政府は重要政策事項に「働き方改革」を位置づけていて、多様な働き方を可能にする社会の実現を目指しています。

というのも、日本の人口は2008年にピークを迎え、その後は減少を辿っており、結果として労働人口も少なくなり、現在は人手不足が深刻な問題化しています。

さらに人手不足が進めば企業は弱体化し、日本全体の活力も失われます。

そのような状況を打破するためは、働き手を増やし、出生率を上昇させ、労働生産性を向上させる必要があります。

これらを推し進める政策が「働き方改革」です。

働き方改革はお金がかかる

働き方改革は、作業性を向上させ短時間労働を実現させたり、社員の賃金や有休休暇の取得ななど処遇改善を行わなくてはいけません。

20201年4月からは、同一労働同一賃金もスタートします。

同一労働同一賃金とは、職務内容が同じであれば、正社員と非正規社員の間に「不合理な格差」をつけてはいけないというルール改正です。

これにより、人件費は間違いなくアップします。

このように企業が働き方改革に対応するためには、費用負担は大きなものになります。

しかし働き方改革に対応するのは、義務になりますので、避けて通ることはできないのが現実です。

そこで利用したいのが助成金です。

助成金は国が支援してくれる「返済不要」のお金ですが、国の政策に影響されるのも特徴です。

すなわち、働き方改革を推進するために、国は働き方改革に合わせた助成金を用意してくれているのです。

助成金は雇用保険を財源としているため、保険料を支払っているのなら、利用しないと損といえます。

働き方改革に対応するのは必須、ならばその費用負担を最大限軽減するために、賢く助成金を活用すべきです。

これから働き方改革で利用できる助成金をご紹介いたします。

働き方改革で活用したい5つの助成金

あらためて働き方改革で何がかわるというのでしょう?

いまいちピンとこないという方も多いかもしれませんが、具体的には次の5つの事項について改善が求められます。

その改善に合わせて活用できる国が用意した助成金をご紹介いたします。

1・非正規社員の待遇改善

大企業は2020年4月より、中小企業は2021年4月から、同一労働同一賃金がスタートします。

同一労働同一賃金とは、同じ職務内容なら正規雇用労働者と非正規雇用労働者で、「不合理な待遇差」をつけてはいけないという法改正です。

これにより「非正規社員だから」という労働形態だけで、賃金・賞与・各種手当・福利厚生に格差をつけることが禁止されます(正社員と職務内容が違う場合は、格差はあっても良い)。

そのため企業は非正規雇用労働者の待遇への見直しは必須となります。

非正規社員の待遇改善に使える助成金

非正規社員の待遇改善に使える助成金は「キャリアアップ助成金」です。

キャリアアップ助成金は、非正規社員を新たに雇用したり、労働環境の改善や処遇の見直しを実施したときに支給される助成金です。

たとえば、契約期間のある非正規社員を正社員に雇用した場合、一人当たり57万円支給されます(生産性向上が認めらると72万円)。

さらに非正規社員全員と正社員との間に、共通の職務内容に応じた新たな給与規定を作成し、それを実施したときは、1事業所当たり57万円助成金が支給されます(生産性向上が認められる72万円)。

また非正規社員に対し正社員と共通の諸手当制度を創設し、それを実施したときは1事業所当たり38万円(生産性向上が認められると48万円)支給されるコースもあります。

それ以外にも非正規社員の待遇や労働環境を整備したときに支給される助成金はあります。

非正規社員の処遇改善には、キャリアアップ助成金の活用がおすすめです。

2・長時間労働の改善

長時間労働はときに、過労死という形で人の命を奪います。

また心の病気や心臓の病気などを引き起こすこともわかっています。

労働基準監督署は、2017年度1年間だけでも、長時間労働がうたがわれる25676事業場に対し、監督指導を行っています。

このうちの70.3%の18061の事業場で「労働基準関係法令違反」が見つかっていて、その中で「違法な時間外労働」があったのは11592事業場にも達しました。

実に45%も違法な環境で従業員を働かせているのです。

働き方改革では、時間外労働の上限規制が導入されます。

残業時間の上限は、原則として月45時間・年360時間とし、臨時的な特別の事情がなければこれを超えることはできないと定められました。

臨時的な特別の事情があって労使が合意する場合でも、以下を超えることはできません。

  1. 年720時間以内
  2. 複数月平均80時間 以内 休日労働を含む(「2か月平均」「3か月平均」「4か月平均」「5か月平均」「6か月平均」が全て1月当たり80時間以内)
  3. 月100時間未満(休日労働を含む)

原則である月45時間を超えることができるのは、年間6か月までとなります。

大企業は2019年4月から、中小企業は2020年4月から施行です。

上記に違反した場合には、罰則(6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金)が科されるおそれがあります。

長時間労働の改善に使える助成金

長時間労働の改善に使える助成金は「時間外労働等改善助成金」です。

この助成金は長時間労働の見直しのため、働く時間の縮減に取組む事業主に支給される助成金です。

具体的には、月45時間・年360時間の残業時間の上限を設定し(または年間720時間)、この時間内に業務を終えられる取り組みを行った場合に支給されます。

支給額は、1企業当たりの上限200万円です。

さらに仕事を終えてから翌日の仕事に就くまでの「インターバル時間が11時間以上」になるように取り組むと、最大で100万円支給されるコースもあります。

また、有給休暇の取得を年4日以上増加させたり、社員の残業時間を5時間以上削減した場合にも支給されます。

この時間外労働等改善助成金の対象となる取り組みの範囲は広く、

  • 労務管理担当者に対する研修
  • 就業規則・労使協定等の作成・変更
  • 人材確保に向けた取り組み
  • 労務管理用ソフトウェアの導入・更新
  • 労務管理用ソフトウェアの導入・更新(小売業のPOSシステムも含まれます)

など、設備機器の導入まで助成金が支給されます。

長時間労働の改善には「時間外労働等改善助成金」を活用できます。

3・柔軟な働き方ができる環境づくり

インターネット環境やツールの発達により、職場以外の場所で業務を行うことも珍しくなくなりました。

また中には、育児中で、親の介護でといったやむを得ない事情で、職場に出社する仕事に就けないという方もいらっしゃいます。

その解決策の一つとしてテレワーク(在宅勤務)が注目されています。

厚生労働省によると、事業者と雇用契約を結んだ人が自宅などで働く形態を「雇用型テレワーク」といい、同省は「テレワークは時間と空間の制約にとらわれることなく働ける」と高く評価しています。

企業側もテレワークを推進することで、生産性の向上や自己管理能力の向上、労働者の健康的な生活の確保などを期待していることが、厚労省の調べで分かりました。

テレワークを推進することで、「柔軟な働き方」や「新たな雇用」を創出できることが働き方改革の狙いです。

柔軟な働き方ができる環境づくりに利用できる助成金

テレワークに取り組む事業主が利用できるのが、「時間外労働等改善助成金(テレワークコース)」です。

この助成金は、在宅又はサテライトオフィスにおいて就業するテレワークに取り組む事業主に対して、その実施に要した費用の一部が支給されます。

対象となる取り組みは

  • テレワーク用通信機器の導入・運用(パソコン、タブレット、スマートフォンは支給対象外)
  • 保守サポートの導入
  • クラウドサービスの導入
  • 就業規則・労使協定等の作成・変更
  • 労務管理担当者や労働者に対する研修、周知・啓発
  • 外部専門家(社会保険労務士など)によるコンサルティング

などになります。

支給額は最高上限150万円です。

柔軟な働き方ができる環境づくりに取り組むときは、「時間外労働等改善助成金(テレワークコース)」が活用できます。

4・ダイバーシティの推進

ダイバーシティとは多様性という意味です。

要は、「女性だから家事・育児をしなくてはいけない」だとか、「男性は仕事に専念するもの」といったこれまでの固定概念をひっくり返して、多様な働き方ができるよう改善を行いたいというのが、ダイバーシティーの推進です。

そこで働き方改革では、女性が活躍できる社会を実現したり、子育て支援を拡充したりする環境を整えようとしています。

ダイバーシティの推進に利用できる助成金

ダイバーシティの推進に利用できる助成金は「両立支援等助成金」です。

働きながら育児や介護との両立ができる労働環境づくりのための助成金です。

事業主等が、労働者のために、育児や介護等と仕事の両立を行う為の制度の導入や、利用しやすい環境づくりを整え、対象者が制度を利用した場合に支給される助成金です。

たとえば女性だけでなく、男性も子育てしやすい社会の実現に向けて、男性が育児休暇を取得しやすい環境づくりに取り組む事業主には、一人目の育児休暇の取得の場合には57万円(生産性向上が認められたら72万円)が支給されます。

また、介護休業の取得や介護休養から職場復帰ができる制度の導入に取組んだ業事業主に対して助成金が支給されます。

  • 休業取得時に→中小企業事業主28.5万円(生産性向上が認められた場合は36万円) を支給
  • 職場復帰時→中小企業事業主28.5万円(生産性向上が認められた場合は36万円)を支給

また育休や介護休養の取得や復帰だけでなく、女性が活躍する場を整えた企業に対し支給される助成金もあります。

ダイバーシティーの推進には、「両立支援等助成金」が活用しましょう。

5・賃金引き上げと労働生産性向上

働き方改革では最低賃金を引き上げ、全国加重平均で時給1000円になることを目指すとしています。

賃金の引上げは労働者の生活を豊かにし、個人消費が盛んになり日本経済も活性化します。

しかし賃金を引上げるのに労働時間を増やしてしまったのでは、働き方改革に逆行します。

そこで労働生産性を向上させ、短時間労働で高い利益を得られる体制づくりが求められます。

業務の効率化を図り、企業に高い収益性を上げさせ、そこで得られた利益を労働者へ分配することが働き方改革の狙いです。

賃金引き上げと労働生産性向上に利用できる助成金

賃金引き上げと労働生産性向上に利用できる助成金は「業務改善助成金」です。

業務改善助成金は、中小企業・小規模事業者の生産性向上を支援し、事業場内で最も低い賃金(事業場内最低賃金)の引上げを図るための制度です。

生産性向上のための設備投資やサービスの利用などを行い、事業場内最低賃金を一定額以上引き上げた場合、その設備投資などにかかった費用の一部が助成されます。

支給対象者は、事業場内最低賃金が 1000円未満の中小企業・小規模事業者で、過去に業務改善助成金を受給したことのある事業場であっても助成対象となります。

支給される額は引き上げる賃金により変わりますが、たとえば事業場内最低賃金の引き上げ額が30円以上で、引き上げる労働者数が7人以上の場合、最高で100万円支給されます。

賃金引き上げと労働生産性向上には「業務改善助成金」を活用しましょう。

まとめ

2019年版の働き方改革に利用できる助成金について解説してきました。

働き方改革は待ったなしで進められ、今後企業は必ず対応しなくてはいけません。

ただし国も業務改善を推し進めるだけでなく、そのサポート体制を用意しています。

それが今回ご紹介した各種助成金です。

助成金は雇用保険を財源としていますので、雇用保険を支払っている事業主なら活用しないともったいないです。

しっかり助成金を活用して、働き方改革へ対応していきましょう。


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