利益率が高いビジネスは成功確率が高まる

財務改善

ホリエモンこと堀江貴文さんが推奨するビジネスモデルに次の4つがあります。

  1. 小資本で始められる。
  2. 在庫がない(あるいは少ない)
  3. 利益率が高い
  4. 毎月の定期収入が確保できる

この4つに当てはまるものが多いビジネスは、その分だけ成功しやすいというわけです。

すべてを満たすのがベストですが、それは簡単ではありません。

新規ビジネスを行う場合の「利益率が高い」ことで得られるメリットに注目してみます。

新規ビジネスでは避けなくてはいけない経費の固定化

利益の高いビジネスが有利なことはあらためていうこともないですが、これを固定費との関係でみていきましょう。

新規ビジネスの立ち上げ時に抑えなくてはいけないのは、売上とは関係なく発生する固定費です。

固定費には、店舗・事務所の家賃、事務機器や設備などのリース契約、フランチャイズ契約などがあります。

これらの費用は売上とは関係なく毎月支払っていかなくてはいけません。

そのため売上が不安定なときに経費を固定化してしまうことほど危険なことはないのです。

損益分岐点で考える

これを損益分岐点で考えるとわかりやすくなります。

損益分岐点とは、黒字か赤字かになる売上の境目のことです。

これ以上の売上なら黒字、これ以下の売上なら赤字というラインです。

つまり損益分岐点以下の売上だと、採算割れしてしまうということです。

損益分岐点の求め方

損益分岐点は次の計算式でも求めます。

・損益分岐点=固定費÷{1-(変動費÷売上高)}→固定費÷(1-変動費率)

※(1-変動費率)のことを限界利益率といいます。

変動費とは売上に連動して発生する費用のことです。

仕入や製造原価がこれに当たります。

ただ実際の現場で固定費と変動費を正確に分けることは困難です。

そのため損益計算書(PL)の「売上原価」を変動費、「販売費及び一般管理費」を固定費として分けて、損益分岐点を求めます。

そうなると変動費・固定費を売上原価と販管費に置換えれば良いので

損益分岐点=販管費÷(1-売上原価率)→販管費÷粗利益率

で、損益分岐点売上高を簡単に求めることができます。

固定費の高コスト化で売上は1.5倍必要に

前置きが長くなりましたが、固定費が高いビジネスと固定費が低いビジネスで、どれだけ損益分岐点に差が出るか計算してみます。

固定費(販管費)1000万円、粗利益率30%のビジネスで考えてみましょう。

この場合の損益分岐点売上高は

・1000万円÷30%=3333万円

です。

これが固定費が高くなり1500万円になればどうでしょう?

・1500万円÷30%=5000万円

1000万円の固定費のときより1.5倍の売上を確保しなくてはいけなくなります。

このように固定費の高コスト化は避けなくてはいけない事項です。

とくに売上が不透明な新規事業であれば、なおさら固定費は節約しなくてはいけません。

固定費が高いと達成しなくてはいけない売上高のハードルが上がり、必要額を確保できなければ採算割れとなり、あっという間に資金繰りが回らなくなってしまいます。

高利益ビジネスなら固定費の高コスト化にも耐えられる

しかし同じ固定費でも粗利益率が改善すれば、損益分岐点売上高のラインも下がります。

先ほどの例のように固定費が1500万円でも粗利益率が35%に改善できれば

・1500万円÷35%=4286万円

まで損益分岐点を下げることができます。

この場合固定費の高さを補うには、「利益率を高くする」ことが有効な対策となるわけです。

もちろん固定費をもっと抑え、粗利益率が35%ならさらに損益分岐点は下がり、新規事業を収益化しやすくできます。

固定費1000万円、粗利益率35%の損益分岐点売上高

・1000万円÷35%=2857万円

このように「利益の高い」ビジネスは、固定費が高いという弱点があっても克服でき、なおかつ収益化しやすいという特徴があります。

そんなことは百も承知で、あなたも経費の削減や仕入交渉をしているわけですが、しかし削ってはいけない費用があります(とくに新規ビジネス立上げ時は)。

それが広告費です。

新規ビジネスの成功の要となる広告費

新規事業を軌道に乗せるために重要な役割を担うのが「広告費」です。

広告費を掛ければ成功するというものではありませんが、それでも新規事業は広告費を投入することで、成功する確率はグッと高まります。

しかし広告費は販管費に入る科目で、広告費の投入は固定費の高コスト化に他なりません。

ですが現実には広告費の投入によって売上が上限するのであれば、そこは名目は固定費でも、実際には変動費としてカウントするのが実情に即しているといえます。

広告の成否はテストマーケティング

そんな話はさておき、広告で成果を得るためには、テストマーケティングが必須となります。

広告媒体一つ取ってみても、

  • インターネット広告→リスティング広告、ディスプレイネットワーク広告、Youtube広告、ポータルサイト、メルマガ広告など
  • オフライン広告→チラシ、ダイレクトメール、看板、フリーペーパーなど

たくさんの手段があります。

この中で最適な媒体を見つけていかなくてはいけません。

さらに広告のビジュアルもテストして変更というサイクルを繰り返して、コンバージョン率を改善していく必要があります。

このようなトライ&エラーをさまざまな広告手段を使って繰り返すことで、費用対効果を検証できます。

にもかかわらず、広告費以外の固定費に大きな費用をかけてしまえば、テストマーケティングの予算が足りなくなってしまいます。

その結果何が起こるかというと、費用対効果の合う方法を見つけられず、事業を軌道に乗せられなくなってしまいます。

一発勝負で当たるほどマーケティングは甘くありません。

だからこそ広告予算は余裕を持って確保しておかなくてはいけないのです。

その点利益率の高いビジネスは、広告費用も多くかけることができます。

どうすれば高い利益率を確保できるのか?事業計画の段階でしっかり設計しておかなくてはいけません。

まとめ

  1. 小資本で始められる。
  2. 在庫がない(あるいは少ない)
  3. 利益率が高い
  4. 毎月の定期収入が確保できる

この4つのビジネスモデルの中で「利益率が高い」について解説してきました。

利益率を高くすることはいうほど簡単ではありませんが、それを達成したときは、優秀なビジネスモデルとなります。

利益率が高くなれば、損益分岐点が下がり、とても収益化が行いやすくなるからです。

ある意味で経費が高くても回ってしまうのが利益率の高いビジネスなのです。

経営基盤を強くするには利益率の高いビジネスモデルが必須です。

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