売上と利益の管理だけでは資金ショートは防げない

財務改善

利益とキャッシュには違いがあります。

それは利益がお金に換わるまでの「タイムラグ」です。

利益とキャッシュの額そのものに違いはありませんが、利益がキャッシュに換わるまでには時間のギャップがあります。

これを見落とすと資金ショートなどのピンチを招くことになります。

売上と利益の管理だけでは資金ショートは防げません。

売上と利益だけの管理では資金ショートを防げない

取引企業や取引額が増えてくると、取引形態や決済方法が多様化し、売上が現金に換わるまでの時間が長くなります。

そのため売上と利益しか見てないと、思いもよらぬ資金不足を招くことが起こきます。

商売はお金の先出しが基本です。

先に商品を仕入れてそれを販売し、その後代金の回収です。

代金の回収には現金取引と売掛取引がありますが、この2つが複合することで代金の回収期間は延びていきます。

そして売上を現金に換えるまでの間でも、仕入れの支払いは先行して訪れますので、キャッシュは常に不足することになります。

しかしです。

会社の取引相手は1社ではありません。

複数社と取引がありますので、一方は長期の売掛取引でも、一方は現金取引であったりしますので、とりあえずの資金繰りは回っていきます。

こうなってくると社長の目は売上と利益に注視してしまい、肝心の資金繰りについて大事な視点が抜けてしまうのです。

それすなわち「売上を現金化するまでの期間」です。

本来ビジネスは、仕入から販売代金の回収までをワンセットに考えなくてはいけません。

ですが資金繰りが何となくでも回ってしまうことで、「売上が現金に換わるまでの期間」という視点も同時に抜けてしまい、その結果思わぬ資金不足を招くことになるのです。

売上があっても支払に詰まる状態を「勘定合って銭足らず」といいます。

売上と利益しか見てないと資金繰りで足をすくわれるのは、「売上げの現金化までの期間」を見てないこともあげられます。

なぜ起こる?資金繰りを狂わす「勘定合って銭足らず」

資金ショートを防ぐ4か条

利益がキャッシュに換わるまでにはタイムラグがあります。

このタイムラグが資金ショートを起こす原因となります。

では資金ショートを防ぐためにはどうすれば良いか?

次の4つのことを行うだけで資金ショートを未然に防ぐことができます。

1・資金繰り表での管理を行う

資金繰り表とは実際のお金の流れを管理するための表です。

会社にいつ支払いや入金があって、その結果いくらお金が残るかが表で管理できるため、資金が不足しそうな時期も事前にわかります。

たとえば大口の出金があるときなど、口座の残高が極端に減ったり、最悪は不足することが予想できますので、それに備えて資金を用意しておく必要があります。

もし資金が用意できなければ、交渉で入金を早めたり大口の出金を遅らせたりすることができます。

事前に交渉できればこそ、大口の出金を支払えないといった不足の事態を防げます。

その月によっては、予定していた入金が遅れたり、臨時の支出があって余計に出費があったりと、繰越残高が変動します。

このようないつ起こるともわからないトラブルに備えるためには、月商の○○分はキャッシュを持っておかなくてはいけません。

その基準は

  • 月商の2ヵ月分以上で優良
  • 月商の1~2ヵ月以内で黄色信号
  • 月商の1ヵ月以内で赤信号

といわれています。※業種にもよる

資金繰り表で管理をするときは、ただ数字を管理するだけでなく、このような「月商の○○分口座に残しておけるように経営する」と目標を設定し、管理運営していくことも重要です。

2・貸借対照表で売掛金と在庫を把握する

貸借対照表で売掛金と在庫の状態を把握します。

お金が長期間寝てしまう原因は、売掛金と在庫にあります。

売上がそれほど増えてないのに資金繰りが悪くなるときは、在庫や売掛金の額が通常より大きくなっている可能性があります。

お金が寝ている割合が増えているので、その分キャッシュが不足するのです。

こういった数値は日数にして把握するがポイントです。

  • 売掛金→売掛債権回転日数:(売掛金+受取手形)÷(売上高÷365日)
  • 在庫→在庫回転日数:棚卸資産÷(売上原価÷365日)

上記の日数が増えていれば、売掛期間と在庫が増えている証拠です。

この数値を把握するためには、貸借対照表の売掛金と在庫がどうなっているかを知っておかなくてはいけません。

3・支払サイトの調整

支払はなるべく遅らせ、入金はなるべく早めることで資金ショートは防げます。

通常資金繰りが苦しくなるのは、売上代金の回収前に仕入れの支払いが来るためです。

10000円で3月1日に仕入れたものを、3月15日に15000円で販売して現金化した場合、15日間は10000円の赤字です。

しかし仕入れを買掛にし、3月20日に支払う取引になれば、その間の収支がマイナスになることはありません。

販売を売掛にした場合も同様です。

仮に3月31日を売掛金の入金に場合でも、買掛金の支払日が4月5になれば、手元資金がマイナスになることはありません。

このように、支払はなるべく遅らせ、入金はなるべく早めることで資金ショートは防げます。

それは出入金を調整することで、手元資金がマイナスにならない仕組みを構築しているからです。

資金繰り改善は売上アップが伴うものと考えがちですが、支払サイトの交渉だけで、実は改善するものなのです。

4・現金決済に徹する

会社の突然死は「手形の不渡り」によって起こります。

自分が降り出した手形の場合、決済日に口座に資金が足りなければ、不渡りになってしまいます。

しかしこれらが掛け取引なら、頭を下げて交渉すれば不渡りのような大ごとにはならず、支払いを何とか延ばしていただける可能性があります。

反対に取引先から受け取った手形が不渡りを出せば、予定していた入金の当てがなくなり、その結果として資金ショートを起こすことがあります。

こようなことを招かないためには、できるだけ手形取引を避け、半分は手形、半分は現金取引のようにリスク分散を行っておく必要があります。

商売は販売代金の回収までと考えると、手形取引はリスクを伴います。

手形による突然死を防ぐためには、現金決済の割合を高めておきましょう。

まとめ

売上と利益だけを見ていると、思わぬところで資金ショートに見舞われる可能性が出てきます。

それは「売上が現金に換わるまでの期間」を見落としているためです。

はじめは意識していても、取引先が増え、何とか資金繰りが回るようになれば、いつしか意識は薄れてしまいます。

その結果、リスクが進行してしまいます。

商売はキャッシュの先出しが基本ということを忘れないで、ビジネスに取組みましょう。

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