケースもあります。

パートタイム・アルバイトでも、労働時間や労働日数が正社員の4分の3以上の人は、社会保険に加入しなくてはいけなくなります。

逆にいえば、労働時間や労働日数が正社員の4分の3以下であれば、社会保険に加入しなくてもよいわけですが、同一労働同一賃金はスタートすると、今度は賃金負担が生じるようになります。

同一労働同一賃金とは、同じ職務内容なら正社員と非正規社員で「不合理な待遇差」をつけてはならないという制度です。

社会保険料対策や賃金コストを抑えるためにパートやアルバイトを雇うといった方策をとる企業もありますが、同一労働同一賃金がスタートすると確実にコストの負担は増えます。

まとめ

月給30万円の従業員を雇ったときに、各法定福利費(社会保険料)を含めた人件費がいくら発生するか計算してみました。

月給30万円を支払うと、会社負担の法定福利費(社会保険料)は1か月あたり45690円、年間にすると548280円になります。

社員の給与と合わせると4148280円です。

なかなかの額で、社員一人雇うのも負担になるのは間違いないです。

事業で利益を出すには、人件費をしっかりコスト計算することが大切です。

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