厚生労働省が公開している「平成29年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」という報告書によると、国民年金の支給額は「5万5千円」、厚生年金は「14万7千円」というデータが出ています。
※これは平均のデータですので、国民年金が満額支給された場合の金額ではありません。
この金額だけで余裕のある暮らしができるとはいいがたいのはもちろん、年金自体まだまだ縮小される恐れもありますし、支給年齢に至っては引上げられる公算の方が高いです。
年金だけに頼っていると老後破産ということにもなりかねません。
老後に備えた自助努力がますます求められます。
老後破産の原因は公的年金に頼ること
老後破産とは意外にも普通にサラリーマンとして働いていた方も陥っているようです。
貯金もして贅沢な暮らしもしてないのに、なぜか老後破産・・・
その原因の一つは「公的年金」にあります。
公的年金の支給額が思ったより低く、だんだんと貯金や退職金を取り崩していくはめになるというパターンです。
厚生年金がある方はまだましですが、国民年金だけだとさすがに生活できません。
やはり老後に備えて今からでも少しずつでもお金を貯めていかないと、老後破産も現実のものになってしまいます。
確実なお金の増やし方
老後のお金を貯める方法はいろいろありますし、さまざまな金融商品も販売されています。
リターンを求めるか安全性を求めるかで、どれくらいお金が増えるかは変わります。
しかし堅実にお金を増やすなら、出ることを塞く方が確実です。
会社でも売上げを伸ばすことは不確実ですが、経費を削減すれば間違いなくお金は残ります。
さらに経営者の場合は退職金を使うことで、その効果を最大値まで引き上げられます。
それは金融商品も同じなのです。
では出る方を塞ぐとは何かといいますと、税金や社会保険料の支出を抑えることです。
節税効果のある小規模企業共済
経営者なら加入しておきたいのが小規模企業共済です。
小規模企業共済とは、小規模な個人事業主や法人の役員等が退職したり事業を廃止したときに、それまでの積み立た掛金に応じた共済金を受け取ることができる共済制度です。
小規模企業共済の掛け金は、全額を「小規模企業共済掛金控除」として所得から控除できます。
<小規模企業共済の節税効果>

※掛け金は共済契約者自身の収入の中から支払うので、事業上の損金または必要経費には算入できませんので注意しましょう。
将来共済金が戻ってくるときは、掛金納付期間に応じ最大120%相当額が戻ってきます。※一定納付期間以下だと元本割れします。
小規模企業共済は、積立時は所得控除され節税効果を得られます。
しかし解約時には、これまで繰り延べた税金を支払うことになります。
ですが退職金として受け取れば、共済金(解約手当金)は「退職所得」となり、大幅に税負担を軽減できます。
仮に、2000万円の退職金、20年の役員在職期間があるとすると、最終的な手取りは約1861万円になります。
- 控除額:40万円×20年=800万円
- 課税職金額:(2000万円-800万円)×1/2=600万円
- 所得税額:788722円
- 住民税:60万円
- 退職金の手取り金額:1861万1278円
これが2000万円を給与所得で受け取ったなら※基礎控除のみで計算
- 所得税:379万3300円
- 住民税:159万8700円
- 社会保険料:150万6420円
- 手取り:1310万1580円
となります。
退職金で受け取った場合と約550万円も手取りに差がでます。
これを確実に550万円増える金融商品と考えればどうでしょうか?
1000万円を年利2%の複利で20年運用した場合、約1485万円に増えますが、元本保証で550万円確実に増える金融商品はそうそうないでしょう。
ただし、小規模企業共済の節税効果を最大限享受できるのは、退職控除を利用したときです( 分割受取りの場合は、公的年金等の雑所得扱いとなり、税制メリットがあります )。
途中解約すると、解約金を受取った年にそれまで繰り延べていた税金が一気に課税されます。
小規模企業共済は退職金とセットで利用しないと、意味のない金融商品になってしまいます。
また退職したふりをして実際はそのまま働き続けるなどすると、税法上手痛いしっぺ返しを食らうことになりますので、その点も注意が必要です。
社会保険料を削減してお金を増やす
社会保険料はさまざまな方法を使って削減することができます。
社会保険料の個人負担は約15%にもなります。
仮に100万円を社会保険料の対象にならない形で所得移転することができれば、年利15%の金融商品を購入したと同じ効果が得られます(税負担を考えない場合)。
今現在の日本で元本保証で確実に年利15%もリターンがある商品はありますか?という話です。
さらに経営者の場合は法人分も自分で支払っているようなものですから、実質30%の負担、逆にいえば社保を削減できれば30%もリターンがあるということです。
でも社会保険料には、将来の厚生年金のお金も含まれていると反論されるかもしれませんが、その年金が頼りになるかどうかは最初にお話しした通りです。
支給年齢が引き延ばされ、支給額が縮小されるのであれば、厚生年金保険料が本当に見合ったものか検討しなくてはいけないでしょう。
会社に残った社保削減分の所得移転法
社会保険料を削減すれば、個人はもちろん法人側も15%分の保険料が浮くことになります。
この浮いた保険料、最終的にどう経営者個人へ所得移転するかも考えておかなくてはいけません。
そこで利用するのが、ここでもやはり退職金です。
退職控除という大きな税額控除を使い、もっとも税率の低い形で貯まったお金を社長個人へ所得移転します。
このように社会保険料を削減したお金を無駄なく貯めていくことで、老後に大きなお金を残せることができます。
まとめ
老後破産しないためには、個人の自助努力が必要です。
賢い人は公的年金は頼れないことに気づき、すでに老後に備えお金を貯めはじめています。
そのときに有効なのが節税と社会保険料の削減です。
節税と社会保険料の削減は、確実にお金を増やす効果がありますし、負担の高さの分だけそのインパクトも大きいです。
ぜい参考にしてみてください。
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