機械や設備を購入せずに借りて利用する「リース取引」に関する会計基準が変わることをご存知でしょうか?

リースの取引の会計処理は、ファイナンスリースとオペレーティングリースで別々に行われていました。

それが2019年1月1日以後に開始する事業からは、国際財務報告基準IFRS16号による新基準が強制適用されます。

リース取引を資産計上 会計基準変更、国際標準へ(日経新聞)

結論からいえば、これまでオペレーティングリースをオフバランス処理できていたものが(貸借対照表に資産計上しない処理)、オンバランス処理(貸借対照表に資産計上する処理)を行わなくてはいけなくなったのです。

だからどうしたということですが、これにより財務指標の数値が変わり、銀行格付けへの影響が出てきます。

銀行からの融資が必要な企業にとっては、これまで資産計上していなかったものが資産に計上されることでの影響を考慮しておかなくてはいけません。

リース契約とは

リース契約とは、会社が設備投資をする際に、その物件を購入するのではなく、リース会社から長期間借りて利用する契約を指します。

リース契約の対象は、コピー機や複合機やパソコンといったOA・IT機器のほか、産業機械や工作機械、重機などもリース契約の対象となります。

要は、会社で使用する消耗品以外のあらゆる設備が、リース契約の対象になるといえます。

ただし、不動産や建物付属設備、構築物については、原則としてリースの対象にはなりません。

スポンサーリンク

リース取引のメリット

リース取引は、事業用設備をリース会社から借りることですから、月額のリース料さえ支払えば、購入したと同じく事業に使用することができます。

また設備は年数が経てば機能も古くなりますが、リース契約の場合期間を短く設定すれば、新しい資産を購入しなくて使うこともできます。

さらに、設備を購入する場合とは違い、導入時に多額の資金も必要なく、月々わずかのリース料で設備を導入でき、毎月のリース料は経費として全額計上できます。

これまでのリース契約の会計処理の方法

これまでリース取引は、ファイナンスリースとオペレーティングリースで、会計処理が異なりました。

ファイナンスリースの場合

ファイナンスリースとは、ユーザーが希望する設備をリース会社がユーザーに代わって購入し、その設備を一定期間ユーザーに賃貸する取引です。

賃貸契約とありますが、レンタルとは違い原則途中解釈できないため、実質売買契約と同じで、購入代金の分割払いとみなされます。

したがってリース契約で導入した設備も会社の資産として扱われます。

たとえば3千万円でファイナンスリースを利用して設備を導入した場合、貸借対照表の資産に3千万円が計上され、反対の負債にそのリース契約の総額が計上されます。

リース契約だけど買ったも同然だから、会社の資産に計上してね、という話です。

オペレーティングリースとは

一方オペレーティングリースとは、「借りているだけの取引」です。

ユーザーはリース会社からリース商品を借りて期間中使用し、契約期間が終了すればその商品をリース会社に返却します。

ユーザーは実際にリース商品を所有しているわけではありませんので、資産に計上する必要はありませんでした。

仮に5千万円の設備をオペレーティングリースで借りていた場合、資産ではありませんので、貸借対照表に計上する必要はなかったのです。

これが「オフバランス処理」です。

逆にいえば資産計上されないことで、実態より「有利子負債を少なく見せることができる」というメリットが生まれました。

リース区分の廃止

それが2019年1月1日以降に開始される事業年度から、ファイナンス・リースとオペレーティング・リースという区分は廃止されます。

これまではリースをファイナンス・リース取引としてオンバランス処理(=資産計上)するには、次の数値基準が用いられていました。

  1. リース期間が耐用年数の75%以上
  2. リース料総額の現在価値が見積購入価格の90%以上

この数値基準によるリースの分類がなくなります。

そして原則としてリース契約は「オンバランス処理(資産計上)」することになります。

これまでは売買か賃貸かでオンバランスとオフバランスが判断されていたものが、「リース契約かどうか」で判断されます。

※ただし例外として、少額なリース取引や短期リース取引は、新基準のリースに該当してもオフバランス処理(=資産計上しない処理)が認められます。

新リース会計基準の変更がもたらす銀行融資への影響

リース契約の会計処理の方法の変更で何が変わるのでしょう?

今回の変更は会計処理の方法が変わるだけで、実態のリース取引に不具合が生じるわけではありません。

しかし財務諸表にはその影響が出てきます。

先ほどのオペレーティングリースを行った場合の貸借対照表を対比してみてましょう。

1・総資産が大きくなる

オペレーティングリースの資産が計上されることで総資産が大きくなります。

これは「ROA」という経営指標の悪化を指します。

銀行格付けの項目にはありませんが、同じ売上げを上げるために多くの資産を使っているということなので、経営効率が悪いという判断をされます。

スポンサーリンク

2・自己資本比率が下がる

総資産が増えることで、企業の健全性を示し、金融機関が気にする指標の1つである自己資本比率が低下します。

自己資本比率の計算式:純資産÷総資産×100

自己資本比率が下がれば、銀行が行う格付けも評価が下がります。

3・有利子負債による悪影響

これまで計上されてなかったオペレーティングリースの負債が計上されますので、有利子負債の額が増えることになります。

この結果、銀行格付けの項目の、「ギアリング比」「債務償還年数」の評価が下がる可能性があります。

ギアリング比は自己資本に対する有利子負債の比率です。

自己の資本(純資産)に対して、何倍の借入をしているかをみる指標になります。

・ギアリング比=有利子負債÷純資産

債務償還年数は、有利子負債を簡易的な営業キャッシュフロー(営業利益+減価償却費)で返済するとして、何年で返済できるかをみる指標です。

一般的には10年が目安となりますが、有利子負債が増えれば、この数値も悪化します。

・債務償還年数=有利子負債÷(営業利益+減価償却費)

今まで行ってきたことは同じ、しかし会計のルール基準が変わることで、銀行からの格付けを落とされてしまうかもしれないのです。

国内会計基準の変更が完了するのには最長で2年程度を要するという意見もあり、中小企業への直接的な影響が発生するのはもう少し先ともいわれています。

ですが、今から新会計基準の変更点を知り、対応しておくことが後々の混乱を防ぐことにつながります。

スポンサーリンク

まとめ

実態はこれまでと同じオペレーティングリース契約でも、会計処理の方法が変わることで、財務諸表に反映される数値は変わってきます。

それが銀行格付けへの悪影響を及ぼすことになるケースもあります。

銀行融資が事業性評価に舵を切っているとはいえ、決算書が大事なことに変わりはありません。

銀行融資が必要な会社は、リース契約の会計処理方法にしっかり対策を行っておきましょう。

スポンサーリンク


おススメ記事【2019年最新】働き方改革推進で活用したい助成金大特集

おススメ記事【特集】店舗経営者が知っておきたい人手不足解消に役立つツール3選

おススメ記事【特集】求人広告に応募がない理由と3つの対策

おススメ記事【特集】確実にお金を増やす社長の資産倍増法