事業計画書はただ作っても意味がありません。
事業計画を作るのは資金調達や自社が目標を達成するために作るのであって、そこには何かしらの目的があります。
とくに金融機関に提出する事業計画書には、第三者を「納得させる」という目的を達成しなくてはいけません。
要は従業員にも金融機関にも「その事業は本当に実現できるか」を、事業計画書を持って語らなくてはいけないのです。
そのためには3つのポイントに着目して、事業プランを事前に考える必要があります。
1・事業化できるか仮説を立て調査する
どんなに素晴らしいビジネスアイデアでも、本当に事業を軌道に乗せることができるかはよくよく分析してみないといけません。
本当のところ、結局はじめてみなければわからないのがビジネスですが、それでもナイスアイデアと思えた企画でも、実際蓋を開けてみれば鳴かず飛ばずだったということはよくあります(わたしの場合ですが)。
はじめるのにお金のかからないようなビジネス(たとえばコンサル業など)ならコケてもケガは小さくて済みますが、お金をかけて行う場合、スベってコケれば大けがを負うことになります。
ベストなのは小さくスタートさせてテストしてみることです。
今はWebを使えば、手軽にテストマーケティングで調査を行えます。
たとえばリスティング広告を使えば、少額で広告を出稿でき、簡単にニーズ調査ができます。
これで反応を見ていけるかどうかの判断の目安になります。
分析結果が第三者を説得するロジックになる
とくに融資の場合は、「収益化できる」と金融機関を納得させなくてはいけません。
何の根拠もないビジネスプランだけで、「なるほど、そうですか」とはないらないでしょう。
事業計画書作成前に、客観的にビジネスアイデアを分析する必要があります。
そのためには思い込みを脱却したマーケティング調査が必要です。
その調査結果の分析で出てくる自分なりの見解が、第三者を説得するロジックになります。
- なぜニーズがあるといえるのか?
- 顧客になりそうな人は十分いるか?
- 他社の参入状況は?
- 市場は成長市場か?
- どうやって事業化するのか?
- ほかで買っても良いのに、わざわざあなたの会社から購入しなくてはいけない理由は何?
- 販売方法はどうする?
- 人員は確保できるか?
といった仮説を立て調査を行い、事業化できるかを判断しましょう。
2・市場で戦える経営資源があるか把握する
会社にとって経営資源とは、人、もの、金、情報といわれています。
その自社の持つ経営資源で、参入する市場で戦えるかを把握しなくていけません。
いわば事業戦略構築のための、自社の基礎体力の状況把握です。
自社の状況を把握するには
- 人材の確保や育成は必要か?
- 外注は必要か?
- 顧客リストはあるか?
- 仕入は確保できるか?
- 設備は既存のもので間に合うか?
- 生産体制は整っているか?
- 資金はあるか?足りないか?
- 融資を受けられるか?
- 自社の技術でニーズに対応できるか?
ざっと考えただけでも、これくらいは把握すべき事項が出てきます。
こういったことを掴んでおけばこそ、市場で戦える基礎体力が自社にあるか判断できます。
ビジネスに挑戦は付きものですが、それが無謀であっては多くの人に迷惑がかかります。
自社の経営資源を冷静に把握しましょう。
3・SWOT分析で事業の正当性を証明する
事業計画書は、自分が立案したビジネスアイデアが成功することを証明した資料です。
繰り返しますが、その正当性を証明するには客観的な根拠が必要になります。
とくに金融機関へ提出する事業計画書には、相手が「大丈夫」と思える根拠がないと、融資を受けることはできません。
そこで必要になるのが客観的視点を持つSWOT分析です。
SWOT分析とは、「強み(Strength)、弱み(Weakness)、機会(Opportunity)、脅威(Threat)」の頭文字から命名されたフレームワークで、自社の置かれている外部・内部環境をこのフレームワークで分析し、客観的な事業計画を作成する分析ツールです。
ときにビジネスプランの立案者は、自分のアイデアに思い込みがあり、それが原因で現実を客観的に見れてないことが多々あります。
そのような状況で事業計画書を作っても、他人を説得する材料とはなり得ないのです。
もちろん現実の事業においても、成功する確率はグッと下がってしまいます。
ただでさえ事業計画は計画通りにいくものでもないわけで、それが思い込みでつくられたのなら、なおさら上手くいくわけないでしょう。
ですからSWOT分析を行う際も、できるだけ主観を排除し、客観的視点で分析を行う必要があります。
逆にいえば、客観的分析を行えば自らの弱点もあぶり出され、それを補う準備もできるということです。
事業計画書作成前に、SWOT分析を行って、事業に正当性があることを証明しましょう。
まとめ
ビジネスを興すには誰しも思い入れがあるものです。
それはこのビジネスを世の中に広めたいという情熱であったり、儲かるという算段であったりします。
それがなければ、わざわざ自分のお金を使って投資を行うこともできませんし、事業を続けていく動機にもなりません。
しかし事業計画を作る段階においては、その思い入れがネックになり、思わぬ見落としを生んでしまいます。
現実の事業ではプランが失敗になる原因にもなりかねませんし、融資においては審査で断られる原因となります。
事業計画作成の段階では、極力主観を排し客観的目線で作らねばなりません。
そのためにも3つのポイントを事業計画書作成前には意識しましょう。
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