新規事業資金や運転資金が不足したときに利用したいのが日本政策金融公庫です。
日本政策金融公庫は、政府が100%出資をしている政府系の金融機関であり、主に銀行などの民間金融機関の補完を目的としています。
政府の政策として中小企業の支援する目的もありますので、融資を受けやすい金融機関です。
しかし、そんな融資を受けやすい日本政策金融公庫でも、審査落ちしてしまう方もいらっしゃいます。
そんな審査落ちしてしまう人にはある共通の特徴があります。
この特徴をつかんで、しっかり対策をしてから日本政策金融公庫の融資に臨みましょう。
日本政策金融公庫で借りられない人の10の特徴
1・過去に業務の経験がない
たとえば美容院を開業したい方が融資を受ける場合、やはり美容師での勤務経験があった方がいす。
「美容師の経験もないのに美容院を経営していけるの?」これが普通の感覚です。
やはり、起業しようとしている事業に詳しかったり、経験があったり、実績を出している方が、将来借入れた額をきちんと返済してくれる可能性が高いと判断されます。
実際は業界未経験者が成功する例もありますが、事業をしようとしている業界の経験者でなければ、日本政策金融公庫の創業融資の審査を通すことはなかなか難しいのが現実です。
2・自己資金がない
自己資金が少なかったり、自己資金がまったくない状態だと、融資を断られる可能性が高くなります。
自己資金は金融機関にとっての最大のリスクヘッジです。
経験や実績があったとしても、事業が成功するとは限りませんので、リスクヘッジとなる資金が少ないとなれば、融資に慎重になるのは当たり前です。
創業融資の場合は、自己資金のあるなしで「起業に対して準備してきているか」の判断材料にもされます。
自己資金の額は20%を下回ると審査通過が厳しくなります。
仮に1000万円の融資額が希望なら200万円以上の自己資金が必要です。
見せ金は通用しない
自己資金は自分で貯めたお金であれば問題ありませんが、消費者金融や友達から借りたお金を自己資金と申告しても、「見せ金」と判断されます。
お金をコツコツ貯める以外に、保険を解約したり車を売却して得たお金は、もともと自分の資産だったものですから、自己資金として認められます。
ただしその証拠書類はきちんと残して提出しましょう。
3・事業計画を立ててない
きちんとした事業計画を立ててないと融資は通らなくなります。
事業計画でもっとも大事なポイントは、「事業が軌道に乗れば利益が出て、きちんと返済できる」計画であることです。
金融機関にとって重要なのは、「貸したお金が返ってくるか?」です。
つまりは返済原資のことですが、その担保になっているのが事業計画です。
事業が軌道に乗った後も利益が出てない事業計画なら審査は厳しくなります。
また自分にとって都合のよい「根拠のない売上」や「現実離れした経費削減」といった数字を出しても信用されません。
事業計画の数値には根拠のあるものを提出しましょう。
4・信用情報がブラック
クレジットカードの返済が滞っていたり、携帯電話の支払いが遅れると、信用情報に傷がつき、融資を受けられなくなる可能性が高くなります。
5・家賃や公共料金の支払いが遅れている
家賃や水道代、電気代といった公共料金の支払いが遅れていたりしても、融資を断られる原因となります。
お金の支払いにルーズな人間と思われるためです。
お金を貸す立場になればわかると思いますが、期日までに料金の支払いをできない人は、自分が貸した場合でも期日に返済してくれるのか心配になります。
5・社会保険料を支払ってない
法人の場合、社会保険料を支払う義務があるのに支払ってないと融資を断られます。
近年の社会保険料滞納問題を受け、社会保険料を支払っていることが融資を受けられる条件となしました。
6・税金を滞納している
税金の支払い期日を過ぎて納税していたり、税金をまだ払っていない状況ですと、融資を受けられなくなります。
融資の申込時の必要書類として、所得税の納付書や納税証明書(税務署や自治体が発行したもの)を提出しなければなりませんので、滞納があるとバレてしまいます。
完納していた場合でも、支払い期日を過ぎていると担当者の心証は悪くなります。
融資を考えているのであれば、税金の支払いは期日前に済ませておきましょう。
7・他からの借り入れが多くある
消費者金融やカードローンなどの借り入れが多いと融資は厳しくなります。
そのポイントとなるのが、融資した後、十分に返済できるかどうかです。
どれぐらいの金額までは、大丈夫というような形式的な基準はありません。
ただ事業を成功させる能力が高いと判断されれば、多少のクレジットカードローンがあっても大目に見てくるえでしょう。
ただし自己資金が100万円、カードローンの残債が200万円といった場合、自己資金は0と判断されますので、融資の審査に通らなくなります。
8・面談で具体的な説明できない
融資の申し込み後は担当者と面談をすることになります。
この面談では、具体的な事業プランや会社の事業内容などについて聞かれます。
それ以外にも、融資申し込み者の人柄などや事業への思いなども聞かれます。
ここでしっかり答えられると、面接官の心証は良くなります。
逆にあたふたして要領を得ない受け答えをしていると、「この人に融資をしても大丈夫か?」と思われてしまい、審査を通過することが厳しくなります。
また面談の態度も重要です。
怒るのは論外ですが、態度が悪くても心証は悪くなります。
服装や身だしなみも気を付けて、「しっかりした社会人」というイメージで見られることが重要です。
9・良く見せようとウソをつく
カードローンがあることを隠していたり、見せ金を自己資金だとウソをついたりと、自分の状況をよく見せようとウソをつくと審査は通らなくなります。
他からの借り入れは個人の信用情報を調べられればすぐにバレてしまいます。
自己資金の見せ金もほぼバレます。
ウソがバレた時点で信用関係がなくなりますから、審査を通ることはむずかしいでしょう。
それどころか再度日本政策金融公庫に融資を申し込んでも断れてしまうので、ウソは絶対にやめましょう。
10・準備不足
日本政策金融公庫は中小企業や個人事業主にとって借りやすい金融機関です。
しかし何も準備しないで借りられるほど甘くはありません。
必要書類、事業計画、自己資金などしっかり準備して融資に臨む必要があります。
審査に落ちてしまったときの対策
日本政策金融公庫の審査に落ちてしまったからといって、「もう申し込んでも通らない」とはなりません。
審査に落ちた反省点を踏まえ、再度審査に申し込むことで融資を受けられこともできます。
1・原因を把握する
審査に落ちた原因を見つめ直しましょう。
審査に落ちる原因は主に
- 自己資金が少ない
- 事業計画が甘い
- 信用情報に問題がある
の3点です。
この3つに問題がなかったか見つめ直し、改善できることは改善して再審査に臨みます。
2・再申し込みは6か月後
審査落ちしてから再度融資を申し込むのは、早くて6か月後に行いましょう。
この6か月間に改善できることをしっかり改善しておきます。
3・自己資金を増やす
自己資金が少なくて審査に落ちたと思われるなら、やはり自己資金を増やす必要があります。
会社や個人の資産で売れるものがあれば売ってお金を作りましょう。
ちなみに役員借入金がある場合は、これを自己資本とみなしてくれます。
ただし貸借対照表の「流動負債」には計上せず、「固定負債」に計上するようにします。
流動負債に計上すると、1年以内に返済するお金とみなされ、自己資金と判断されない可能性があります。
まとめ
日本政策金融公庫の審査で落ちてしまう人の10の特徴について解説しました。
日本政策金融公庫は融資を受けやすい金融機関です。
ポイントを押さえて融資を受けられるようにしておきましょう。
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