事業計画書が銀行融資にとって大事なことは、何となくでもご理解いただけると思います。

とりわけ事業計画書が融資に重要になるのは

  • 創業期(日本政策金融公庫や制度融資)
  • 決算書の内容が悪い会社

の2点です。

創業期は何の実績もないため事業計画が重視されます。

また、銀行融資の可否は決算書の数値で7割~9割は決まってくるため、決算内容の悪い会社は、事業計画を組み立て、今後の収益の見通しが立つことを証明しないと融資の審査が通らないのです。

逆にいえば、実績もあって決算内容の良い会社は、それほど事業計画書が融資の審査に与える影響は少ないといえます(とはいえ、決算内容の良い会社は、きちんと事業計画を立て運営していると思いますが)。

この記事では、銀行融資で評価の高くなる事業計画書の作り方について解説します。

事業計画の重要性

事業計画書を作ることは、何も銀行融資のためだけではありませんが、事業計画を立案することで、結果として融資を受けられる可能性を高められます。

それは事業計画書を作成することで、次のメリットを得られるからです。

メリット1・目標達成への最短プランを描ける

目標を明確にすることで、そこに到達するまでの、ムリ・ムダ・ムラを発見して排除することができ、結果として目標への最短プランを描くことができます。、

メリット2・リスク対策を検討できる

事業計画をデータやグラフ、計画書などの書類にすることで、計画の全容や詳細を人の目で確認することができます。

すると事業計画の検証を具体的にすることができ、リスクの存在に気付くことができます。

メリット3・事業予算が明確になる

資金使途がはっきりし、いくらのお金を用意しなくてはいけないか、事業予算が明確になります。

銀行融資においては、「いくらお金が必要か?」は最初に伝えておかなくてはいけない重要事項です。

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メリット4・融資を引き出しやすくなる

銀行は事業計画から、安全性、収益性、成長性、返済可能性を判断し、融資の判断材料にします。

反対にいえば、事業計画書があるから、融資の可否を決められるともいえます。

メリット5・事業のコンセンサスを得られる

事業を行うには社内外から協力が必要で、銀行も含めた協力者を得るには、事業の「目的」と経営者の「想い」が必要です。

それらの目に見えないものを具体化したのが事業計画書です。

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銀行に好かれる事業計画書4つのポイント

事業計画書は融資のためだけに作るものではありませんが、銀行が好む事業計画書はあります。

社内向けの事業計画書と銀行向けの事業計画書では、やはり作り方が違うのです。

ポイント1・実現性の高い事業計画書になっていること

事業計画はバラ色になっていてはいけません。

これまでの実績を無視して、初年度から増収増益の事業計画を作っても、銀行も信じてくれないでしょう。

銀行が見るのは「実現性の高い事業計画か?」です。

では何をもって「実現性が高い」と判断するかは、過去の実績との乖離です。

これまで1億円前後の売上なのに、いきなり来年から倍の2億円になるといわれても、にわかに信じられないでしょう。

「その根拠は?」と具体的な説明を求められ、よほどの根拠のあるデータでもなければ納得は得られません。

実現可能性という意味では、固定費削減など、経費削減の方が説得力あるといえます。

売上は自社でコントロールできる部分は少ないですが、経費の削減は自社でコントロールできます。

そのため、業績回復をアピールするには、経費削減をアピールすることの方が影響が大きいといえます。

バラ色の事業計画で新たなリスクも

もし、バラ色の事業計画で融資が通ってしまった場合、別の意味でリスクを抱えることになります。

実績を無視した事業計画では、初年度から実態の計画との間に大きな乖離が起こります。

計画通りに数字が達成できていなければ、銀行側も不審に思い、融資の打ち切りや引上げにつながる可能性が高まります。

銀行融資で評価を上げる事業計画書とは、過去の数字と連続性があって、「実現可能である事業計画書」です。

ただし、控えめなのは書面上の話です。

実際に口頭でアピールするときには、計画以上の数値を達成できる意気込みで話すべきです。

書面上では「不測の事態に備えて保守的な数字にした」という慎重姿勢をアピールし、口頭では熱意で伝えるというパターンです。

こうすれば、仮に予想以上に売上が伸びた場合でも、「読み間違った」とマイナス評価をされることはありません。

ポイント2・借りたお金が返せることがわかる事業計画書

業績の悪い会社の場合、返済原資となる営業キャッシュフローが少なくなっています。

営業キャッシュフローとは下記の計算式で求めた数字です。

税引き後当期純利益+減価償却費

この金額が小さければ、返済能力の低い会社になりますので、将来的な返済に耐えれない会社とみなされ、審査に通らなくなってしまいます。

そのため、営業キャッシュフローをいくら確保できるかが重要となります。

極端にいえば、売上が下がった事業計画でも、営業キャッシュフローを確保できることが証明できていれば、銀行は「返済財源有り」と判断できます。

また、損益計画だけでなく、資金繰り支障がないことを資金繰り表を使って証明しなくてはいけません。

損益計算だけでは、勘定合って銭足らずの「黒字倒産」を招く危険性もあります。

融資をしてもらっても、返済が詰まるような資金繰り表を作ってしまうと、融資の審査も通らなくなりますので注意が必要です。

ポイント3・わかりやすい事業計画書

事業計画は第三者に伝えるために作ります。

ここでは銀行に融資を出してもらうために事業計画を作ります。

その銀行は、御社の業界に対しては素人です。

その素人に対し、

  • 専門用語が多発している
  • 業界人にしかわからない内容になっている
  • 文章の意味がわかりにくい

といった事業計画書であるなら、何も伝わらず終わってしまいます。

伝わらないということは、融資の審査に通らないということです。

そのような事態を避けるためには、事業計画書はわかりやすくしておくのがベストです。

分かりやすい事業計画書を作るポイントは次の通りです。

  • プレゼンを意識した構成にする
  • 専門用語は使わない
  • グラフやイメージ図をつける
  • 項目ごとに要点を挙げる
  • 根拠は数値や写真で示す
  • 長すぎないように作る
  • 必要な要素が網羅されているように作る

ポイント4・経営者が作った(理解している)事業計画

事業計画書の作成は経営者が先頭に立って行うべきものです。

事業計画書は銀行融資のためだけに作成されるものではなく、会社の将来をより良くするために作るものです。

そうであるなら、会社の経営者自身が事業計画を作らなければ意味がありません。

経営者自身が、会社の現状を理解し、そこから未来を思い描く事業計画書であるからこそ、事業計画に熱がこもり、説明の際も情熱となって伝わります。

経営コンサルタントや税理士の先生が作る事業計画書は理路整然ときれいに作れるかもしれませんが、それでは肝心なものが銀行側に伝わらないのです。

また、情熱だけでなく、論理的に説明できることも重要です。

事業計画を経営者が作ることで

  • なぜ融資が必要になったのか?
  • その必要な金額はいくらか?

という非常に大事な点を、経営者自らが数字を使って話せるようになることが大きいのです。

論理的に数字を使って話せれば、銀行員も一目置きます。

そのためには、やはり経営者が先頭に立って事業計画を作る必要があります。

事業計画書に盛り込むべき内容

実際の事業計画書に盛り込むべき内容は、事業計画概要、5か年損益計画書、資金繰り表、その他の添付資料の4つからなります。

事業計画書概要

事業計画書概要とは、事業計画書のポイントをまとめたものです。

長いものは必要なく、A41枚にまとめて作ります。

業況

あなたの業界の全体の状況を書きます。

会社の現況

現在の業況を踏まえた経営環境の中で、自社の置かれている状況を書きます。

たとえばお客様や売上の増減についてです。

決算状況

その結果、決算がどうなったか?(増収増益、増収減益、減収増益、減収減益)を簡単に説明します。

具体的な改善策

今置かれている状況の中で、自社がどう進むべきかその方向性と、どのような方法で(組織、技術、販売、他社との差別化など)で収益改善をしていくかを述べます。

要望

だから銀行にどうしてほしいか?を述べます。

融資のお願い、返済猶予、借換えなど。

5か年損益計算書

5か年の損益計画を作成します。

損益計算書は最初にもお話した通り、「実現性が高い」ことがポイントになり、そのためには「現実と乖離してない」ことが大切になります。

そのため、過去の数値を元に、売上高、売上原価、売上総利益、販売費および一般管理費を求め、そこから営業利益、営業外収益、営業外費用、経常利益と数値を出していきます。

売上高

売上高は必要以上に高くあする必要はありません。

堅実に、固く読む、が銀行を説得するシナリオです。

もし大幅売り上げ増を計画して何らかの事情で頓挫した場合、「この社長はあてにならない」とマイナス評価をされてしまいます。

また売上アップ対策には、銀行が受け入れやすいものと受け入れにくいものがあることを理解しておきましょう。

銀行が受け入れやすい対策は、ここでも過去の実績が響きます。

「過去にインターネット広告に力を入れたときは売上が伸びた」といった実績があれば、受け入れてもらいやすいといえます。

逆に、組織のマネジメント強化といった、効果とのつながりがわかりにくいものは、受け入れられにくいと考えていいでしょう。

その他のプラス要因も探しておく

どの業界に属しているかも審査の評価になります(定性評価)。

その業界が衰退傾向にあるのか、それとも成長していくのか、市場としての価値です。

当然ながら、成長産業に属していた方が、審査の評価は高くなります。

そのため、業界のプラスの情報を探しておくことも大事です。

仮に衰退産業であっても、その中で「自社の強みを活かしてどう生き残るか」、説明を工夫することが審査の評価を分けます。

売上原価・経費

原価率の見込みは、ここでも保守的に固くが原則です。

それに対し経費は、自社のコントロールができる部分です。

家賃、保険料など、固定費となるものを削減できれば、効果が大きくなります。

予算を決めたら、その範囲以内に納めるようにしましょう。

役員報酬

役員報酬で大事なのは、額の大小ではなく、会社を赤字にしないことです。

仮に赤字になるようなら、そこは減額を検討しなくてはいけません。

ただし、役員報酬が少な過ぎるのも考えものです。

もし役員報酬が少なすぎて生活費が足りなくなれば、会社からの貸付(役員貸付金)でお金をまかなったり、逆に会社にある役員借入金を回収して、生活資金に充てようとすることになりますが、これらはPLの赤字隠しと受取られかねない行為で、銀行の信用を失います。

役員報酬は赤字にならない範囲、かつ生活に困らない金額で設定しましょう。

資金繰り表

事業計画には資金繰り表も必要になります。

損益計算書は利益を表す計算で、実際のお金の流れとは違います(とはいえ、時間軸の違いだけですが)。

黒字倒産という言葉もあるくらいなので、利益があっても資金繰りに詰まってしまえば倒産もあり得ます。

そのため、実際に資金繰りが回っていくことを資金繰り表を使って証明しなくてはいけないのです。

資金繰り表は3つの部門から

資金繰り表は3つの部門にわかれます。

営業収支(経常収支)

営業収支とは、その企業の事業が行われ立った結果、売上げの収入(営業収入)によりどれだけの資金を得て、経費などの支払いをしてどれくらいお金が残ったかを表します。

要するに、本業の活動でどれだけお金が残ったかを計算するのが、営業活動収支です。

投資収支

投資収支は、企業が設備投資を行うことでの資金の支出と、設備や固定資産の売却などで得た収入を表す支出です。

投資収支が赤字ということは、活発に投資を行っているということになり、逆に投資活動収支が黒字なら、積極的に投資を行っていないということになります。

財務収支

財務収支は、金融機関からの融資を受けたり返したりを表す収支です。

金融機関からお金を借りれば収入になり、反対にお金を返せば支出になります。

したがって、財務収支がプラスなら借入が「増えた」、マイナスなら借入が「減った」となります。

もっとも大事なのは営業収支

資金繰り表で最も大事なのは、営業収支がプラスになっていることです。

なぜなら、営業収支のプラスとは本業の儲けがプラスということであり、ここが赤字なら、毎年の返済もできないことになるからです。

ですから営業収支は少なくとも1年単位では黒字になるようにしておかなくてはいけません。

そして、営業収支、投資収支、財務収支の合計がプラスになっていることを確認しましょう。

もし営業収支がマイナスになるようなら次の2つを疑います。

  1. 経常利益が赤字
  2. 経常運転資金が増加している
経常利益が赤字の場合

損益計算書の経常利益が赤字なら、資金繰り表もの営業収支も赤字になります。

損益計算書の計上利益が赤字になってないか確認します。

赤字の場合は、削れる経費がないかななど、対策を考え、経常利益がプラスになるよう工夫します。

経常運転資金が増加している場合

経常運転資金とは、商品を仕入れて販売し、代金を回収してキャッシュに変わるまでの不足する資金のことです。

売っても即現金になる商売でなければ、仕入れの支払いの方が早く到来しますので、回収までの期間、運転資金が必要になるわけです。

損益計算書の利益が黒字でも、売掛金の増大、在庫の増加、回収サイトの長期化、支払いサイトの短縮などが起こると、経常運転資金は増大し、大きな資金不足になります。

いわゆる「勘定合って銭足らず」の状態です。

なぜ起こる?資金繰りを狂わす「勘定合って銭足らず」

資金繰り表を作るときは、このような状態になってないかもチェックし、もし常態化しているようなら、具体的な改善策を行います。

資金繰りの具体的な改善策
  • 売掛金の縮小
  • 在庫の圧縮
  • 回収サイトの短縮
  • 支払サイトの長期化

その他添付資料

これからご紹介する資料をつけておけば融資の審査に通るというわけではありませんが、事業計画書に添付しておくと担当者に喜ばれる資料です。

担当者は、たくさんの企業を受け持っています。

そのため時間がないというのが実情です。

ですから、担当者の欲しがる情報を添付しておけば、担当者の作業負担が軽減され、審査にかかる時間が軽減されます。

会社概要

会社名、資本金、代表者名、会社・代表者住所、役員構成、株主構成、従業員数、事業内容、主要な取引先など、会社の概要がわかる書類です。

調べればわかることですが、あらかじめ最新のものを用意しておけば、担当者の作業を軽減できます。

金融機関取引状況

他の金融機関から借入があれば、その一覧表を作っておきます。

担保、保証人、信用保証会付きの融資かどうかわかるようにしておきます。

借入金融機関ごとの、借入残高、返済額、金利なども記載しておきます。

所有不動産一覧表

不動産などの担保提供しているものの一覧表です。

各金融機関の担保設定状況を把握してもらうための資料です。

返済予定一覧表

「いくらずつ返すか」の一覧表です。

金融機関別の借入返済予定表です。

まとめ

この記事では、銀行融資で評価の高くなる事業計画書のポイントについて解説してきました。

財務状況の良くない会社だったり、実績のない起業時や創業間もないころは、事業計画が融資の可否を左右します。

銀行が納得できる「実現性の高い」事業計画書を作って、融資を勝ち取りましょう。

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