「稼いでも会社にお金が残らない」もしかしたらこんなお悩みをお持ちの経営者も多いかもしれません。
しかしお金に羽が生えて勝手にどこかへ行ってしまうわけではありません。
お金が消えてなくなるものにはきちんとした理由があります。
会社の資金繰りを改善するには、まずお金が消える経路を確認し、そこをキュッと閉める必要があります。
会社のお金が消えてなくなる5つの経路
会社のお金が消えてなくなる経路は大きくいって5つあります。
1・運転資金
売上げが増えると資金繰りは良くなるように思いがちですが、これは間違いです。
売上げが増えると逆に資金繰りは苦しくなります。
なぜなら、売上が増えれば売掛金や在庫も同時に増えるからです。
要するに売上げ増加によって、必要な「運転資金」も増えてしまうのです。
運転資金を求める計算は次の通りです。
・売掛金+在庫-買掛金
売掛金が1000万円、在庫が1500万円、買掛金が800万円の場合で計算してみます。
・1000万円+1500万円-800万円=1700万円
必要運転資金は1700万円です。
では売上げが2倍になって、売掛金、在庫、買掛金がそれぞれ2倍になったとします。
このとき必要運転資金はいくらになるでしょうか?
・2000万円+3000万円-1600万円=3400万円
そうです。単純に運転資金も2倍になります。
これ以外にも人件費や家賃(多店舗展開する場合)が必要になり、固定費がアップします。
固定費のアップは損益分岐点の上昇を意味し、これもまた資金繰りを圧迫する原因となります。
とくに急激に売上げが増える場合は、上記計算式からもわかるように資金不足に拍車がかかります。
そのため不足する運転資金を、銀行融資などで調達しなくてはいけなくなります。
売上げアップ時も資金ショートの危険性がないか注意しなくてはいけないのです。
売掛金と在庫は現金に換わるまではお金が寝ているわけですから、この2つの金額が大きくなると資金繰りは苦しくなりることはご理解いただけると思います。
言うは易し行うは難しは重々承知いておりますが、売掛金は回収までのサイクルを短くし、焦げ付きはなるべく最小に、在庫も不良在庫をなくす努力が必要になります。
2・設備投資
過大な設備投資は会社の資金繰りを大きく傷めます。
とくに投資額を回収できない設備投資は、会社の存続さえ危うくします。
いわゆる収益を生み出さない不良資産となってしまいます。
設備投資に見合う収益があるかよくよく考えなくてはいけません。
また設備投資で資金繰りを傷めないためには、
- 設備資金は全額公的機関を含めた金融機関からの融資で調達する
- できるだけ耐用年数(減価償却費の)に近い期間で借りる
といった施策が必要になります。
3・支払い
ビジネスはお金の先出が基本です。
そのためお金の回収より先にお金が出ていってしまいます。
逆にいえば、現金仕入れを買掛取引にし、さらに買掛期間を延ばすと資金繰りは楽になります(現金仕入れで仕入れを安くしてもらっているとぃた戦略がある場合は別です)。
先ほどの運転資金の計算式で考えてみればわかります。
売掛金が1000万円、在庫が1500万円、買掛金が800万円の場合は必要運転資金は1700万円でした。
・1000万円+1500万円-800万円=1700万円
この買掛金が1000万円に増えれば運転資金は
・1000万円+1500万円-1000万円=1500万円
となり、必要な運転資金は少なくなります。
支払いで詰まらないためには、やはり資金繰り表をつけるのが一番です。
支払予定日と入金予定日があらかじめわかっていれば、いつ資金が不足するか把握できます。
把握できれば、支払い時期を延ばせる相手がいないか、具体的にリストアップできます。
4・返済
毎月の支出でジワジワ効いてくるのが、金融機関などへの返済です。
返済金額のうち利息は経費になりますが、元本部分は費用になりません。
つまり税引き後の利益で元本部分を返済することになります。
これをむずかしい用語でいえば「収益弁済」といいますが、要するに
・税引き後利益+減価償却費
この2つの数字を足した金額より返済額(元本部分)の方が多ければ(または同額)、利益がそっくりそのまま借入の返済で飛んでいるか、利益だけでは足らずにどこからか資金を調達して返済しているということです。
そのため借入の返済で資金繰りが苦しくなってくるのです。
借入の返済のために高金利のローンに手を出すのも危険ですが、最近ではファクタリングという手法もあります。
ファクタリングは実は金利は高く、しかも売掛金を担保としているため、いったん手を出すと、翌月も、翌々月もとファクタンリグで資金を調達しなくてはいけないというアリ地獄にハマってしまいます。
安易な借り入れの前に、金融機関と交渉して返済条件の緩和ができないかを相談しましょう。
5・損失
本来会社は儲けたお金で商品を仕入れ、設備投資をし、借入の返済をしていきます。
しかし赤字体質の会社はその元となるお金がありませんから、収益を作り出すことが難しくなります。
ビジネスの基本はキャッシュの先出です。
その元手となるお金を用意するには、経費の見直し、事業規模の縮小、赤字事業からの撤退などして、損失を最小にし、利益を確保することが急務になります。
あるいは無駄な資産を売却して、キャッシュを用意するといった施策も必要になってきます。
まとめ
5つのお金の消えてなくなる経路を把握し、出るキャッシュを制御することで、会社の資金繰りは改善します。
まずお金の消えてなくなる5つの経路の改善の優先順位をつけ、施策に取り組みましょう。
お金が入ってくる方はコントロールできませんが、出ていく方はコントロールできます。
しかも取り組めばすぐに効果を発揮します。
原因を把握して改善に取組めば「稼いでも会社にお金が残らない」悩みを解消できます。
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