会社は雇用する労働者に対して、「健康診断」を受けさせなければならない義務を「労働安全衛生法」によって負っています。

なぜなら会社は、労働者を健康な状態で働かせるという義務、「安全配慮義務」があるからです。

会社が労働者に対して「健康診断」を受けさせない場合には、「50万円以下の罰金」が科されられるおそれがあります。

また、健康診断を受けさせなかったために重大な健康被害が生じた場合には、「安全配慮義務違反」による損害賠償の責任を負うおそれもあります。労働者が死亡するなど、結果が重大であると、賠償額も高額です。

ただし費用は、企業に健康診断の実施が義務付けられているものなので、負担するのは企業側になります。

社員を健康な状態で働かせる義務があるとはいえ、その負担はバカになりません。

そこで利用したいのが「キャリアアップ助成金(健康診断制度コース)」です。

この助成金を活用することで、事業主の健康診断に対する負担を軽減できます。

キャリアアップ助成金とは?

キャリアアップ助成金とは、非正規社員などのキャリアアップを促進するための制度です。

非正規労働者の、雇用創出、労働環境・処遇改善などを行ったときに、その費用の一部を助成してくれます。

このキャリアアップ助成金の中に、健康診断制度コースというものがあります。

キャリアアップ助成金(健康診断制度コース)とは?

キャリアアップ助成金の健康診断制度コースは、パートタイムやアルバイトなどの有期契約労働者等を対象とする健康診断制度を新たに規定し、延べ4人以上健康診断を実施した場合に支給される助成金です。

健康診断制度コースの対象となる従業員

対象となる従業員は以下の通りです。

  • 有期契約の労働者であっること※有期契約とは雇用の期間の定めのある契約のこと
  • 雇用保険の被保険者であること
  • 事業主または取締役の3親等以内の親族以外であること
  • 支給申請日において離職していないこと

健康診断制度コースの対象となる事業主

キャリアアップ助成金健康診断制度コースを受給するには、次の要件を満たす事業主でなくてはいけません。

  • 雇用保険適用事業所の事業主であること
  • 雇用保険適用事業所ごとに、キャリアアップ管理者を置いている事業主であること
  • 雇用保険適用事業所ごとに、対象労働者に対し、キャリアアップ計画を作成し、管轄労働局長の受給資格の認定を受けた事業主であること
  • 該当するコースの措置に係る対象労働者に対する賃金の支払い状況等を明らかにする書類を整備している事業主であること
  • キャリアアップ計画期間内にキャリアアップに取り組んだ事業主であること
  • キャリアアップ計画書に記載されたキャリアアップ計画期間中に、事業主に実施が義務付けられていない有期契約労働者等を対象とする「雇入時健康診断制度」もしくは「定期健康診断制度」または「人間ドック制度」(以下「健康診断制度」という)を労働協約または就業規則に規定した事業主であること。
  • 1の制度に基づき、キャリアアップ計画期間中に、雇用する有期契約労働者等延べ4人以上に実施した事業主であること。
  • 支給申請日において当該健康診断制度を継続して運用している事業主であること。
  • 当該雇入時健康診断制度または定期健康診断制度を規定した場合については、対象労働者に実施した当該雇入または定期健康診断の費用の全額を負担することを労働協約または就業規則に規定し、実際に費用の全額を健康診断実施機関または対象労働者に対して直接負担した事業主であること。
  • 当該人間ドック制度を規定した場合については、対象労働者に実施した当該人間ドック制度の費用の半額以上を負担することを労働協約または就業規則に規定し、実際に費用の半額以上を健康診断実施機関または対象労働者に対して直接負担した事業主であること。
  • 当該健康診断制度を実施するにあたり、対象者を限定する等実施するための要件(合理的な理由があるものに限る)がある場合は、当該要件を労働協約または就業規則に規定している事業主であること。
  • 生産性要件を満たした場合の支給額の適用を受ける場合にあっては、当該生産性要件を満たした事業主であること。

キャリアアップ助成金における各種健康診断制度の定義

支給対象事業主は、キャリアアップ計画の実施期間の中で、健康診断の実施義務のない有期雇用の従業員に対し、下記3つの内いずれかを労働協約または就業規則に規定し、対象従業員4人以上に実施する必要があります。

雇入時健康診断とは

労働安全衛生規則(昭和47年労働省令第32号)第43条に規定されている、常時使用する労働者に対して行う健康診断をいいます。

定期健康診断とは

労働安全衛生規則第44条に規定されている、常時使用する労働者(※1)に対して行う健康診断をいいます。

人間ドックとは
  • 基本健康診断(問診、身体計測、理学的検査、血圧測定、検尿、循環器検査、肝機能検査、腎機能検査、血糖検査を行うものをいう)
  • 胃がん検診
  • 肺がん検診
  • 乳がん検診
  • 大腸がん検診
  • 歯周疾患検診
  • 骨粗しょう症検診

提出書類

  • 支給要件確認申立書
  • 支払方法・受取人住所届
  • 管轄労働局長の認定を受けたキャリアアップ計画書
  • 健康診断制度が規定されている労働協約または就業規則および健康診断制度が規定される前の労働協約または就業規則
  • 対象労働者が健康診断を実施したことおよび実施日が確認できる書類
  • 対象労働者の雇用契約書等
  • 対象労働者の労働基準法第108条に定める賃金台帳または船員法第58条の2に定める報酬支払簿
  • 中小企業事業主である場合、中小企業事業主であることを確認できる書類
  • 生産性要件に係る支給申請の場合の添付書類

上記の他、労働局が必要と認める書類の提出を求められることがあります。

支給申請期間

対象労働者延べ4人以上に健康診断を実施した日※2を含む月の分の賃金を支給した日の翌日から起算して2か月以内に申請しなくてはいけません。

手続きの流れ

1・キャリアアップ計画の作成・提出(健康診断制度を規定する日までに提出)

雇用保険適用事業所ごとに「キャリアアップ管理者」を配置するとともに、労働組合等の意見を聴いて「キャリアアップ計画」を作成し、管轄労働局長の認定を受けます。

2・就業規則または労働協約に健康診断制度を規定

キャリアアップ計画期間中に健康診断制度を規定する必要があります。

3・健康診断等を延べ4人以上に実施

就業規則、労働協約に基づき、法令に実施が義務づけられていない有期契約労働者等に実施する必要があります。

4・支給申請

4人以上に実施した日※を含む月の分の賃金を支給した日の翌日から起算して2か月以内に支給申請しなくてはいけません。

5・審査、支給決定

まとめ

キャリアアップ助成金(健康診断制度コース)は利用しやすい助成金です。

従業員の健康も企業の成長と関係しています。

キャリアアップ助成金(健康診断制度コース)は非正規労働者が対象ですが、人手不足が深刻化してくる中では、パートタイム・アルバイトなどの社員も重要な戦力になります。

こういった方々の健康維持管理に取組むのも、企業の成長を考える上では大切です。

キャリアアップ助成金(健康診断制度コース)を活用して、従業員の健康促進に取組みましょう。


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