事業計画書を作るのは、主に融資の際です。
しかし事業計画を作る目的を資金調達だけにしてしまうのはもったないです。
なぜなら事業計画書を作ることで、あらためて気づく点が多いからです。
この記事では、事業計画書を作るメリットについて解説していきます。
事業計画書は何のために作るのか?
事業計画書は、事業内容や経営方針、事業展開する戦略、売上推移や業績予想、それに伴う財務計画など、新しく進める事業や、既存の事業の見直しを具体的なプランにまとめた書類です。
いわばあなたの頭の中にある事業プランを、徹底的にシミュレーションし、実現性があるかを検証する資料となります。
主に使われるのは、金融機関や行政などを利用した資金調達時ですが、作成することで経営者自身が大きな気づきを得られる資料です。
たとえば事業計画を具体的にしていく過程の中で
- 経営方針や事業内容の再確認
- 市場や同業の分析と今後の予想
- 自社の強みを発掘
- 現状を克服し売上を獲得するための具体的な事業プラン
- 実現可能な資金計画
など、会社の事業をさまざまな角度から検証しなくてはいけないからです。
それを義務でただ単に作るだけ、資金調達のためだけに作るのはもったいない話しです(資金調達は重要な仕事ではありますが)。
もちろん事業計画はプラン通りいくことの方が少ないでしょうが、せっかく作るのですから見直したり検証した部分を事業に活用すれば、今後の事業にも役立てられるはずです。
では事業計画書を作ることのメリットをあらためて見ていきましょう。
事業計画書を作る5つのメリット
事業計画書を作るメリットは次の5つです。
- 目標達成の最短プランを作れる
- 事業に潜むリスク対策を検討できる
- 具体的な事業予算を算出できる
- 資金調達の強力な武器になる
- 社内外からの協力が得られる
1・目標達成の最短プランを作れる
事業計画を作るということは、その企業が達成したい目標を設定することになります。
その目標は、売上や利益が主ですが、それを達成するための販売数量、出店数など事業によって設定はさまざまあります。
目標が明確になれば、それを達成するために、最短の道のりで到達できる方法を探ることになります。
いかにコスト、工程、人員をかけず目標を達成するか、思いつく限りの実現可能な方法を考えることが大きいです。
目標を到達するまでのムリ・ムダ・ムラを省いた道しるべを事前に見つけておけば、最小の資金と労力で目標に近づくことができます。
2・事業に潜むリスク対策を検討できる
どのような素晴らしい事業プランでも、必ずリスクが存在します。
事業計画を立てることで、その事業リスクをあぶり出し、それに対する備えを用意しておけます。
また事業計画作成の中で、想定以上にリスクが大きいと判断できれば、撤退することも検討できます。
さらに事業計画を書類にし、第三者に見てももらうことで、客観的なアドバイスを受けられます。
自分たちが気づかなかったリスクの指摘されることもありますし、第三者と議論を交わすことで、用意したリスク対策の周到さをあらためて証明することになるかもしれません。
リスク対策の検証は、計画を実行する場合でも、金融機関を説得する場合でも、大きな役割を持ちます。
このように計画段階でリスクの存在をあぶり出す意義は大きいです。
3・具体的な事業予算を算出できる
資金の使い道が明確になるので、その事業にいくら資金が必要なのか、具体的な事業予算を算出することができます。
事業予算を求めることができれば、どれくらいの事業規模になるか把握できるでしょう。
全体の事業予算が算出できれば、どのように配分するのか、つまり具体的な事業戦略を描けられます。
あるいは万が一収益が半分しか達成できない場合、その影響が自社の財務にどれくらいインパクトを与えるかなど、リスク共用度も視野に入れられます。
リスクを受け止められないと判断したなら、削減して達成できないかを検討しなくてはいけませんし、計画からの撤退も考え得ることです。
挑戦スピリットは非常に大事なことですが、無謀とは違います。
やはり企業である以上、収益化できなければ意味がありません。
そのためには事業予算を把握することは重要です。
4・資金調達の強力な武器になる
融資の場では必ず事業計画書を求められます。
お金を出す側は、事業計画書から収益性や安全性、成長性を判定し、融資したお金が回収可能かを判断します。
とくにこれからの融資は「事業性評価」に流れが変わりつつあります。
これまでの融資は事業内容というよりは、決算書、担保、保証人に重きを置くものでした。
決算書の数値や担保や保証人の有無で、融資の可否が決められていました。
逆にいえば、事業プランが素晴らしくても、決算書の数値が悪く、担保も保証人もなければ借りれるチャンスはなかったのです。
それが今後は、金融庁の指導もあり、事業そのものの収益性や成長性に着目し、それを基準に融資の可否を決めていこうという流れになってきています(とはいえ、まだまだ決算書で決められることが多い)。
そのとき審査の可否を握るのが事業計画書なのです。
なぜなら事業計画書が、事業の収益性・成長性を具体的に説明する根拠だからです。
これからの資金調達の場面においては、事業計画書が強力な武器となります。
5・社内外からの協力が得られる
新規事業の立ち上げでも、既存事業の見直しでも、社内外から協力を得られなくては、事業を円滑に進めることはできません。
社員だけでなく、取引先、金融機関も大切な協力者です。
その人たちの理解を得るには、事業内容だけでなく、それを支える「事業に対する想い」を共有していただかなくてはいけません。
その社長の想いを言葉にして具体的にするのが、本来の事業計画書です。
とくに資金調達において今後の流れが事業性評価にシフトしていくことを考えれば、経営者の事業に懸ける想いは、人を説得する上で重要な要素となります。
事業性評価という判定できそうでできないなものを人が評価するには、想いという印象が、担当者の判断を左右するといっても過言ではありません。
決算書だけなら想いより数値で判定されてしまいますが、事業性評価ならそうもいかないでしょう。
緻密な事業計画を立てたところで、そこに社長の想いがなければ、事業計画書が死んでしまい、担当者を説得する力に欠けてしまいます。
社長の想いを共有してもらうには、事業計画書が必要なのです。
まとめ
事業計画書は、新規事業立上げ時、既存事業の見直し・再構築時には必ず必要になってきます。
当たり前ですが、事業という複雑な要素で結果が決まるものを、地図もなくスタートさせたところで上手くいかないからです。
それだけに、資金調達用に形だけで作ってしまうのは実に惜しいことなのです。
事業計画書の作成の過程で得られる気づきは、実際のビジネスでも役立てられるからです。
事業計画書を作る5つのメリットを再確認して、あなたのビジネスに役立てましょう。
コメント