銀行融資の審査のポイントは、主に次の6つのカテゴリに分けることができます。

  1. 会社・代表者の背景
  2. 信用格付け
  3. 資金使途
  4. 書類
  5. 経営計画
  6. 日常取引

この6つのカテゴリは、それぞれ審査への影響力は違います。

また、企業の財務状況によっても、何に主眼を置かなければいけないかも変わってきます(何に力点を置いて銀行を説得しないといけないか)。

この6つのカテゴリの性質を把握して、融資に審査に臨みましょう。

1・会社・代表者の背景

会社・代表者の背景とは、会社やその代表者の社会的背景を見る審査です。

具体的には、

  • 融資を受けられる業種か?
  • 会社・代表者と反社会勢力と関係がないか?
  • 会社が社会問題を起こしてないか?
  • 代表者の過去の経歴

などです。

融資を受けられる業種か

業種によっては融資を受けられないものがあります。

信用保証協会

次の業種は信用保証協会の保証対象外の業種です。

  • 農林水産業、狩猟業(一部の業種を除く)
  • 金融、保険業(生命保険媒介業、損害保険代理業、損害査定業を除く)
  • 風俗関連の事業(一部のものを除く)
  • モーテル、ラブホテル
  • インターネット配信業のうち性風俗に関するもの
  • パチンコ、スロット、射的、ビンゴゲーム、競輪、競馬業

など

信用保証対象外業種

日本施策金融公庫
  • 金融業
  • 投機的事業
  • 一部の遊興娯楽業等

など

融資の申し込みをする前に、「融資が可能な業種」かどうか調べておきましょう。

反社会勢力・社会問題

会社・代表者が反社会勢力と関係している場合は融資を受けることができません。

会社が労働問題などの社会問題を起こしているときは、融資に慎重な姿勢になります。

代表者の経歴

代表者に犯罪歴や反社会勢力と関係がある場合は融資は出なくなります。

また、過去に会社経営していて、貸倒れや保証協会から代位弁済を受けていた場合も、融資はきびしくなります。

親族などに代わりの代表をしてもらっているケースでも、真の代表者が誰か調べられ、その人物の過去の経歴に問題があれば融資がむずかしくなります。

代表者・会社の背景の審査の影響は、会社の財務状態が良くても融資が受けられなくなるくらい重要な項目です。

2・信用格付け

銀行が融資を貸出すかの判断基準に「信用格付け」があります。

格付けは、正常先、要注意先、要管理先、破綻懸念先、実質破綻、破綻先の6段階に債務者区分されます。

要管理先以下は、基本融資が厳しくなります。

ですから、融資を問題なく受けたければ、経営努力で「正常先」に区分されるようにしておかなくてはいけません。

信用格付けが高い企業は

  • 希望通りの金額、返済期間などの融資条件で受けやすい
  • 低い金利で借入することができる
  • より迅速に融資を受けることができる

といったメリットもあります。

格付けは次の通り区分されます。

1・正常先

財務内容に問題がない、経営状況も良好で返済遅延などもない企業のことです。

2・要注意先

業況不調で財務内容に問題がある、もしくは融資に延滞がある企業のことです。

3・要管理先

要注意先の中でも、特に融資の全部または一部が要管理債権である企業は要管理先になります。

4・破綻懸念先

経営難にあり、改善の状況になく、長期延滞の融資がある企業のことです。

5・実質破綻先

法的・形式的には経営破綻の事実は発生していないが、自主廃業により営業所を廃止しているなど、実質的に営業を行っていないと認められる企業です。

6・破綻先

破産などの法的手続きが開始されていたり、手形の不渡りにより取引停止処分となっている企業のことです。

この債務者区分は

  1. 定量評価
  2. 定性評価
  3. 実態評価

の3つの評価の総合得点によって決まります。」

1次評価:定量評価

上記3つの評価の中でも大事なのが、定量評価と呼ばれる企業の決算書を採点するスコアリングシステムです。

銀行融資の8割は、この定量評価、すなわち決算書の数値で決まるといわれています。

決算書の採点は13個の項目で決まります。

1・自己資本比率

自己資本÷総資産。企業の財務体質を測ります。自己資本が多いほど、財務力があります。

2・ギアリング比

(短期・長期借入金+社債)÷自己資本。自己資本に対して何倍の借入をしているかをみる指標です。

3・固定長期適合率

固定資産÷(固定負債+自己資本)。固定資産を長期の借入(固定負債)と自己資本でどれくらいまかなっているかを見る指標です。100%を超える場合は、短期の借入でまかなっていることになり、負債のバランスが悪いということになります。

4・流動比率

流動資産÷流動負債。短期的な支払い能力を見る指標です。すぐに現金化できる資産の割合で、流動比率が高いほど即金化できるということです。

5・売上高経常利益率

経常利益÷当期売上高。売上高に対する経常利益の割合です。高い方が収益性が良いと判断されます。

6・総資本経常利益率

経常利益÷総資本。総資本に対して、どれだけ経常利益を稼いだかを見る指標です。別名ROAとも呼ばれます。少ない資本でより多くの経常利益を稼ぐ方が評価は高くなります。

7・収益フロー

黒字が何年続いているか見られます。単年度だけでなく、継続して黒字であることが重要です。

8・経常利益増加率

(当期経常利益ー前期経常利益)÷前期経常利益。前年に比べ経常利益がどれだけ増えたかをみる指標です。

9・自己資本額

資本金、資本剰余金、利益剰余金などから構成される純資産の額です。大きいほど評価が高くなります。

10・売上高

売上高のボリュームを見られます。

11・債務償還年数

(有利子負債ー運転資金ー現預金)÷(経常利益+償却費ー税金)。現在の借入の総額を毎年稼ぐ利益で何年で返せるかを見る指標です。得点が高く、銀行が注視している重要な数値す。

12・インタレスト・カバレッジ・レシオ

(営業利益+受取利息・配当金)÷支払利息・割引料。営業利益で支払利息をまかなえるかみる指標です。高いほど余裕があり、低いほど支払利息で営業利益が飛んでいることになります。

13・キャッシュフロー額

営業利益+当期減価償却実施額。返済原資がどれくらいあるかみる指標です。高いほど返済能力があります。

2次評価:定性評価

定性評価とは決算書に表れない数値を評価して得点化する方法です。

具体的には、市場動向、経営者・経営状態、営業基盤、競合状態などを評価するものです。

メガバンクだと定性評価の入る余地はほとんどないといわれています(つまり決算書の数値がほぼすべて)。

しかし、地銀や信金では、定性評価も総合得点に含められています(地銀で20%~30%、信金で30%~40%)。

3次評価:実態評価

実態評価では、本当の意味での返済能力を見られることになります。

いわゆる、実態バランスシートで再度計算されます。

売掛金の焦付きや、売れない不良在庫、減価償却費に未計上ものもがあればそれを計上したものとみなして、その企業の真の姿で、財務力や返済能力を再計算されます。

また、経営者の役員報酬や個人資産なども考慮され、社長に資力があるならプラスの評価をされます。

融資をどうしても受けたいなら、社長の個人資産(個人資産があるなら)を隠さず、銀行にオープンにした方がよいでしょう。

どうせ個人保証を取られるわけですし。

以上の3つの評価を経て、その企業の格付けが決まります。

銀行融資は決算書で8割決まるといわれているくらいですから、経営改善で決算書の数値を良くすることが、融資を受けやすくする王道です。

銀行融資の8割が決まる「信用格付け(スコアリング)」を制する方法

粉飾を銀行は見抜いている

ちなみに、数値を良く見せようと粉飾をする企業もありますが、そのような粉飾を銀行は見抜いています。

むしろ粉飾することで、企業の信頼は少なくなりますので、正直な数字で決算書を作るのが基本です。

ただ正直に伝えるにも、やはり印象を良くする伝え方はあります。

その点は注意が必要です。

決算書の数値が悪い企業

銀行融資の8割が決算書で決まるといわれても、数値が良い企業ばかりではありません。

では決算書の数値が悪い企業は融資をあきらめななくてはいけないんどえしょうか?

いいえ、そんなわけでもありません。

決算書の数値が悪い企業は、他の部分で挽回すれば、融資も可能になります。

それがこれから解説する、使途資金、書類、経営計画になります。

3・資金使途

使途資金は融資を申し込んだ際、必ず聞かれる項目です。

使途資金とは、「借りたお金の使い道」のことです。

銀行が何を担保にお金を融資するかといえば、企業が行う事業にです。

事業で利益を得られる前提があるからこそ、安心してお金を貸し出しできるわけです。

で、あるからこそ、銀行は事業目的以外のことに融資をしないのです。

ということは、借りたお金を何に使うかは、とても重要なといえます。

赤字企業が赤字の補てんに融資を申し込んできたとして、銀行が諾と答えるでしょうか?

危なくて貸せないと考えるのが普通でしょう。

それに対し、赤字企業が黒字化を目指して事業計画を建て、設備資金の申し込みをしてきたら、銀行もひとまず検討してくれるのではないでしょうか。

お金を増やす目的で使うのか、お金が消える目的で使うのか、貸す側にとっては大きな問題です。

したがって、使途資金が融資の審査に影響してくるのです。

銀行が使途資金に納得しなければ、財務状況が良い企業もでも融資が出なくなるくらいです。

それだけ使途資金が大事になることを認識しておきましょう。

資金使途違反には気をつけて

ちなみに、使途資金違反は重大なペナルティを喰らいます。

仮に設備資金で借りたのに、その設備を購入せず運転資金に充てていたのなら、即刻返済を迫られ、二度とその銀行とお付合いできなくなることも。

資金使途違反を甘く見ないようにしましょう。

4・書類

融資のときは、銀行から次の書類の提出を求められます。

  • 決算書
  • 試算表
  • 月次資金繰り表
  • 経営計画書
  • 会社案内・商品、製品のパンフレット

決算書

決算書が融資に大きく影響することは先にお話させていただきましたが、その他の注意点として決算書の信ぴょう性もあります。

信ぴょう性がなにかというと、税務署に提出した正式なものであること、税理士が作成したものであることを確かめられます。

税理士の署名押印のないものは、税理士が作ったものでないとみなされ、決算書自体の信頼性がなくなり、それだけで審査に通る確率が一気に下がります。

また税理士が頻繁に変わっているのも警戒されます。

「経営者が粉飾を強要し、それを拒絶されて税理士がコロコロ変わっているのでは」と疑われるのが理由です。

この点も注意していきましょう。

試算表

前の決算期から3カ月以上経っていると、試算表を求められることがあります。

試算表を求められる理由は次の3つです。

  1. 現在の状況を知りたい
  2. 疑っている
  3. 経営姿勢を知りたい
現在の状況を知りたい

決算書はあくまで過去の数値です。

そのため、試算表で最新の会社の状況をつかんでおこうとします。

売上が順調であれば問題ありませんが、もし現況が売上が下がって利益が減っているなどしている場合は、その原因をきちっと説明し納得していただけるようにします。

疑っている

提出された書類や社長の話などから、何ごとかあやしいと疑っている場合です。

その確認のため、試算表の提出を求めます。

やましいことがなければ堂々としていましょう。

隠し事があるのなら、それを正直に話すのも選択です。

隠し事が最後まで隠し通せるならよいのですが、そうでないなら、信頼関係を築くことを優先させるべきでしょう。

経営姿勢を知りたい

試算表をすぐ出せる会社か見ています。

試算表をすぐ出せる会社は、それだけ経営者が経営に取組んでいる証拠です。

「作ってない」や「税理士に任せている」は、経営者が数字を把握してない証拠です。

その点マイナス評価をされてしまいます。

月次資金繰り表

資金繰り表を提出することで、実際の資金の流れがわかります。

それつまり、「なぜ銀行に融資を申し込む必要があるのか?」、その根拠となり、融資の判断材料となります。

それだけに、融資が実行されることで、資金繰りがきちんと回ることを証明しなくてはいけません。

資金繰り表上で、融資をされてもすぐに月末残高がマイナスになるようなシミュレーションなら、「何のために融資をするの?」と思われてしまいます。

また、銀行から資金繰り表の提出を求められたときには、何があっても提出するようにします。

提出をしないと審査が前に進みません。

いずれにしても、融資してもらうことで、どうお金が回っていくのか、そのシナリオを資金繰り表を使って説明します。

経営計画書(5か年損益計算書)

今後5年間の損益がどのように推移し、どうやって利益を確保するか、その中長期的な計画を提示します。

短期の月次計画も付けるとベストです。

銀行はこの損益計画書を基に、取引企業が今後も存続し、返済を続けていけるかを検証します。

決算書の数値が悪い企業は、この経営計画書がそれをカバーする書類となります。

まさに融資のかかった事業計画になります。

会社案内・商品、製品のパンフレット

営業担当者はあなたの会社のことを知っていますが、銀行内の融資係、支店長、本部の人間は直接知ることはできません。

そのような方々にあなたの会社の案内や、商品・製品のパンフレットなどを資料として添付しておけば、ある程度事業内容などを把握していただけます。

資料があれば意思伝達も伝わりやすく、審査に役立ちます。

凝ったものは必要ありませんが、誰がみてもわかりやすいものを用意しておきましょう。

5・経営計画

銀行から受ける融資は、会社の事業で稼ぐ利益から得られる現金で返済されていきます。

ということは、毎年稼ぎ出す現金で、きちんと返済されていくことを証明しなくては、銀行も納得してくれません。

その根拠となるのが経営計画書です。

財務状況の良い企業では問題になりませんが、財務状況の悪い企業では、この経営計画書で、どう利益を得られるシナリオを描くかで融資の可否がわかれます。

赤字になるようなシナリオはもちろん、右肩上がりのバラ色のシナリオも信じてもらえません。

認めてもらえるのは、現実性のあるシナリオだけです。

返済原資となるキャッシュフローは

・税引き後当期純利益+減価償却費

です。

この額が厚ければ厚いほど、余裕を持って返済できるため、銀行側もこの数値に注目しています。

この額が小さく、返済額(元本部分)より下であれば、稼いだお金で返済できないので、そのような計画だと借りるのは無理になります。

銀行がチェックしているポイント

必要な金額はいくらか

経営計画によって導き出された融資に必要な金額です。

計画に添って求められた金額ですので、根拠のある必要金額です。

この具体的な数字があるからこそ、申込企業の財務状況と照らし合わせて、融資が可能かどうか銀行は判断できます。

間違っても「いくら借りれますか?」などと、根拠不明なことはいわないようにしましょう。

資金使途は何か?

このページのはじめにも述べましたが、資金使途は大切です。

赤字の企業であるなら、何に使って赤字から脱却できるか明確に説明しなければ銀行も納得してくれません。

赤字の補てんに消えるだけなら、返済される可能性は限りなく低くなるのですから。

ここでも経営計画が根本になっていないといけません。

返済財源はあるか?

返済財源とは

・税引き後当期利益+減価償却費

です(長期借入の場合)。

この数字がしっかり確保できている事業計画でなければいけません。

また、資金繰り表でも借入が返済できる計画になってないと、融資の見込みはなくなります。

返済できるあてのない計画にお金を出す人はいません。

都合の良いバラ色の計画ではいけませんが、融資してもらったお金でしっかり利益を確保できることをアピールしましょう。

担保・保証人

銀行は万が一のときに備え、保全策を講じます。

保全とは「保証人」や「担保」のことです。

経営者の場合、借入をするには会社の連帯保証人になることを求められます。

経営保証ガイドラインでは、経営者から連帯保証を取らないよう促すアナウンスはありますが、このガイドラインの条件を満たすこともハードルが高いですし、融資を出すか出さないかは銀行の判断にゆだねられていますので、現状は社長が連帯保証をしなくてはいけません。

6・日常取引

銀行との日常の取引も融資の考慮に入れられます。

融資を申し込んだ企業がその銀行に預けている預金残高、インターネットバンキングの手数料や各種振込手数料など、その額によって融資の審査で考慮されます。

ただし、融資の本丸は「貸したお金が確実に返ってくること」なので、最後の一押しと考えるのが妥当です。

たくさん取引があっても、返せる見込みがないと判断されれば、やはりそれまでです。

まとめ

銀行融資の審査のポイントについて解説してきました。

ぜひポイントを抑えて融資の審査に通りましょう。

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