労働同一賃金への対応により、人件費の高騰は免れなくなります。

人件費の負担に耐えられない企業は、やむなくアウトソーシング(外注化)することを検討しなくてはいけません。

人件費の高騰は社会保険料の負担増にもつながり、企業の抱える雇用コストはさらにアップしますから、外注化もやむなしとなってもおかしくありません。

ただし業務をアウトソーシング化する場合は運用に注意が必要です。

完全に独立した個人、または法人に外注しないと、「外注費」ではなく「給与」と否認されてしまう可能性があるからです。

外注費を給与と認定されたら、会社は大きなダメージを負います。

同一労働同一賃金で会社の雇用コストは確実に増える

同一労働同一賃金とは、同じ職務内容であれば非正規労働者と正規労働者に「不合理な待遇差」をつけてはいけないという法改正です。

不合理な待遇差をつけていけないものには、給与、賞与、各種手当、福利厚生などがあります。

基本給となる給与はもちろん、賞与も各種手当も社会保険料の対象になります。

<社会保険料の対象となる手当>

これにより非正規雇用労働者の賃金がアップします。

非正規雇用社員が社会保険料に対象者になるケースでは、賃金アップは社会保険料の増大につながります。

社会保険料は労使折半ですから、会社の負担は約15%、20万円の賃金なら3万円だったものが、同一労働同一賃金で25万円に賃金がアップすれば、社会保険料は3万7500円にアップします。

年間にすると9万円の社会保険料の増大です。

賃金5万円アップに社会保険料7500円のアップで、会社の負担するコストは69万円増えます。

この負担に耐えられない会社は、外注化を検討せざるをえないでしょう。

こんな外注化は注意が必要

上記のように同一労働同一賃金の導入後は、会社の負担する雇用コストは増えるでしょう。

そこでコストの負担を避けるために、外注化する企業も出てきます。

ただし、実質的に従業員のような勤務形態でありながら、形だけの外注化を行っても税務著から否認されてしまうので注意が必要です。

社員と雇用契約を解消して新たに業務委託契約を結ぶようなケースは特に注意しなくてはいけません。

ちなみに税務署から否認された場合、これまでの判例では100%納税者側が負けているそうです。

つまり税務署から否認された時点で、その判定は覆らないということです。


外注化で同一労働同一賃金の負担が減る理由る

外注化のメリットは「所得税の源泉徴収」の必要はありませんし、社会保険料の負担もありません。

さらに外注費は消費税の課税取引にあたるため、消費税分だけ全体的な支払いが少なく済みます。

給料は消費税の課税取引には該当しません。

金銭的メリットだけでいえば、社員に給与を支払うより、外注化した方が企業の負担はぐんと減るというわけです。

しかしそんなことは税務署は百も承知で、だからこそ外注費・業務委託費には厳しい目を光らせています。

仮に外注費を給与とすることができたら、所得税の源泉徴収、不納付加算税、延滞税、漏れていた消費税の追徴課税など、芋ずる式に税金を徴収できますので、非常においしいわけです。

安易に外注化すると、後々大きな損失を被ることになる危険があります。

外注費を否認されない5つのポイント

外注費を外注費として認めてもらうには、形だけの業務委託契約ではなく、実態が伴っている必要があります。

その際ポイントとなるのが次の5つです。

なお一つでも下記要件に該当したらダメというわけでなく、総合的に見て実態で判断されます。

1・外注先は会社の指揮監督を受けない

請け負った仕事の具体的な手順や内容は外注先自ら決めるものです。

それを発注先の指揮監督を受けいるということは、発注先の管理下に置かれていると判断されます。

2・必要な材料や用具を外注先で負担している

仕事に必要な材料や用具は外注先が用意してくるものです。

発注先の材料や用具を使って作業を行うと、社員とみなされる可能性があります。

3・外注先はその業務を行わなくてもいい

外注先は請け負った仕事を、ほかの外注先(下請け)に流すことができます。

発注元が受け取りたいのは、成果物という結果ですから、品質が求めているもの以上であれば、外注先が下請けに仕事を流しても問題はないはずです。

しかしその制限を行われているということは、発注元の管理下に置かれているとみなされる可能性が高くなります。

4・引渡し前の成果物が不可抗力により滅失した場合は外注先は請求できない

外注先は成果物を完成させて納めることで報酬を受け取ることができます。

それが何かしらの理由で完成できないときは、外注先は発注元に請求できません。

しかし社員であれば労働のために出た時間は時間給が発生します。

したがって、完成品の引渡しなどが完了していなくても、時間単位で報酬を支払う条件であれば、給与に該当すると判定される可能性が高くなります。

5・外注先が報酬を計算して発注元に請求できる

外注費は、作業時間に関係なく、作業内容に応じて報酬が支払われるものです。

その反対に作業時間を指定したり、作業時間単位で報酬を計算するなど時間的な拘束をすれば、給与に該当すると判定される恐れがあります。

確定申告も必要

上記以外にもう一つ大事なポイントがあります。

それが「確定申告」です。

確定申告は独立した個人事業主や法人が、所得にかかる税金の額を計算し、税金を支払うための手続きです。

そのため業務委託先が確定申告することで、発注元は業務委託契約だと主張する根拠となります。

まとめ

同一労働同一賃金の導入により、企業の雇用コストの負担は増します。

その雇用コストの負担を避けるため、業務を外注化するときには運用に際して注意が必要になります。

とくに社員との雇用契約を業務委託契約に切り替えて外注化するときは、完全に独立した個人事業主として接しないといけません。

外注化に切り替えても、後で否認されたら、元の木阿弥どころか大きな負担が発生します。

同一労働同一賃金の対策で外注・業務請負契約をするときは気を付けましょう。


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