以前の黒字倒産といえば、売上はあるのに銀行の貸し渋りなどで資金が不足して起こるものがメインでした。

しかし現在では、業績は好調なのに人手不足が原因で倒産する中小企業が目立つようになってきました。

黒字倒産も出るほど深刻な採用難への対処

「うちは今のところ人手は足りている」「設備投資で人手不足を解消できた」と他人ごとのように思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、これは自社だけの問題にあらずです。

御社が大丈夫でも取引企業のことまではわかりません。

人手不足による取引企業の倒産で、売掛金が未回収になるリスクに備える必要があります。

売上があってもキャッシュがない

おさらいのため、黒字倒産とは「利益は計上されているのに運転資金や手元に残っている資金が枯渇したため倒産」することを指します。

要するに売上はあるのに手元キャッシュがなくなって、取引先企業などへの支払いができなくなって倒産することです。

倒産とは赤字か黒字かで決まるものではありません。

キャッシュのあるなしで決まります(厳密にいえばキャッシュのあるなしよりも、経営者がバンザイしたときが本当の倒産です)。

黒字であってもキャッシュがなければ倒産してしまうのです。

黒字倒産が起こる理由

なぜ黒字倒産が起こるのかといえば、売上・利益が現金に替わるまでに「タイムラグ」があるからです。

売上・利益が現金に替わるのは、実際にキャッシュが手元に入ってきたときです。

つまり売掛金を回収してはじめて現金となります。

販売した日から売掛金を回収できる日までの日数が、売上・利益が現金となるタイムラグなのです。

その間に支払いがあれば、自己資金でまかなわねばならなくなります。

そのため販売から回収まで日にちが伸びるほど、資金繰りは苦しくなります。

それはどれだけ売上や利益が大きくても同じです。

ちなみに、あの「ZOZOタウン」も資金繰り難というニュースが流れています。

その原因の一つに「つけ払い」という掛売サービスを導入したことが挙げられます。

これは、商品到着後に顧客へ送付される請求書に基づき支払いが行われる代金決済方法で、その回収期間は60日の長期です。

にもかかわらず、ZOZOは商品販売後20日ほどで、アパレルメーカーに対して販売代金を支払うことになっているのです。

その40日のサイクルが、資金繰りを圧迫する原因となります。

ZOZO前澤社長のビジネスモデル崩壊を招いた「つけ払い」専門家が解説

資金繰りを圧迫する運転資金の問題は、売上の大小関係なく起こります。

売上が大きいから資金繰りは安泰とならないことに注意が必要です。


人手不足が起こす黒字倒産が出始めた

このように黒字倒産といえば、資金を用意できないことで起こるものがメインでした。

しかし人手不足の現在は、業績が好調でも人手不足が理由で倒産してしまう会社が出始めたのです。

キャッシュはあっても、人が集まらない、集まってもすぐ辞めてしまう、こんなサイクルを繰り返すことで、売り上げはあっても仕事が回らなくなって倒産してしまうというケースです。

ですから自社は大丈夫であっても、取引先企業が人手不足であれば、売掛金管理の注意が必要になります。

会社が倒産するときには「予兆」があります。

わたしが昔いた会社も無くなりましたが(吸収されて)、その会社の支店も危ない予兆がありました。

まず、売れない不良在庫を多く抱えていて、従業員の出入りも激しかったです。

予兆を発見したら支払い条件の変更など対策を立てておきましょう。

売掛金回収を有利にするための対策

売掛金を回収するためには、以下のことを最低でも行っておきましょう。

相手の資金を把握しておく

信用調査などを行い、取引相手に支払い能力があるかを調べましょう。

与信枠の設定

与信枠とは簡単にいうと信用の限度額のことです。

支払い能力に疑問がつけば、それ以上の商品・サービスの提供はせず、取引を中止するか、現金取引に変更してもらいます。

ただし、一方的な要求はトラブルの元となりますので、相手と話し合いのうえ決めましょう。

顧客管理の徹底

顧客ごとに「売掛金の発生状況」や「回収状況」をしっかり管理します。

一日でも支払いが遅れたら、すぐに督促する、集金日には時間通り必ず行くなど、徹底的な管理が必要です。

ズルズルいくと相手も舐めてきますので、未回収の売掛金は増えるばかりです。

経営セーフティ共済に加入しておく

経営セーフティ共済に加入されると、取引先事業者が倒産したことにより売掛金債権等の回収が困難となった場合に、共済金の借入れが受けられます。

回収はできなくても、連鎖倒産を防ぐことができます。

掛け金は法人の場合損金、個人事業主の場合は必要経費になりますので、節税効果があります(繰り延べ型節税)。

経営セーフティ共済

取引先の売掛金の回収不能となった場合

貸し倒れ損失に計上する

ほとんど回収の見込みのない売掛金は、貸し倒れ損失として処理できます。

売掛金をチャラにすることは悔しいですが、貸し倒れ損失処理するこで、法人税を節税することができます。

また売掛金が減りますので、財務諸表の改善も行えます。

無駄な売掛金が減ることで、経営指標の「ROA」が改善します。

未回収の売掛金が残っていれば、貸借対照表の売掛金が実態よりも大きくなりますが、銀行は融資の際、不良債権があるかも調べ、「実態バランスシート」で評価します。

ですから、水増しされた売掛金があっても、何の効果もないのです。

やはり損してでも処理してしまうべきです。

調停を立てる

民事調停は手続が簡易で費用も低額で、さらに当事者は法律的な制約にとらわれず自由に言い分を述べることができるという利点があります。

また、民事調停で成立した合意の内容を記載したものを「調停調書」といい、確定判決と同様の効力を持つため裁判を経ずに強制執行を申し立てることも可能です。

少額訴訟を起こす

少額訴訟は、

  1. 60万円以下のお金の請求
  2. すぐに裁判資料を準備できる
  3. 内容が複雑すぎない

という少額の債権回収に向いています。

少額訴訟の判決には仮執行の宣言が付され、判決の確定を待たずに被告の財産に強制執行を開始することができます。

弁護士に相談する

弁護士に相談して訴訟などを含め回収方法を検討します。

弁護士が出てくることで、あなたの本気度が伝わり、相手もビビることでしょう。

まとめ

今後人手不足が解消される見込みはありません。

であるなら、人手不足による取引先企業の倒産にも敏感になっておくべきです。

小規模な損失で済めばよいですが、大きな売掛金となると連鎖倒産となりかねません。

これからは人手不足も倒産のキーワードになります。


<社長におススメの【資金繰りに役立つ】記事>

【2019年最新】働き方改革推進で活用したい助成金大特集

【消費税・社会保険料対策】知らないと怖い業務委託契約の事実

【緊急レポート】今すぐ節税・社保削減したい社長のための極秘マニュアル

社長必見!知らないと税金を2倍取られる税務調査対策



<おススメサービス>

【求人革命】Webで人手不足を解消するサービス

銀行から見た「自社評価がわかる」格付け診断サービス