日本政策金融公庫で融資を受ける場合、必ず担当者と面談することになります。
面談は一発勝負ですので、ここで下手を打って審査に落ちてしまうと、再申し込みには半年の期間を置かなくてはいけなくなります。
日本政策金融公庫の面談には、しっかり準備をして臨む必要があります。
面談に必要な書類
面談当日前には必要な書類を揃えておかなくてはいけません。
必要書類は次の通りです。
- 借入申込書
- 住民票の写しまたは住民票記載事項証明書
- 運転免許証またはパスポート
- 源泉徴収票または確定申告書(控)
- 通帳(最近6ヵ月分以上)
日本政策金融公庫に「借入申込書」を提出すると「お持ち頂く資料」が届きますので、そこに書いてある書類を揃えます。
わからない場合は、管轄の日本政策金融公庫の支店に問い合わせましょう。
親切に教えていただけます。
添付資料も用意しておく
添付資料を用意しておくと、強力な武器になります。
必要書類以外の添付書類があると、担当者が融資を引き出すために作る稟議書の強力なサポートになるからです。
要は上司を説得できる稟議書になるということです。
添付資料は
- 申請者のプロフィール
- 顧客ターゲット層の分析表
- 市場・競業分析表
- 店舗立地の説明書類
- 提供する商品のパンフレット
- 5か年損益計算書
- 宣伝計画書
などがあると、担当者の強力なサポートになります。
融資担当者は「味方」
日本政策記入公庫の融資は担当者がキーパーソンになります。
融資の可否は、「担当者に融資しても大丈夫と判断させるだけの材料を、いかに与えることができるか」にあるといっても過言ではありません。
要は融資担当者を味方につけることが大事です。
意外ですが日本政策金融公庫の担当者はお金を貸したがっているのです。
融資額が増えれば担当者の評価は上がるからでもありますし、国の政策として創業融資や中小企業の支援に力を入れているからです。
とはいえ、誰にでも貸していいとはなりません。
融資を決めるのは上司です。
担当者はその上司からOKをもらうために、資料や説得材料を準備をしておかなくてはいけないのです。
そのためにあなたに事業プランなどについて、さまざまな質問をして返済がきちんとできるかを検討しているのです。
したがって融資担当者は「敵」でなく、あなたの「味方」であることを忘れないでください。
面談後
担当者は面談の結果を、稟議書という書類を使って報告します。
この稟議書の出来不出来が融資の可否を決定します。
したがってあなたの役目は、この稟議書が通るようにお手伝いすることでもあるのです。
そのためには、求めらた書類だけでなく、補助となる資料(5年間の予想損益計算書や資金繰り表など)を用意しておくと強力な武器となります。
また担当者が面接で聞いてきそうなことを予想しておき、それについて詳しく答えられるようにしておくと、上司を納得させられる稟議書を作ってくれます。
面談で注意したい5つのポイント
1・清潔感のある身だしなみ
面談の際の服装についてとくに決まりはありませんが、清潔感のある身だしなみを意識しましょう。
それは面談時に人間性も見られるからです。
人は見た目が9割ともいいますが、不潔であるとか、ホストのようにチャラチャラした格好であると、ビジネスマンとしての常識を疑われてしまいます。
融資の話をするということは、お金を取り引きするという大切な場所です。
最低限のマナーは守るようにしましょう。
無難なのはスーツを着て面接に臨むことです。
意外ですが普段の仕事着は好感が持てるという情報もあります。
・日本公庫融資担当者がこっそり教える、融資判断のアレコレ【リクルート×日経FCショーコラボセミナーレポ】
いずれにしても、清潔感のある身だしなみで面接に行きましょう。
2・言葉遣いや態度に気を付ける
繰り返しますが、面談はお金を取引するという大切な場所です。
ましてや担当官はあなたのことをよく理解していません。
そんな中で、あなたにお金を貸しても大丈夫と思ってもらうには、最低限のマナーは守る必要があります。
態度が悪い、言葉遣い荒いとなると、この人のために力を貸そうとはならないでしょう。
まずは、社会人としての一般マナーはしっかり守りましょう。
3・聞かれたことには明確に答える
担当者の質問は、事業プランをもとに聞かれます。
融資を受けたい事業プランは、あなたが作るものです。
その事業プランに対しての質問に答えられないのは、どう考えてもおかしいでしょう。
それつまり、事業計画をいい加減に作ったか、他人任せのプランということになります。
このような状態で、担当者が良い印象を持つはずがありません。
自分で作った事業プランには答えれるようにしておくのはもちろん、事業計画書を専門家に依頼して作成した場合でも、面談で答えられるように事前の確認と専門家との打ち合わせを行っておかなくてはいけません。
担当者からの質問に答えられなければ、かなりのマイナス評価になると覚えておきましょう。
4・聞かれたことだけを答える
面接は聞かれたことだけを答えましょう。
聞かれてないことまで答えると、何かの拍子でボロが出ないとも限りません。
ウソは絶対にいけませんが、正直に答え過ぎてマイナスになっても意味がないです。
また話が脱線してダラダラ事業計画と関係ないことを話されても、担当官も面倒に思うでしょう。
質問に明確に答えられる方が担当者の心証も良くなります。
5・焦らず熱意を持って話す
ウソは絶対にダメですが、立て板に水のごとくきれいに話す必要もありません。
焦らずに聞かれた質問に明確に答えることを意識してください。
担当者は、「事業が伸びるか」「返済はきちんとできるか」を知りたいのです。
ですから上手に話すことが必要でなく、担当者が知りたいことを的確に答えることの方が重要なのです。
その際、熱意を持って話すとベストです。
情熱を持って事業に挑む人に、嫌悪感を持つ人は少ないです。
担当者はあなたを助けたいと思ってくれるでしょう。
面談で担当者から質問される5つのこと
1・なぜ開業しようと思ったのか?
創業融資の場合、必ず「なぜ開業しようと思ったのか?」、その動機を質問されます。
創業動機は事業計画書に書かなくてはいけないことなので、答えられないということはないでしょうが、書類と面談時で話が食い違うとおかしなことになりますので、整合性が取れるようにしておきましょう。
創業の動機は「前向きであること」がポイントです。
「会社が嫌になって」「人間関係が上手くいかなくて」で、創業を思いついたといわれても、けっして事業が上手くいくとは思われません。
担当者が応援したいと思えるような前向きな理由がベストです。
2・自己資金の確認
創業融資においてはとくにですが、自己資金の有無は必ず聞かれます。
ベストなのは融資額の30%は自己資金を持って面談に臨みたいところです。
友人や消費者金融から借りた、いわゆる「見せ金」はバレますので、ウソはいわないようにしましょう。
もし自己資金を見せ金と疑われるかもしれない場合は、それが見せ金でない証拠を用意しておいてください。
3・計画通りにいかなかったときの対策
しっかりした事業計画でも、現実はその通りにいかないことの方が多いものです。
もし事業が予定通りにいかなかったときにどうするのか、そのときの対策を質問されます。
意地悪な質問に思えますが、こうしたリスクに備えるのも経営者の仕事です。
逆にこの質問に答えられれば、リスク対策も考えている経営者として、担当者の評価は上がります。
事業計画書に経営不振に陥ったときの対策方法といった項目はありませんので、面談対策として別に準備しておきましょう。
4・どのように収益を上げるか
売上の見込みが立たないと返済することもできません。
売上げの裏付けとなる数字は、自分に都合の良い数字にしてしまう傾向がありますが、バラ色の数値では担当者は納得しません。
現実的で、かつ数字に根拠が必要です。
その根拠として説明するのに、添付資料が役立ちます。
融資の可能性を上げたいなら、添付資料もしっかり準備しておきましょう。
それが「どのように収益を上げるか」という質問に対して、非常に説得力を持った回答になります。
5・営業場所の確認
自宅以外の場所で、事業を開始する場合は賃貸借契約書の写しが必要になります。
自宅も自宅以外の場所でも、面談後に担当者が現地確認にやってきます。
ウソは絶対にやめましょう。
面談でいってはいけないNGワード
融資において大事なのは「お金の使い道」を明確にして「どうやって返済するか」を明らかにすることです。
まず「融資のお金を何に使うか」が答えられないと、融資は無理になります。
何にお金を使うかがわからないと、安心してお金を貸せないでしょう。
設備投資をして、収益がいくら上がって、その中からいくら返済に回せます、と具体的に答えられるからこそ、日本政策金融公庫はお金を貸してくれます。
ですから、「いくらなら借りられますか?」とは絶対に聞いてはいけないNGワードです。
いくらなら借りられますかという質問は、使い道ははっきりしてないが、とりあえず金を借りておきたいという発想です。
付か道が不明確なので、リターンもあるのかどうかわかりません。
ですから返済計画も立てられません。
「とにかくお金が欲しい、しかしお金の使い道と返済財源は不明だ」というのは、金融機関が一番いやがる相手です。
絶対に「いくらなら借りられますか?」といわないようにしましょう。
まとめ
日本政策金融公庫の面談時の注意ポイントについて解説してきました。
これから日本政策金融公庫で融資を申し込もうとお考えの人はぜひ参考にしてみてください。
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