今後の融資の流れは従来の「決算書」「担保・保証」だけでなく、「事業性評価」が加わります。
事業性評価とは、その事業の収益性・成長性に着目して融資の可否を判断しようとする評価方法です。
これによりこれまで融資を受けられなかった小規模零細企業や、赤字や債務超過で元からダメといわれていた企業でも融資を受けることが可能になります。
事業性評価で融資を進めることは金融庁からのお達しで、この流れが変わることはよほどのことがない限りありません。
しかし銀行が事業を評価しようといてっも、それは未来のことであって将来性を図りかねるということになります。
そこで重要になるのが「事業計画書」です。
「どのような事業計画書を作れば銀行を納得させることができるのか」これが今後の融資の核となってきます。
銀行に伝わる事業計画書3つのポイント
銀行を納得させるための事業計画書を作るためには、次の3つのポイントを抑えましょう。
- 事業内容を理解しやすいように作る
- お金が確実に返ってくることを伝える
- ストーリー性を持たせる
1・事業内容を理解しやすいように作る
事業性評価の導入により銀行員に「事業の目利き能力」が必要になったといっても、彼ら彼女らはあなたの属する業界のプロではありません。
そのため業界外の人間が事業計画を聞いても理解できるように作りましょう。
理解しやすい事業計画書を作るには次のことを意識しましょう。
- 事業内容を簡単に伝えられる
- 事業プランを明確にする
- 理解しやすい言葉を使う
事業内容を簡単に伝えられる
まず事業内容や方針を簡単に伝えられるようにしましょう。
これから融資を受けて事業を成長させたり回復しようとするわけですから、肩に力が入ってあれもこれもと説明したい気持ちはわかります。
しかし何十分話しても、要点を得ない事業説明は相手に伝わりません。
そこで、事業方針についての要点、今後の事業展開についての要点、といった感じで、簡素にまとめてすぐに理解できるように文章をまとめます。
その後に数字を使ったロジックで話を進めていけば、相手はいっそう理解しやすくなります。
面談で話すときも同じです。
要点を最初に話し、その後詳しい説明を展開していく流れです。
事業プランを明確にする
事業プランを明確にするとは、「実行内容」が具体的に書かれている事業計画を作ることです。
事業計画といっても所詮それは机上の空論です。
しかしそこで事業計画に信ぴょう性を持たせるのは、具体的な「実行内容」です。
こういった施策を行うから売上を何%アップすることができる、このような事業プランが明確なほど、説得力ある事業計画になります。
理解しやすい言葉を使う
専門用語や業界用語は避け、業界外の人が聞いても理解しやすい言葉を使いましょう。
銀行員はあなたの属する業界人ではありません。
そのため業界用語や専門用語を使われても「理解が進まない」ということが起こります。
理解できない事業計画を誰が進んで推してくれるというのでしょう。
分かりやすい言葉を使うことが伝える上で大切です。
2・お金が確実に返ってくることを伝える
銀行に説明する事業計画ですから、やはりお金が確実に返せることをアピールしましょう。
銀行の知りたいこと「その事業計画でお金が返ってくるか」です。
貸したはいいが返ってこないでは、貸せるものも貸せないという話です。
ただしバラ色の計画では信ぴょう性はなくなります。
とくに債務超過や赤字の場合、翌年には回復しますなどと大見えを切ったところで、銀行が「はい。そうですか」と信じてくれるわけがないでしょう。
融資のための事業計画を作るときは、「実現可能性が高い」と思わせる事業計画でなくてはならないのです。
本来は事業計画に融資用も実際用もあってはいけないと思いますが、自分の思い描くプランと現実に乖離があるなら、やはり融資用の事業計画は必要になります。
3・ストーリー性を持たせる
銀行員は優秀な方が多いと思いますが、そのような方たちでも、事業計画を一読するだけで理解するのはむずかしくなります。
しかし事業計画書にストーリー性を持たせれば、理解が早まり印象に残りやすくなるでしょう。
断片的な説明は理解しにくいものです。
それが流れのあるストーリーだと、今後の事業展開がどのように進むかイメージしやすくなります。
<例>
- 当社は大手企業の進出と人口減が相まって売上の減少という状況に落ちいっています(現状把握)。
- この状況下でシェアを回復するには、新製品の投入が必要です(課題の設定)。
- 当社にはこれまで蓄積した高い技術力があり、これは大手への高い参入障壁となります(課題解決の方法提示)。
- 新商品をメインに営業展開していけば売上〇%の伸びが期待できます(課題解決後の展望)。
いかがでしょう?
このように事業計画をストーリ展開することによって、理解しやすくなり、現状や今後の展開が頭にスっと入ってきます。
銀行の理解を得られないと融資を受けることは不可能になります。
わかりやすい事業計画を作ることが、とても大事になります。
まとめ
未来を説明するのはまことにむずかしいものです。
それが実現可能かといわれれば、何も証明するものはありません。
しかしだからこそ、未来を示す事業計画が重要だといえます。
いわば銀行は、あなたの作った事業計画に投資をするようなものです。
融資の審査に事業性評価が加わった今、これまで以上に事業計画書が融資の可否を握ります。。
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